契約
なんで俺はこんなトコにいるんだ?
人生お疲れ様ってなんだ?
というかこいつは誰だ?
そうやって俺が混乱していると黒服の男が話し始めた。
「何が起こったか分からないって顔だな。
仕方がないよ、突然だったもん。
それにしてもお前って本当に可愛そうなやつだよな、せっかく社会人になって安定してきた矢先に過労で死んでしまうなんて、可哀想だね〜」
「俺が死んだ?そんなわけ無いだろ今ここにいるじゃないか」
「いやここは現世じゃないんだよ、まぁ人間風に言うとサンズノみたいなもんさ、今から俺がお前をあの世に送るってことなのさ!」
……一旦状況を整理しよう。
俺は過労で死んだ、これは理解できなくはない、あんなに残業手当してたらそうなるだろう。
なんとかして生き返れないのかなぁ、何かしら心残りがある訳でもないけどさぁが死にたくはない。
「俺は本当に死んだのか?」
「いや、まだ正確には死んではない。
だがこれから俺がお前を殺すから実際には死んだようなもんだ。
なんだ、命乞いでもするのか?聞くだけ聞いてやるよ」
何だコイツ偉そうに。
だけど死にたくね〜よ、だがどうすれば…
「仕方がないな〜
お前に1つ選択肢をやろう、このまま死ぬか、俺と契約を結ぶか、2つにひとつ選べ」
「何でもやる、何でもやるから生き返らせてくれ!」
「そうか〜仕方がないな〜そこまで言うならけいやくしてあげるよ!
じゃあ契約の内容を教えるよ、俺はお前を生き返らせる、その代償としてお前は一年以内に十人殺せ、これが契約だ」
人を殺す、俺が?
しかも一年以内に、無理だろ、だけどやらなくては死んじゃう、仕方がないのか。
「分かった、その契約を受け入れよう、そうすれば生き返れられるんだろ?」
「もちろん、じゃあ契約成立だ!
少しだけ後ろ向いてて貰える?すぐ終わるから」
何をするのか少し疑問を持ちながらも後ろを向いた、その瞬間首筋に痛みなのか熱いのかすら分からないほどの衝撃が走った、その痛みは骨を砕くかと思うほどだったがすぐに痛みは消え余韻すら残らなかった。
「いや〜ごめんね、これも必要なもんだから。
人間って無駄に賢くてさ、こんな感じの契約結んで現世に戻ったら勝手に夢だと思って無かったことになっちゃう事があるから。
それを無くすために君に目印を付けて置いたんだよ。
じゃあよろしく頼むよ!」
黒服の男が話し終わると、視界がどんどんと白くなっていき、意識も朦朧としてきた。
薄れゆく意識の中で黒服が機嫌が良さそうに話しかけてきいた。
「ああ、俺に来てほしい時は適当に呼んでくれたら行くから、何かあったら呼んでね!」
その後目が覚めると、職場の床で倒れていた。