幽霊はいますか?
1話完結の物語となっております。最後まで是非読んでください。
※誤字脱字、間違った言葉の使い方は大目に見てください。(そっと教えてください)
「うわぁ!」
「怖っ。なに? びっくりした」
「見た? 今の……出たって絶対」
「ごめん携帯見てたから見てなかったわ。リモコンそこにあるから巻き戻して。」
「違うって、ビデオじゃなくてテレビの後ろだって!」
「え?ゴキ?」
「ふざけんで!幽霊だって!」
「……なに?酔っとるん?」
突然何を言い出すかと思えば、幽霊とは。
「近くで見過ぎて目がイっちゃってるんだって。もう少し離れてみろよ」
怖がっている友人をよそに、携帯に顔を戻す。
「本当だって、だから言ってんじゃん!霊感あるタイプなんだって。
和希の家に入った時、変な感じしたもん」
「え?ディスってんの?」
「そうじゃないけど、ほらまたぁ!」
「急に大声出すなよ、びっくりする」
和希はテレビに視線を向ける。
映っていたビデオにノイズが入り、音が割れて聞き取れない。
「ほら、急にノイズになるし、さっきのゆう……れい……和希?」
ノイズになっているテレビをみながら和希は震えている。
「大丈夫?」
「っだー! このテレビ先週買ったばっかりだぞ! 高かったのに!
あんっの電気屋やりやがったな! 不良品買わせやがって、ちょっとクレームの電話するわ」
和希はケータイで電話をかけようとするが、なぜか電源が入らない。
「あれ? 携帯反応しないんだけど。悟、俺のケータイなんかつかないんだけど」
悟を見ると、自分の後ろを凝視している。
違和感を感じ、後ろを振り返る。
壁に付けていたコンセントが抜けていた。
「何だよ、コンセント抜けてただけかよ」
コンセントにコードをさして電源ボタンを押す。
<充電できません>
ケータイに表示されたマークを確認し、和希はそっと携帯を置いた。
「終わったわ……。はい、今日は何もできまてん! ムリムリー。寝る」
和希はヤケになり、ソファーに横になる。
***
「か……かずき……本当に大丈夫?」
ソファーで横になってる和希の傍。
直立している霊が悟には見えていた。
霊はじっと和希を見下ろしている。
「大丈夫ではないよ。なんかケータイ充電されないし、テレビあんなんだし。
充電ケーブル持ってない?」
「い……いちおう、モバイルバッテリと一緒に持ってきてるけど」
「お、良いじゃん。ケーブルだけ差し替えてみるから貸して」
悟はケーブルを渡そうとカバンに手をかける。
直立していた霊が体をこちらに向け、一歩近づいてきた。
「……って思ったけどなんかなかったわ! ごめん貸せないかなー」
震えながら早口で伝えた。
なんだよ。と和希は小声で言いながら立ち上がる。
「寝室にケーブルあったかな」
和希はケータイを持って隣の寝室に移動し、霊と悟の二人きりになった。
***
(……とりあえず離れよう。)
悟はそっとカバンに手を伸ばそうとした時、霊が体ごとこちらに向いた。
「ううぇっひ!!」
背中から変な汗が出てくる。
顔は髪の毛で見えないが、こちらを見ている気がする。
「和希?」
霊がこちらに歩いて来る。
「和希!? まだ?ケーブル見つけた?」
霊が近づいて来る。
( なんで!? こっち来るけど!! なんで? )
霊がじりじりと近づく。
「ちょい! ちょいちょいちょい!!」
叫びながら悟はカバンの中にある紙の束をつかみ、霊に向けて投げた。
***
「いやー。ベットの所にケーブルあったから携帯さしてきたわー。
さっき呼んでた? なに言ってたか聞こえんかったわ」
和希が部屋に戻ると、散らばった紙と涙目で息切れをしている悟がいた。
散らばっている紙には難しい文字と模様が施されている。
「お前なにやってんの人ん家で」
「いや、そこにいた幽霊が……こっちに来たから……つい。」
「怖い怖い。俺だから良かったけど、他の人の家でやるなよ?」
落ちている紙を拾って悟に渡す。
***
二人の会話をテレビの傍から霊が見ていた。
「いったー! 何あの紙、バチンってなったんですけど。足むちゃ痛いんですけど。こんな事ならいつもみたいに無視して帰ってればよかった」
どおやら帰り道で和希の家を通り過ぎている最中だったようだ。
「マジむかつく! ちょっと時間があったからおちょくっただけじゃんか」
霊は足をさすりながら二人をみる。
怯えている男が指をこっちに指している。
「何だおまえ! こっち見んな!!」
「ほら!! こっちに何か叫んでる!! 絶対やばいってこの家!!」
「うるさいな。テレビの所だろ? なんもいないって」
怯えている男を見るに、どうもこちらに気がついているらしい。
(見えるやつに会ったの初めてかもしれない)
この痛み分もうちょっと怖がってもらうか。
霊は少し楽しくなり、再度二人に近づく。
「ほら、こっちにまた来た!! むりむりむり!!」
「お前普段叫ばないのに今日はテンション高いな。そういう日なん?」
霊が一歩近づくたびに悟の声があがる。
(お、これ面白いな。やばい私もしかしたらSだったのかもしれない)
霊はテンションが上がり、もう一歩近づく。
拾い忘れていた紙に気が付かず、ぐっと踏みつける。
バチバチ
足の裏に激痛が走る。
「いっった!!」
霊は痛みで、その場に勢いよく倒れこんだ。
「っほら見て!! 札のおかげで幽霊が倒れてる」
悟はバチバチと火花を出している紙を見るように和希に言った。
「ちょ!! おまえ何してんの!!」
紙から出ている火花が、カーペットに燃え移る。
「ふざけんなよ、人ん家で紙燃やすとかイっとんのか?」
慌てて水を取りに行くが、火がどんどんと広がっていく。
「お前も手伝えって」
和希は一生懸命水をかけるが火が消える気配がない。
***
火が落ち着いたのは30分後に消防車が来てからだった。
黒焦げの部屋の中、煤にまみれの和希が咳き込みながら起きか上がった。
家具も全て燃え尽きた部屋を見渡しながら唖然とする。
横で同じく横たわってる煤まみれの悟を見つけた。
「おい起きろ!!」
体を揺さぶるとピクリと反応した。
反応を見て安心をしたと同時に、怒りが込み上げてくる。
「おい!! お前のせいで家燃えたじゃん!! これどうして……くれるん…………だれ?」
ゆっくりと起き上がったのは、知らない女性だった。
「あっぶな、あまりの痛さに気絶してた。なにあの紙、もう二度とここ通らんとこ……」
女性は黒焦げの部屋を見渡す。
「くっろ!! なにこれ。こわー」
「あの、すいません」
突然声をかけられた。
「は、はい!! なんでしょう」
久しぶりに声をかけられて驚く。
「あなた誰ですか? ここ俺の家なんですけど」
「へ? あー、え?」
2人が状況に追いついていない中
「あ、和希起きた?」
「悟、お前大丈夫だったのか」
「まあ、大丈夫ではないけど」
「どゆこと? まあいいや。お前この状況どうするんだよ。俺の家全焼だぞ全焼! ふざけんなよ!!」
悟はなにか言いづらそうに黙っている。
「黙ってないでさ、どうすんのって言ってんの」
「和希さあ、この人見える?」
「んえ? この人? なに、お前の知ってる人?」
「いや、さっきからずっと言ってた幽霊の人なんだけど」
「幽霊? だから俺幽霊は見えないんだって。お前ふざけんなよ!!」
和希は立ち上がり、悟に掴みかかろうとする。
!?
つかみかかる為に一歩踏み込んだが、おかしな感覚がした。
目の前の作を踏み台にしたはずだが、机を踏んだ感覚がなかった。
ゆっくりと机に目を向けると、机を貫通している自分の足が見えた。
「なんだこれ!!」
驚いている和希の肩に女性が手を乗せる。
「なんて言えば良いかわかんないんですけど、ご愁傷様です」
「ご愁傷様です?」
状況の説明を求めるように悟を見る。
自分もと言わんばかりに、悟は足が机に貫通する様を何度も見せてくる。
「まあ……あんな火事の中にいて助かるわけもないよねーって感じかな。でもほら、幽霊って本当にいたでしょ?」
女性を見ると憐みの表情で頷いている。
和希は自分の状況をやっと理解し、深呼吸をした。
悟を見ると、霊がいたことがうれしいのか満足気な顔をしている。
とりあえず悟をボッコボコに殴った。
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