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短編 仮題『ここに』

作者: 文海マヤ

頁の端っこにでも書いておけばいい。

それでもう、忘れないから。

 むかしむかしの ものがたり

 はかもりは みずべでこいにおちたのです

 うつくしくもはかないすがたに

 ただ なみだをながしたのです


 けれど おのれのみのうえゆえに

 かれはみをひきました

 おやくめをはたすために

 あいはむようとかんがえたのです


 それでも かれはよかったのです

 よるになれば うたがきこえる

 みずべにいけば またあえる

 それだけで よかったのです


 おだやかなひびがつづきました

 はかもりは はなしかけもせず

 じかんになれば みずべへとゆき

 うたにみみをかたむけました


 ふたりのあいだにことばはなく

 たまにしせんをかわすだけでした


 そんな あるひのことでした

 ちいさな きりのかんおけが

 かれのもとに はこばれました

 そこにねむるものをめにしました


 あめがふりました

 ながいながいあめでした

 とむらいのためにひつようなひを

 すべて けしてしまうほどでした



 かれは りょうのめをつぶしました



 しごとが ひとつふえました

 それは ねむりをまもること

 たいせつな だれかのねむりを

 かれはてるまで まもること


 それは つらいしごとでしたが

 かれには くではありません

 ひかりをなくしたまぶたのうらに

 たしかに そのかげはあるのです


 きょうもまた うたがきこえます

 とむらいのうたが

 すすりなきのうたが きこえます

 

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