表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
44/46

第44話 「告白」


少し短いです。

あとシリアス風味の話なので、苦手な方は気をつけてください。




 私は、年に2回しか司祭様が来ないような、田舎の出身です。道がひどいので、行商人の人もあまり来なくて、街との交流なんてありません。


 私の村は小さくて特徴もないし、魔物が少ないのが唯一の取り柄です。どこにでもある村だと思います。


 私の家は貧乏で、子供の時からいつもお腹が空いていました。ほら、だからわたし、今でも痩せてるでしょ。お店の他の子達とは大違い。


 おまけに頭も悪くて、文字は当然書けなくて、数もよくわからなくて、手先も不器用で、何にもできないんです。


 去年は小麦がたくさんできなくて、私の家は最近食べ物が足りなくなって、だから私、街に来たんです。まだ妹や弟もいますから。


 いくら村に子供が少ないといっても、私と結婚したがる人はいないです。メリットがありません。


 街に来たらお金を稼げるんじゃないかって。行商人さんは、若い女の子なら誰でも稼げるお仕事があると教えてくれたんです。


 でも、都会はそんなに甘くありませんでした。


 わたし可愛くないし、何にも知らないし、話は面白くないし、失敗ばかりして、収入もほとんどなくて。他の仕事もない。


 何とか食事はもらってますけど、雑用の時間ばっかりです。行商人さんに家族へのお金を預けることなんてできません。私が欲しいぐらい。


 やっぱり、私には無理でした。田舎で大人しく畑仕事を手伝えば良かったと思います。それがわたしにはお似合いなんです。


 端っこの使われていない危険で食べ物が育ちにくい畑なら余ってます。そこなら家族の世話になりながら食べ物を家に入れられます。


 頼れる人はいません。街に仲の良い人は誰もいないし、この商売をしている人は、教会にも行けないって他の子達に言われました。


 穢れているから、無理だって。商売女には、神の慈悲は与えられない。追い返されるそう。


 はは、穢れているんだって。わたし、ただの普通以下の田舎の女の子から、穢れている人間なんだって。


 この笑いも不気味ですよね。ただでさえ顔が良くないのに。


 この前、小さい頃からずっと一緒だった男の子から伝言が来ました。帰ってこいって言ってました。


 私、パウル、あっ、その男の子の名前です。パウルには何も言わずに街に来たんです。


 いつか帰るつもりだったし、心配かけたくなくて。


 周りの人はいつか私たちが結婚するって言ってたし、私もいつかパウルと夫婦になるんだなって思ってました。


 そんな人生も、幸せそうだなって。


 好きだったんです。優しくて、私のこと引っ張ってくれて。他の男の子みたいに馬鹿にしないし、その私を誘い出すときの顔が何よりも好きでした。


 でも、わたしにはもう無理。穢れちゃった私は、パウルと結婚できないから。パウルに悪いことが起きちゃう。


 村に帰るお金もないんです。行きは行商人さんが連れてきてくれたけど、帰りはダメらしいです。


 スラムの方に、もう、なんかすごい雰囲気の人たちっているけど、私もそう遠くないうちにそこにいるだろうなって感じて。


 終わりです。あそこに行ったら、人生は終わりです。お店の女の子はみんなそう言ってます。だから頑張るんです。


 そこに行きそうな私の人生、なんだったんだろうって思って。何にもできなくて、ただ死ぬんだって思って。


 誰にも必要にされなくて、誰にも知られず、死体になって、身包み剥がされて、迷惑そうな顔をされて燃やされるか川に流されるんです。


 笑えないよ。笑えないよね。ごめんなさい。


 そしたら、久しぶりに、今日はお店に出ていいって言われて、張り切って、綺麗な服を着て、でも誰も私に見向きもしない。


 そんな中でヨースケ様が、私のことを指名してくれたんです。


 やっとお金がもらえるって。見た目にはお金はなさそうけど、お店に来るぐらいだからちょっとはあるはず。私、そう思いました。


 でも、久しぶりのお客さんにも、やっぱり失敗続き。


 噛み続けるし、笑顔はひきつっているし、冒険者の人の目を見るのも怖いし、身体をくっつけるのは恥ずかしい。


 ヨースケ様が買ってくれたワインもこぼしちゃって。前に1回やっちゃったんですけど、その後みんなにものすごく怒られたんです。


 店の評判が下がるらしくて。それで、店には出してもらえなくなりました。


 私、またダメだった。もう終わりだ。今度は店から完全に追い出されて、あそこに行くんだ。


 えっと、私、ヨースケ様から何が何でもお金をもらうつもりでした。


 お金お金って、ひどい人ですよね。そういう意味でも、わたしは穢れているのかも。普通の人はお金にこんなに執着しない。


 ふふ。目の前にいた女性の心に驚いたでしょ。ごめんなさい、ごめんなさい。私、壊れてるの。


 もらったお金は全部行商人さんに預けて、パウルに送って、死ぬつもりです。


 穢れちゃってごめん。あなたと一緒にはなれません。死んだ後も魔神の手下になって、パウルとは一緒になれないけど、幸せになってね。


 きっと、伝言はきちんと伝わります。いや、悪い子だから、伝わらないかもしれません。


 もうどうでもいい。ぜんぶ全部、どうでもいい。私が悪いの、何もかもうまくいかないのは私のせい。


 頭が悪くて手先が不器用で失敗ばかりの私が原因。私がいなくなれば、みんな嬉しいから。


 だってそうだもん。ダメな子がいなくなって、お父さんもお母さんも兄弟だって、みんな私のことはいらないと思ってる。


 パウルは、少しは悲しんでくれる、と思う。そうだと嬉しいな。今でも好きな人だから。


 でも、パウルもいつか私のことを忘れて、かっこいいお父さんになるから。私がいると、ただの邪魔者だから。


 司祭様、ありがとう。


 さっき、転んだときに優しく声をかけてくれて、心があったかくなった。


 パウル以外にそうしてくれる人、初めてだった。この人なら大丈夫、そう思った。売りっていうの、できそうだって。


 そしたらね、痛かったはずの膝が痛くなくて、見たら治っていて。目の前の人がしてくれたのはすぐにわかった。


 村に来ていた司祭様のことを思い出したの。司祭様は誰にでも同じ感じで、私にも普通に接してくれた。


 その司祭様が、治癒の魔法を使える人は教会の人だって教えてくれた。


 死ぬ前に、罪を告白すれば少しでも軽くなるかな。家族やパウルに迷惑かけたくない。


 だから、勇気を出して個室に誘いました。パウルの話すときみたいに、ドキドキしたな。


 よくやったってお店の人に初めて言われました。お水で身体を綺麗にしました。気分が少し良くなった気がしました。


 それで、お部屋の中に入って、こうして告白しています。


 ……。


 わたしは、赦されるのでしょうか。生きていいんでしょうか。


 司祭様、教えてください。




上田洋介 Lv.32

HP:134/134 MP:315/315

ジョブ:雷属性魔法使い

スキル:雷魔法 Lv.4

    治癒魔法 Lv.4

    剣術 Lv.3

    観察術 Lv.4


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ