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転生嫌われ令嬢の幸せ漢飯(日常)  作者: 赤羽夕夜
婚約破棄編

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67/90

正体

ミリアーナたちはご飯を食べ終えると、屋敷に変える準備をする。しかし、クリフォードはデイヴィスと話をしたいとのことだったので、先に帰ることに。


クリフォードはミリアーナが帰ったのを確認すると、別のお店に場所を移して気まずそうに頭を掻いた。


「父上、何故こんな下町にいるのですか」

クリフォードの父、デイヴィス・シレーヌは楽しそうに笑うと紅茶を傾けた。

「俺だってたまには羽をのばしたくなるものでな。おまえが知らないだけで、結構こうして下町で食べ歩きをしているぞ」

「それはシレーヌでの話でしょう。……あんまり羽目を外しすぎると母上に怒られますよ」

「……最愛の息子が留学している国の治安調査の一貫だ。ベラには絶対いうなよ?」

「……母上にはいいませんよ。後が怖いので。……で、ここにいる理由は?」

「今度、ノエルとシレーヌの親交を深めるために、両国の重要貴族たちを招いてパーティーをすることになってな。それをノエルですることになったから、その前乗り。ここにいるのは完全に俺の趣味だ」


「紅茶うまいな」と喉を潤すデイヴィス。そんなことは初耳だと驚くクリフォード。


「それは……まぁ、大人同士の話し合いで決まったことだし。おまえが知らなくて当然だ。……で、あれがおまえが気になってるミリアーナ嬢か。いいじゃないか」

「――イイ女でしょう」

「…………女にドライなおまえがそんなに褒めるなんて、相当だな。ミリアーナ嬢は一応

アシュリー王子の婚約者だろ?」

「……うるさいですよ。ミリアーナはアシュリーに心を向けていないし、俺にまだチャンスはある」


ふぅん、と肯定的に唸るデイヴィスは、意地悪い笑みを浮かべて腕を組んだ。人に、しかも女性に対してこうも諦めの悪い息子を見るのははじめて。それも他国の、しかもこのノエル王国の宰相の娘と来た。


身分的には申し分ないし、両国がより深い絆で繋がれるためにはそういう道もあるのかもしれない。それに、容姿も可愛ければ、面白い特技もあるようだと。


その笑みに複数の思惑が含まれていることをクリフォードは知るよしもない。ただ、断定できるのは、クリフォードがミリアーナを思う気持ちに肯定的ということだった。




「夜会……ですか?」

「ああ、両国の関係性をさらに深いものにするために、シレーヌの皇帝を招いて開催することになった。日程は1週間後だな」

「通常、1ヶ月前には知らされるものなのですが、急ですね」


両親と食卓を囲いながら、話題に出る夜会の話。開かれるパーティーはいかにも重要そうなのに、伝えるには少々遅くないか。


「お互いが自然な形で知れるように、との王様と皇帝の配慮だ。まぁ、僕たちにとっては迷惑な話だけど。ほら、当日の人員配備とか、提供する料理とか考えなければいけないし」


重々しく息を吐くお父様。目の下にはクマが出来ている。


国規模のパーティーの準備は宰相の仕事になるので、通常業務と合わせて忙しいのは仕方ないことだけど……。


「無理しないでくださいね。お父様が倒れたらと思うと、私、気が気ではなくて」


父親としてかけがえのない家族。なにかあったら悲しい。思えば最近、城に務めっきりで合えなかったお父様、よく観察するとやつれたような気がする。


「きちんと食事は取れているのですか?」

「ああ、忙しくてね。実は今日のご飯が2日振りのご飯だったり……」


力なく笑う。笑いごとじゃない、お父様。


いくら忙しくても栄養は摂取しないと、元気も出ない、倒れてしまう。

静かに食事を取っていたお母様も「忙しいのはわかりますが休んでください」と肩を落とした。


……私にできることと言えば、差し入れを作ることくらいだけど。お父様が仕事の合間でサッと食べれるもの作れないかな。


体裁的に私が作ったことを知られるのはよくないけど、シェフが作った体で持っていけば問題ないはず。

「お父様、よろしければ、私がお父様の食事をお作りしましょうか?仕事の合間でサッと食べれるものを……」

「え!!ミリアーナが作ってくれるのかい!?」


がたり、と椅子を引いて勢いよく立ち上がる。お父様、食事中。お母様が鬼の形相で睨んでますよ。


と視線で語ると、こほんと咳払いをして座り直す。


「――ごほん。失礼。ミリアーナが作ってくれるなら願ったりもないのだが、いいのかい?」

「はい。少数であれば、そんなに手間はかかりませんし。お父様が栄養失調で倒れる方が心配ですから」


ちらり、と横目でお母様を見ると、とくに異議はなさそうにグラスに入った水を煽る。この反応はOKのサインだ。


「じゃあ、お願いするよ。明日からよろしく頼む」

「はい、お口に合うかどうかはわかりませんが、精一杯作らせて頂きますね」


お父様のお弁当作りが決まった私は、早々に食事を切り上げて、明日からのお弁当の仕込みをするために厨房に向かった。


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