使う......かぁ(一方)
「ど......どうしよう、ミリアーナ様が崖から落ちちゃった」
ミリアーナが崖から転落して少しして。
崖から転落する様を呆気にとられ見てるしかなかったマリアが放心状態から我に返った。
動揺で口元を抑え、人ひとりの命がかかっている惨状をやっと理解したマリアは、対処をどうすればいいのか胸を押さえるしかなかった。
「無事かしら……でもこの高さじゃ......」
ミリアーナが落ちていった崖を見下ろすと遥か下には川と川岸に
生える木々が広がっているだけで、ミリアーナの姿は見えなかった。
どうするかあぐねいていると、ひとつ思い出したように手を叩いた。
「あ、そうだ、ミリアーナ様が通信用の札を持っているから安心じゃない......!」
緊急用の札のことを思いだし、安堵の表情を浮かべるマリア。
ホッと一息つくと、あっと声を漏らした。
「ということは、通信手段のない私の方が危ないんじゃ......?野宿の心得なんてないし、なにより独りぼっちだし......」
不安で声を震わすマリアはすでに自分の心配しか心になかった。
マリアにとってはミリアーナとはその程度の存在で、やはりこちらも自分の身の安全を第一に考える。
マリアはミリアーナが命を落としてもおかしくない高さから転落したことすら忘れて咄嗟につぶやいた。
「怖いわ......アシュリー様、助けて......あ」
身を震わせていると崖端に一枚の落ちた紙が視界に映る。それはミリアーナが所持していた地図だった。
「地図だわ!なんて私、運がいいの?これを頼りに先生と合流すれば助かるわ!頑張ってゴールを目指しましょう」
希望の光が見えたマリアは大切そうに地図を抱き上げた。
実際その地図を見ても、ルート管理をしていたのはミリアーナなので、自分がどこにいるのかあんまり把握していなかったマリアだが、地図があるという安心感であとはどうにでもなるだろうと楽観的に状況を判断した。
その時、すでにミリアーナの生死など頭の中から消え去っていた。
というか、そもそも心配すらしていないのだが、本人はそれすら気づいていない様子で読めない地図とにらめっこをして、重いリュックを背負いそれっぽい道を進むことにし、足を向けた。




