そんなこんなで
「――というわけでして......。どうしたらよろしいでしょうか。お父様」
クリフォード様の一件をお父様に伝えた。お父様は自分の顎を人差し指の関節で触りながらなにか考えているようだ。すこし立ってから起こった経緯に関する回答をくれる。
「彼にも夜食会の参加を認めてもいいんじゃないか?夜食会に際しての秘密とルールは守るし概要も伝えてるんだろう。なら断る理由がない」
お父様であれば、クリフォード様の申し出を断ってくれるかと思ったのだが正反対の回答だ。お父様がなぜ夜食会の参加を認めたその意図がわからないが、お父様がいいというのであれば私はこれ以上意見をいうつもりはない。
意見(反対)を言ったところでそのあとの言い訳なんて考えてないし、変に断って関係が悪化するのも避けたい。
「......わかりました。クリフォード様にもこのことをお伝えします」
「おや、いつになく不安そうな表情だね?夜食会は君が主催しているんだし、嫌ならいってくれていいんだよ?趣味で開いてる会なのだしね」
「私、そんなにわかりやすい表情していましたか?」
「いや。表情には出ていなかったが声色がよくなかった。......まぁ、それがなくとも子供の言いたいことを理解できてこその親だろう?」
はははとお父様は軽快に笑いセットされた私の頭に触れた。
飼い犬を撫でるような優しく少々荒々しい手つき。心地はいいのだが、せっかく整えた髪型も崩れる。
「お父様、髪の毛が乱れてしまいます」
「おっと失礼、ミリアーナがいつになく可愛い反応をするものだからね。王子の夜食会の参加もそう悪いことにはならないから安心してくれ。――なにかあっても私がこの家を守るから」
お父様の頼もしい言葉で一人で抱えていた不安が和らいだ気がして、肩の力も少し抜ける。
「この留学中は王子の世話役は年の近い君の役割ではあるがなにもすべて背負う必要はないことは忘れないでくれ。わからないことや困ったことがあれば私やシャンデラに相談して。それでも解決しなければ一緒に考えよう。私は多忙の身ではあるが家族が困っているときに時間がさけないほど要領もわるくない。わかったね?」
「はい、お父様。御心、お言葉に感謝いたします。このミリアーナ、精一杯にクリフォード様の御世話役させていただきます」
肩に乗せられたお父様の手は大きく、ほんのりと温かみを感じた。頼もしい。慈愛の視線を感じると、お父様は続けて言葉を口にした。
「いってしまえばクリフォード殿下の世話はアーテル家の役目ではある反面、この家の主人は私たちで滞在している間は私たちがルールだ。もし殿下が私たち家族になにかするようであればそのときは…...。――ふ、ふふふ、フフッ」
「お父様、その......。笑い方が恐ろしいです」
そんなこんなで、クリフォード様も夜食会デビューすることになりましたとさ。
......胃が痛い。




