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転生嫌われ令嬢の幸せ漢飯(日常)  作者: 赤羽夕夜
深夜の秘密食堂(15歳)編
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①ミリアーナはわるい子です......

突然だが私、ミリアーナ・アーテルは生前の記憶を持っている。

生前では日本で普通のOLとして会社に勤めていたが、交通事故に遭ってそこからの記憶がない。

このことから、自分はいわゆる異世界転生を体験しており、その当事者ということが自己分析できる。


まぁ、そんなことはぶっちゃけ今の私にはどうでもよかったりする。

確かに交通事故で24年の人生は幕を閉じてしまったし、両親や自分を理解してくれるかけがえのない友人は悲しんだだろう。

しかし、ミリアーナである私にとっては15年以上の前の出来事だし、記憶も今ふわっと風が運んできたような軽い感覚で思い出したし。

ミリアーナとしての人格がしっかりとできているので、特に生前に未練といった感情はない。


――だが、だ。この記憶を思い出したことにより私の中で重大な問題が発生した。

それが記憶に焼き付いた、OL時代に食べていた濃い味付けの料理の数々だ。

丼ものや焼き物、揚げ物に至るまで、庶民的で懐かしい料理の数々が今現在進行形で食べたい衝動に駆られている。


ああ、食べたい。


けど、この世界にはそんな庶民的な食べ物は存在しない。

......違う、このミリアーナの周りに求める食べ物がないのだ。

ミリアーナ・アーテル、アーテル家は公爵の位。食べ物や趣味に至るまで身分に相応しいものしか用意されない。

例えばフランス料理を想像させるレパートリーやコース料理といったものが主流。

間違っても炭水化物とおかずをドッキングさせたB級グルメなど周りに存在しない。


また、生前の食欲が刺激されると同時に物欲、行動欲も同時に湧き上がる。

例えば、私は釣りが大好きなのだが、そのための釣り竿やルアー、釣り餌とか揃えて、魚がよく釣れる場所とか探したい。


ああ、生前の記憶がよみがえってしまったばかりに、公爵家令嬢にあるまじき行動を起こそうとしているわ。私......。


冷静になれ、私。お父様、お母様が完璧な淑女であるように立派に育ててくれたのよ?

その15年を無駄にする気......??


......でも、しばらく考えてその葛藤が無駄になる。

結論、したいようにしよう。

だってこの物欲も行動欲も食欲も抑えられそうにないし、周りに迷惑かけるものでもないと私が判断したから。


それに、したいことを抑制してストレスが溜まる生活をする方が問題だ。

開き直った私は今日も今日とて好き勝手に親父趣味全開にふるまうのであった。


......ごめんなさい、お父様、お母様。私、ミリアーナは悪い子になってしまいます。

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