彼女の正体
しばらく沈黙が続いた。冷静になる時間が必要だったからだ。
僕は、何度か呼吸をおき、そして、宮津さんに問いかける。
「宮津さんが、男・・・?どういう意味かな・・・?」
「えっとね、男の娘って知ってる?男の娘って書いて。」
「う、うん、聞いたことはあるよ。見た目は可愛い女の子だけど、性別は男の人のことだよね。」
僕が可愛いって言ったとき、また宮津さんはちょっと顔が赤くなっていた。
「そう、私はその男の娘なんだ。ごめんね、騙してたわけじゃないんだ。ただ、私は男の娘として生きていきたいんだ。両親もね、理解してくれてる。」
申し訳なさそうに、そう説明してくれた。
「そっか・・・。そうだったんだね。」
僕は、そこで一拍置く。
宮津さんは不安そうな顔をしている。
だから、僕はまた同じ決意をするんだ。
彼女に不安な顔をさせたくないと。
「僕は、それでも宮津さんが好きだ。だって、それを知ってなお、ドキドキしてるから。」
僕は顔の火照りを感じながらも、しっかりと宮津さんの顔をみてそう言った。
「・・・!?」
信じられない、っといった感じだろうか。と同時に、嬉しさもあったのだろうか。
顔を赤くさせながら、驚いた表情の後に、ゆっくりと笑顔に変わっていった彼女の表情。
そんな、表情豊かな宮津さんを見て。
あぁ、好きだな。
と僕は思うのだ。
「ありがとう・・・。高嶺君。でも、どうして・・・?クラスに可愛い女の子いっぱいいるよ?私は、ほら男の娘だし。」
微笑みながら、そう問いかけてくる。
不安というよりも、疑問だろうか。
「そうかもしれないね。でも、僕はさっきも言ったけど一目惚れしたんだ。そして、宮津さんと仲良くなって、宮津さんの明るくて、人当たりがよくて、笑顔でいるところを見てきて、好きになったんだ。今更、女の子じゃないなんて、関係ないよ。」
僕は、ただ思ったことを素直に伝えた。
「・・・。葵君って意外と饒舌なんだね。」
顔を赤くしつつも笑顔を浮かべ、そういってきた。
さりげなく、名前呼びをして。
「今、名前で呼んだ?」
思わず、問いかけてしまった。
「うん、葵君、名前で呼びたいから。私の事も名前で呼んでいいよ。」
「う、うん。莉緒さん。でいいかな?」
「ん~、莉緒でいいよ。」
「莉緒?」
「うん、葵君。ありがとね、ホントに好きだなんて思ってなかったから嬉しかったよ。」
「そ、そうなんだ。」
「だってさ、さっきの言葉は私が男の娘と知らなかったとはいえ、他の誰でもなく、私が良いって思ってくれたってことだよね。」
「うん、その通りだよ。僕にとっては莉緒が一番魅力的にみえたし、今でもそう思ってる。」
「そっかそっかぁ。今まで自分に自信なかったけど、なんか急に自信出てきたかも。」
ルンルンと♪マークが出そうな上機嫌だ。
あらすじに書いてあるので、分かりますよね(笑)
PV数見てびっくりしました。250超えてました。ありがとうございます。