学校システムが特殊
授業が始まった。この学校のレベルはたぶん、上、中、下で言ったら中ぐらいだ。
僕の成績はひたすら平均値だったのでこのぐらいが限界だ。ただ、この学校を選んだのには理由がある。
それは、授業が基本すべて選択できるのだ。好きな科目を好きなように選べる。
本来なら必須科目があるが、ここは例外的な最先端の学校なのだ。
―――教育システムが電子タブレット式授業で各々の進み具合に合わせて進行できるようにしてある。カリキュラムは学校独自で決めている。飛び級もありだ。そういう意味ではクラス分けは、ほぼ意味ない。個別塾に近いかもしれない。―――
このシステムの都合上テストがないので、テストの点数などで評価する他校と比較することは不毛だとは思う。
その気楽さが僕にはありがたかった。だから、基本的にはすべて好きな科目を選んでいる。
・・・のだが。なぜだろう、教室移動があっても宮津さんと被ることが多かった。決して彼女が何を選ぶか調べたりはしていない。完全なる偶然だ。自然に、会話の回数は増えた。
「あれ、高嶺君、また一緒だね。」
彼女は驚きながらも、明るく話しかけてくれる。
「ホントだ、よく被るね。」
僕もつられて、明るく返してしまう。
こればかりは、運の巡り合わせに感謝だ。彼女といられる時間が増えて嬉しいと思う。
彼女は積極的に話しかけてくれる。
「今日はもしかしたら、ずっと一緒かもね。」
「アハハ、そうかもね。偶然だけど、嬉しいよ。」
「え?そうなの?」
しまった、とっさに本音が出てしまった・・・!
「う、うん。だってほら、安心するから。クラスも一緒で委員会も一緒だから。」
「そうだね、私もちょっと不安だったから、わかるかも。」
よかった・・・。うまく好意的に思ってもらえたみたいだ。彼女は疑うことはしないようだ。僕は彼女のその一面を素直に好きだなと思った。
「今日だけじゃなくてさ、明日からもかなり一緒になると思うんだ。たぶん、そんな気がする。」
「うん、そうだね、私もそんな気がする。」
ニコニコと彼女は明るく同意してくれる。
知り合ってわずかなのに、まるで前から知り合っていたかのように彼女と楽しく話せている。わりと臆病で消極的な僕が、ここまで話せるのは宮津さんの明るくニコニコしている性格のおかげだろう。
その後の授業もおわり、HRの後、委員会の時間だ。
1000字近くなったので、一旦切ります。