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君と僕  作者: 春乃苑香
3/10

絶対なる神に無償の慈愛を求めると言う驕った過ちをも称う


第三話は森サイドです。


「どこへ行ってたの?」君が尋ねる。「教会。」僕が答える。

 

「へえ。そんなものが近くにあったんだね。」「大学の近くだよ。知らなかった?」

 

「何かをお願いしてきたの?」「うん。」

 

「えっ、ほんとに?!どんなこと?」

 

「もう苦労しないでいいように、無償の慈愛をお与えください、って祈ってきたよ。」

君が、という主語を抜いたのは僕のエゴ。

 

 

絶対なる唯一の神?

無償の慈愛?

 

そんなもの、元々どちらも信じていない。


ただ、君のいない君の家にはじっとしていられなくて。

だからといって、何をする気にもなれなくて。


勝手知ったる大学周辺だからと、散歩を始めたら、知らない路地にたくさん突き当たった。



教会なんてのがあった。

目に入ったら、扉を押してみたくなった。

扉が開いてたから、入ってみた。

入ると、話しかけてくる人がいた。

その人は色んなことを僕に言った。

その人は話が上手くて、僕はちょっとその気になってしまった。



他人のために祈ろうなんて、ちょっとした気まぐれだった。

  

僕のもつ感情はただの驕りで、すぐ他者に縋るのはただの過ちだ。それなのに「それ、いいねっ。僕も今度、お願いしてこようかな」なんて、君は明るく笑って言えるんだね。

 

 

こんな僕なのに。本当に、君は僕の全てを、認めてくれる。君は気づいてないかもしれないけれど、教会になんて行かなくたって、君という神に僕は救われてるんだよ。

 

 

君が苦労しないように、やっぱり明日もお祈りにいこうか?

 

うん。

苦労させてるのは、僕だ。


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