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君と僕  作者: 春乃苑香
1/10

この世の不条理こそ飽食を覆し安定の不在を証明する最高のスパイス

二人とも僕視点で分かりにくいかもしれませんが、一話ごとに視点を設定しているので、各話の途中では入れ替わりません。


第一話は山田サイドです。


森君はときどき不思議なことを言う。


「この世の不条理こそ飽食を覆し安定の不在を証明する最高のスパイスだったんだ。」


僕には森君の言ってる言葉が一つも分からない。


「森君、どうしたの?」

「仕事もなくなって、女にも逃げられた。おかげで、僕は今日のご飯にも困る有様だ。」


それは大変だ。僕は事情を聞くことにする。



森君は言う。


「上司に『お前、馬鹿じゃないの?』と言ったら、いきなり首になったんだ。

 同棲してた女にその話をしたら「あんたこそ馬鹿じゃないの?!」と怒鳴られ、

『わめくな、ヒステリック女。』と言ったら、女も荷物まとめて出て行った。」


「僕は正直なだけなのに、不条理だと思わないか。」


「家事は女が全てやっていたから、僕は何も出来ないんだ。

 当然、家はごみの山になってきてね。大家に家も追い出されたんだ。」


えっ。家、追い出されちゃったの。


「家賃も滞納してたしな。」


それ、いつの話?


「家を追い出されたのは、今さっき。会社をくびになったのは、半年くらい前の話だよ。」


しばらく連絡とってなかったけど、森君、大変なことになってたんだな。


「そこで、気づいたんだ。この世の不条理が飽食に倦んだ世界を覆し、安定の不在を証明する最高のスパイスだと。」



僕は口には出さなかったけど、思ったんだ。

ねえ、森君。それって、全部、君が悪いんじゃない?


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