5-3
死のカウントダウンが近づくにつれて、冷静さを保てなくなるものだと思っていた。
実際に直面してみるまでは。
実際に直面してみて判ったことだが、死ぬという事に実感が湧かない。よくよく考えてみれば、転生を果たす前に一度死んでいるはずなのだが、気付いたら死んでいた、という様な状態で、今回も死ぬときはあっという間で、死んだことすら気付かないなんて事も充分に有り得る。
でもなんでこんな目に遭っているんだったっけ?
誠は回想に入る。
――死を迎えるまで残り4秒
異世界到着早々、言葉が通じないという問題に直面。
転生した人々の集まる街『カルーラ』へ到着するや否や、エルフの少女ユリに連れられ学校へ。
強制的に授業を受けることに。
「鬼ごっこしましょう」
担任の一言からすべては始まった。
折角だからみんなの実力が見たいと、魔法やスキルの使用を可とした異世界ならではの鬼ごっこ。みんなも結構ノっていた。ノリノリだった。
その結果、暴走した? 先生の魔法で爆破・爆裂・etc.
あ、回想終わっちゃった。
――残り3秒
この時間何か怠いなぁ……
…………
……
…
――2秒前
「結局、俺たち死ぬのかな?」
一緒に宙を舞う同級生に訊ねる。
「大丈夫、だと、思う」
一拍置いて。
「これ、幻術、だから」
「……えっ?」
――1秒前
「幻術、というより、夢に近い、かも?」
「夢? それはないだろ。実際に身体痛いし」
「それだけ、現実と区別がつかないって事」
聞き分けのない子どもを諭すように続けた。
「鬼ごっこするだけで、私たちは、あんなに、はしゃがない」
確かにそうだ。
記憶の中で、「鬼ごっこをしよう」と言われてはしゃぐ姿はどこか現実味に欠けていた。
そもそも、この異世界学校にノリノリで鬼ごっこをするなんて奴はいそうになかった。
記憶をしっかりと辿ってみればノリノリで、「鬼ごっこイェーイ」と騒いでいた直前(誰だこれ!?)――みんなは怠そうに机に突っ伏していた。
「たぶん、死ぬと同時に、目が覚める」
――0




