3ー3
相変わらずクソみたいな接客だな。
こんな店、現代じゃ絶対に行かない。行きたくない。食○ログ2.1だな。接客でマイナス2.9――アルバイトがいなかったら0.0だ。
勇者と呼ばれる存在である屋敷仁は腹を押さえる。
つい先ほど出てきた料理が、箸をつける前に強奪されたのだ。
怒り心頭である。
とは言え、強奪を指示した黒幕は厨房に引っ込んでしまった。
実行犯であるウェイトレスを咎めるのも違う気がする。
と言うわけで、俺は、俺の料理を頬張る名前も知らないおっさんを睨んでいた。
「客を睨むのはやめろ。客商売の基本だぞ」
「お前が客商売を語るな!」
人の料理を強奪し、その料理を他の客に出すなど、間違いなく客商売の基本ではない。
そんな不条理がまかり通る世界などあってたまるか……この場所こそがそんな世界だった。
転生したい。
もう一回チャンスないかな?
今度また転生出来るなら転生特典で「俺に優しい世界」を要求しよう。
俺は隣に座る勇者へと目を向ける。
「なにか僕ちんに用?」
「いや、なんでもない。」
〈僕ちん〉なんてふざけた一人称は、二度の人生で一度しか出逢わなかった。
なんでお前がここにいる?
他の奴らはこの神様とは別の神様に転生させてもらったとい言う。
僕ちんこと《バラム王国の勇者》は、元神様ということもあってその能力は頭一つ突出していた。
真のチートたる元神は唐突に席を立つ。
「僕ちんのδ定食あげる」
こちらの返答を聞くよりも早く転移魔法を発動。
その姿を消した。
その直後、タウンチャイムが鳴った。




