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8話 魔法

ブックマークありがとうございます

『魔力感知を覚えました』



え?


何か聞こえた様な気がしたけど、気の所為だろう。

修行の続きをしますか。

目を閉じて体内へと意識を向ける。



『魔力感知を覚えました』



わかったよ!!!

そんな何度も言われなくても、魔力感知を覚えたのは理解してるんだよ!!!

ただ、修行をやり始めて、まだ5分も経ってないんだぞ?

それなのに、スキル覚えるとか早すぎだろ!?


今さっき、ネロが出ていったばかりの鉄格子の奥へと視線を向ける。

ネロが帰って来てくれないかと淡い期待を向けるも、帰ってくる気配はなし。

まぁ…当然だよな。

これからどうしよ。


少し考えた結果、俺は目を瞑り意識を体内へと向ける。



『魔力感知を覚えました』



それはもういいよ!!!

いいから見とけ!!


俺は体内へと意識を向け始める。

先程魔力感知を覚えるに至った腹辺りに意識を向けながら魔力を探る。

程無くし、違和感を感じ始める。

これが魔力か?

魔力は丹田辺りに固まっており、少し蠢いているような気配を感じさせる。


その魔力に触れるようなイメージでもっと意識を近づけていく。

……ドロリ

最初に感じたドロリとした感じに粘りつくような不快感。

このような表現をすると、液体の様な物を想像してしまうが、実際は気体に近いだろう。

ドロリとしているのに水っ気はなく、糸を引くような粘っぽさに加え、触れられず確かにそこに何かがあるとわかっているのに、実体のわからないものに包まれるような感じ。


なんとも形容しがたい摩訶不思議な体験。

さすが異世界。

俺はここにきて初めてここがファンタジー世界なんだと実感した。

え?今までファンタジー要素が有ったて?

今までのは、どちらかというと向こうからのアプローチが多かったと思う。

勝手に召喚され、勝手にテイムされ、急にスキルを覚えたり。

しかし、今回は自分から行動に移し、それによって得られる結果。

与えられる感動より、自分から体験したことによる感動の方が大きいと言えるのではないだろうか?


まぁ…何が言いたいかというと、異世界やべぇ。


さて、せっかく魔力がある訳だし魔法を使いたいが、どうすればいいかわからない。

適当にそれっぽい呪文でも言ってみるか?


「我に睡りした魂よ、今こそその力を解き放ち、眼の前の敵を灼き尽くせ、ファイヤ!」



・・・・・・・・・・・・



・・・・・・



・・・



結果、何も起きませんでした。

右腕を前に伸ばし、手の平を開いた常体で固まっている。

恥ずかしいいいいい!

こんなことをするんじゃなかったと後悔と羞恥で悶絶する。



『【称号】中二病を獲得しました』



やめてえええええ!

それ、一番獲りたくない称号だから!!。

此処ぞとばかりに俺に止めを刺しに来やがりましたよ。


HPは減ってないのに心のライフポイントは0に近かった。

うううぅぅorz


まぁ……獲ってしまったものは……仕方ない。

気を取り直して、この魔力で何かできないかと考え直すことにする。

決して俺の中で無かったことにしようとしているわけではない。


今も俺のライフがガリガリと削られているような気がするので、俺は体内の魔力へと集中する。

そして、魔力の形とか変えられないか捏ねくりだす。(八つ当たりです)


コネコエコネ


コネコネ


コネコネコネコネコネコネコネコネコネコネコネコネ!


すると、先程より魔力が広がっている気がする。

もっと捏ねてみるか。


コネコネコネコネコネコネコネコネコネコネコネコネコネコネコネコネコネコネコネコネコネコネコネコネコネコネコネコネコネコネコネコネコネコネコネコネコネコネコネコネコネコネコネコネコネコネコネコネコネコネコネコネコネコネコネコネコネコネコネコネコネコネコネコネコネコネコネコネコネコネコネコネコネコネコネコネコネコネコネコネコネコネコネコネコネコネコネコネコネコネコネコネコネコネコネコネコネコネコネコネコネコネコネコネコネコネコネコネ


捏ね続けた結果、魔力は身体中まで広がった。

おおおお!

もう体内に意識を集中しなくても手などに魔力があることがわかる。

なんか手の平が温かく感じるな。

しかし、俺は先程の失敗を繰り返しはしない。


今手にある魔力を体外へと出してみる。

しかし、手の平から出て言っているとは思えない。


温かさは先程より少し増した気はするが・・・

何度繰り返しても手から魔力が出ている気がしない。

失敗か。


今度はやり方を変える。

いま身体中に広がった魔力を身体内だけで動かしてみる。


最初はまったく動く気配がしなかったが、徐々にではあるが、ゆっくりと動き出した。



『魔力操作を覚えました』



よしよし、いいぞ!

魔力操作を覚えたからだろうか?

魔力の流れがスムーズになった気がする。


次は、手の平を合わせ右手から左手へと魔力が流してみる。

右手から出ていこうとすると抵抗を感じる。

しかし、若干ではあるが左手へと魔力が入って来ているのを感じる。


おそらく魔力を最初に感じた時のドロドロのネバネバの所為で、手から出る穴(想像です)から出にくかったり、それか今まで魔力を通していなかったため穴が塞がってしまっている常体などではないだろうか?


この考えが正しければこのまま続けていれば、右手から左手へとスムーズになってくるんではないかと思う。


・・・・・・・・・・・・



・・・・・・



・・・



あれから1時間ぐらいだろうか?

手を合わせたままジッとしていて腕が痺れてきた。

でも、そのかいあり右手から左手への魔力の流れはスムーズに流れている。


よし!

ここからさっき手から魔力を出そうとしたところまで持っていこうと思う。


合わせている手のひらを徐々に話していく。

少し魔力の流れが悪くなった。

しかし、そのままにしておけば流れは良くなる。


これを繰り返し、徐々に右手と左手の距離を離していく。


・・・・・・・・・・・・


肩幅ぐらいまでだろうか?

それぐらいまでの距離が離れた。

此処ぐらいまで来ると、さすがに魔力の流れはスムーズにとはいかない。

しかし、流れていることは流れているので問題はない。


少し好奇心で、右手から左手へと流れているであろう所に顔を近づける。


少し、ピリピリと顔の皮膚を刺激される感覚。

左手の魔力の入りが悪くなったことから、顔が邪魔していると考えて間違いないだろう。


大方、成功でいいだろう。


いよいよ、左手を使わず、右手だけで魔力を出して見るとする。


手平は難しいと思い、人差し指の先から魔力を出してみることにする。


人差し指を立て指先に集中。

指先から魔力が出るのをイメージしながら指先を見つめる。


すると、指先から煙のように上にのぼるものが出てきた。


おお!これが魔力か!!

初めて目視できた!


どんどんと上へ昇って行く。

登っていく先を眼で追っていると、目眩がして気を失った。



『MP自動回復(微)を覚えました』



・・・・・・・・・・・・



・・・・・・



・・・



目が覚める。

すこし、クラクラするが平気そうだ。

まだ、明るいからそれほど時間は経っていないようだ。


俺は気を失ったのか。

疲れていたのだろうか?


おっと、そんなことを気にしている余裕はない。


俺は再び、人差し指を立て、魔力を指先から出す。

しかし、今度は出すだけでなく、出した魔力を止めようというのだ。


指先を見つめ上へ登らず指先に留めるイメージ。

徐々に上へ上らなくなっていき。

最終的に指先に留めることが出来た。



『魔力操作のレベルがLv.2に上がりました』



よし!成功だ。

ついでに魔力操作のレベルが上がった。


だが、これで終わりではない。


今、止めている魔力に属性を与えようと言うのだ。

指先の魔力をジッと見つめる。

白い靄がろうそくに灯る火が連想される。


すると、指先の靄が火へと変わった。


よっしゃああああああああ!!!!!

俺はガッツポーズをしたあと、両腕を天へと伸ばした。


あとは、この小さい火に魔力を足していけば、敵を倒せる武器となる。

そんなことを夢見ていたときが、俺にもありました。

あの声が聴こえるまでは・・・



『生活魔法を覚えました』



「・・・・・・・・・・・・・・・・・」





読んでいただきありがとうございました

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