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1話 神があらわれた

ブックマークありがとうございます

 ホームルームが終わり、次の授業への準備をしなければいけないのだが、今の教室の状況は異質と言っていいだろう。



なぜかというと、先程まで温かい日差しが差し込んでいた窓からは、日差しが差し込んでいないからだ。

もっと詳しく言うならば、黒い。

夜になったからとかでもなく、そもそも朝だったのにいきなり夜になることはない。



日食でもない。

外の風景すら見えない状況なのだ。



窓もいつの間にか閉められている。

誰かが閉めたとかではなく、気付いたら閉まっていたのだ。



この教室以外の外側には何も無いといったほうがしっくりくるぐらいだ。



なのに電気は点いている状況。

不思議だ。



そんな中で一番驚いていることがある。

それは、身体が動かねぇ。



金縛りにあったのは初めての経験だ。

指一本動かすことができない。

起きながらにして、金縛りに合うとはなかなか貴重な経験をしているな。



「うぉっほん!」



あれ?誰だ、あのじぃさん。

どうやって教室に入ってきたんだ?



「まずは自己紹介をしたほうが良いかのう?わしは、お主たちが神と呼ぶ存在じゃ」



自称神と名乗るじぃさんがあらわれた。

頭は禿げてるし、ヒゲは床に付くんじゃないかというぐらい長い。

神というより仙人とかの方がよっぽどしっくりくる。



「うぉっほん!!紛れも無くわしは、お主らが言うところの神という存在じゃ。」



そこまで言うなら神なのだろう。

この教室といい、身体が動かせないのもこのじぃさんが神だったら納得できる。

しかし、身体が動かせないのはつらいから、さっさと用件を済ませて自由にして欲しいもんだ。



「お主らの身体と声は封じさせてもらっておる。これからのことを説明する上で、動かれたり、質問とかめんどくさいからのう」



めんどくさいとか言いやがった。

てか声とかも出せなかったのか。



「・・・・・・・・・・・・・・・!」



本当に出せねぇ。

尚更はやく説明とやらを済ませてほしい。



「これからお主らは別の世界。異世界じゃな。そこに行くことになる。」



異世界?マンガやゲームとかでお馴染みの異世界か。

ネットでも小説とかで異世界転生と転移とかのあれか。

つまりクラスごと異世界にいく、勇者召喚あたりということか。



「幾人かは察しがついておるようじゃのう。そうじゃ、あちらの世界で勇者を召喚しようとしておる。勝手に世界に穴を開けられていい迷惑じゃ。じゃが、お主らには罪もないからのう。じゃからお主らには召喚される前にこちらでこの空間ごと切り抜いてお主らに説明しようと思っての」



やはり、勇者召喚か。



そしてこのじぃさん、さっきから心読んでんだろう。

何気に受け答えができてる気がする。



「お主達の考えとることは、わしにしっかり聞こえとるから安心せい。なに、質問ぐらいは答えるつもりじゃぞ。ハゲとか吐かしておる奴もいるがのう。そういう奴は無視じゃ無視」



やばい、こっち見た。

体が動かないから隠れることも目を逸らすこともできない。

何が悲しくてじぃさんと見つめ合わなければいけないんだ。



こういう時は違うことを考えてじぃさんを意識しないようにすればいい。

そういえば、じぃさん勇者召喚とか言っていたよな。

ならステータスとか見れたりするんだろうか?

『ステータスオープン』とかで開くのか?









【ステータス】


名前:シュン

Lv:―

職業:無

HP 5/5

MP 5/5

攻撃力 5

防御力 5

魔力  5

抵抗力 5

はやさ 5

運   50


【スキル】

異世界言語翻訳

アイテムボックス

鑑定Lv.1









お、ステータス出たみたいだな。

名前にレベルに職業まであるのか。

というか主人公なのに名前がようやく出たかという感じだな。

このまま名前がないまま行くのかとヒヤヒヤしたが、これで俺という存在がなお引き立つな。



やばい、ステータスなんて見たもんだから、テンションが上ってしまった。

そもそも俺って主人公キャラじゃないし、少し冷静になると恥ずかしいな。

今は誰も動けないから、こんな醜態は俺の中だけで済んでいることが救いだ。



よし、落ち着いてきた。

それでは引き続きステータスの確認をしていきますか。



名前はシュン。俺だな。

レベルは1じゃないのか?―てなんだよ。漢数字の一か?それとも未定ということか?わからない。

職業は無。職業なしって意味なのか無職という意味なのか、わかりにくい表示だな。



HPとかMPとかあるのか。これ0になるとやっぱ死ぬんだろうな。

ほぼオール5って、俺弱くね?運だけ50あっても意味ないよな。

逆に運だけよく50もあったな。運の最大値がわからないから、この50って良いのか悪いのかいまいちわからない。



次はスキルか。

異世界言語翻訳は異世界に行っても言葉がわかるとかだろ。

アイテムボックスもゲームとかでよくある、アイテムとかしまっておける空間みたいなものだろ。

鑑定は、これだけレベルがあるんだよな。



鑑定Lv.1



普通なら机とか『鑑定』で見れるんだろうけど。



【机】



あれ?鑑定したのか?

【机】としかでてこないんだが、机の説明は出ないのか?



もう一度『鑑定』してみるか。



【机】



やはり、【机】としか出てこない。



レベルが低いとダメなのか?

小説とかの主人公はここで何回も鑑定をしてレベルを上げるよな。

なら、試してみるか。








『鑑定』【机】『鑑定』【机】『鑑定』【机】『鑑定』【机】『鑑定』【机】『鑑定』【机】『鑑定』【机】『鑑定』【机】『鑑定』【机】『鑑定』【机】『鑑定』【机】『鑑定』【机】『鑑定』【机】『鑑定』【机】『鑑定』【机】『鑑定』【机】『鑑定』【机】『鑑定』【机】『鑑定』【机】『鑑定』【机】『鑑定』【机】『鑑定』【机】『鑑定』【机】『鑑定』【机】『鑑定』【机】『鑑定』【机】『鑑定』【机】『鑑定』【机】『鑑定』【机】『鑑定』【机】『鑑定』【机】『鑑定』【机】『鑑定』【机】『鑑定』【机】『鑑定』【机】『鑑定』【机】『鑑定』【机】『鑑定』【机】『鑑定』【机】『鑑定』【机】『鑑定』【机】『鑑定』【机】『鑑定』【机】『鑑定』【机】『鑑定』【机】『鑑定』【机】『鑑定』【机】『鑑定』【机】『鑑定』【机】『鑑定』【机】『鑑定』【机】『鑑定』【机】『鑑定』【机】『鑑定』【机】『鑑定』【机】『鑑定』【机】










・・・・・・・・・・・・。




・・・・・。





上がらねぇじゃん!

ちくしょうおぉぉぉ!

やはり、小説と現実は違うってことか。



鑑定しまくっても意味はなし。レベルが上がらずただ疲れただけ。

無駄にストレスが溜まってしまった。

こうなれば、あのハゲでも鑑定して鬱憤を解消だ。

くらえ俺の鬱憤。






『鑑定』






『鑑定のレベルが上がりました』




は?

なに?

鑑定?

マジ?



『ステータスオープン』





【ステータス】


名前:シュン

Lv:―

職業:無

HP 5/5

MP 5/5

攻撃力 5

防御力 5

魔力  5

抵抗力 5

はやさ 5

運   50


【スキル】

異世界言語翻訳

アイテムボックス

鑑定Lv.6





上がってるな。

しかも、レベル5つも上がって鑑定がLv.6にまでなってる。

何が起きた?

ハゲに鑑定したまではいいが、結果が表示されず、レベルアップのアナウンスみたいなのが聞こえたんだよな。

原因はハゲしか考えられないんだよな。

もう一度『鑑定』してみるか。









『表示することができません』









今度はレベルアップのアナウンスではなく、表示することができませんときた。

なんでレベルが上ったのかもわからないし、考えるだけ無駄か。



「お主たちには、わしから異世界言語翻訳とアイテムボックス、鑑定を渡しておいたからの。ステータスオープンと言ったり、念じれば自分のステータスを確認できるから後で確認すると良いぞ。いつまでもお主たちをここに留めておくことは出来んからそろそろ異世界へ行かせようかのう」



ついに異世界に旅立つ時が来たか。お、身体も動くようになったな。それと一緒になんだか体が上へ引っ張られるような感じがする。ここでジャンプすれば余裕で天井にぶつかるんじゃないか?ちょっとやってみようかな。やっぱり止めておこう。ぶつかったら痛いしな。だが、この引っ張られる感じは面白いな。少し引っ張られないように踏ん張ってみよう。



うぐ、踏ん張った途端に身体中に痛みが。

ただ引っ張られるのに抗ってみただけなのに、なんでこんな痛みを味合わなければいけないんだ。

もう無理。

限界。

身体の力を抜くだけ痛みが和らぎ、意識も遠くなっていった。









◆   ◆   ◆









教室にはただ一人の老人だけが佇んでいる



「おかしいのう。召喚の転移には抵抗なんてできないはずなんじゃが。しかも、他のと魂がちーっとだけ違ったのう。ま、些細な事じゃな。気にしても仕方なしじゃ」



そう言うと老人も消えこの教室には誰一人いなくなった。






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