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最終話

 一夫多妻特例法という条件が認められなかったものの、結局直人は公認魔法使いとして登録することになった。もう、きちんとした居場所がないという根なし草な現状に嫌気を差していたからだ。そして、すぐに結婚しなくても良いんだったら少しずつ多妻な状態に慣れていけば良いだろうと、ブノアに諭されて直人はそう考えるようになった。だが、やはりその考えは甘いの一言で切り捨てられるものでしかなく、後々直人は多いに後悔することになるのだがこの時点で直人に気付く余地はなかった。


 公認魔法使いになったといっても直人の生活に影響を与える部分はそう多くなかった。直人に課せられた仕事は領主館に併設されている魔法院にて、魔法石に魔力を込めたり魔導具や魔法薬を作成したりするもので、今までの生活の中で直人が護身と腕の維持の為に行っていたことであったからだ。あとは、魔法使いとしての義務として地位を明確にする魔法のローブを纏うようになったことくらいしか生活面の変化はなかった。


 だが、直人にとっては以前よりもはるかに暮らしやすく感じた。もう能力も隠す必要もなくなったので、もう人を欺くようなこともしなくても済み、力を十分に発揮でき人の役に立てるということはすごく心地よかった。それこそ、これこそが生き甲斐だと思えるほどには。精一杯仕事をして、館に帰りクラリスを中心とした家族と話し、時にはお酒を飲んだり楽器を弾いたりして一日を終える。この言葉にすると単純な日々の繰り返しというものは確かに平凡なものであったが、直人にしてみれば彼が求め続けて来たものであったのだ。


 ただ、毎日のように職場や館に持ち込まれる見合い話には直人も少し辟易していた。一夫多妻特例法から逃れられないと知った時から覚悟はしていたものの、実際毎日毎日持ち込まれる女性を褒め称える文章と美しい幼女の写し絵を見続けると、嫌になるのもある意味当然だった。そして、写し絵と紹介文を見る度に直人は1人心の中で叫んでいたことがった。俺は処女が好きなんでも幼女が好きなんでもない!と。このことは偶然ではなく必然であったことは言うまでも無かった。そう、直人の事を調べた者達はクラリス達奴隷を買う時に直人が付けた条件から、直人がロリコンで処女好きだという結論に皆が皆達したからだ。


 そんな若干の不満はあったものの直人はようやくここまで来れたことを心から喜ぶ。何の身分も地位も権力も、そして当然のことではあるけれど金も知り合いも居ない状況からようやくこのケレス王国の、この世界の住民の1人になれたのだと。この時を迎えるまでに4年半という長い時間をかけてしまったけれど、ここから全ては始まるのだと。直人はそう思い空を見上げた。そう、まだ自分はスタートラインに立ったにすぎないのだと。そして、この世界だと15歳が成人だから7年も遅れてしまったのだと。だけどと思う。たった7年程度の遅れは今から取り戻して見せようと。



 さぁ、ここからが本当の始まりだと直人は心の中で強く宣言する。



 真の意味で直人の異世界での人生が始まったのは間違いなくこの時からであった。そう、ただ生きているというだけではなく自分の意思で歩むという人生を直人が始めた瞬間は。

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