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第9話 約束の日

ケータイが鳴った。


先生からだ。


ドキドキしながらメールを開く。


『遅くなってごめんね。


受かって良かった!おめでとう!


ゆきなら受かると思ってたよ!


春からお互い社会人頑張ろうね。』


そんなことが書かれていた。


自分のことのように喜んでくれる先生の気持ちが嬉しかった。


春から社会人。


その言葉に少しドキッとする。


頑張らなきゃ。


だけどその前に、残りの高校生活を楽しもう。


そう思った。


冬になり、今年も残り一ヶ月になった。


先生とは相変わらず時々連絡を取り合っていた。


そんなある日、先生からメールが届いた。


その内容を見た瞬間、心臓がキュッとなる。


『久しぶり。


年末にそっちへ帰ろうと思ってるんだけど、もし良かったら食事でも行かない?』


私はしばらくそのメールを見つめた。


先生が帰ってくる。


食事。


本当にいいの?


嬉しかった。


嬉しくて仕方なかった。


私はすぐに返事を打つ。


『行きたいです!』


送信ボタンを押したあとも、顔が熱かった。


そこからの一ヶ月は毎日が楽しかった。


先生に会える。


それだけで嬉しかった。


だけど約束の日が近づくにつれて、少しずつ違う気持ちが生まれてきた。


先生に会いたい。


本当に会いたい。


だけど先生は私より五歳年上だった。


私はまだ高校三年生。


先生は大学生。


私はお化粧もしたことがない。


今までバレーばっかりやっていたから、

おしゃれな服だって持っていない。


化粧品を買いたい、おしゃれな服が欲しい、

そんな事その時の私は、親にも恥ずかしくて言えなかった。


大人の先生の隣に、私は似合うのだろうか。


そんなことばかり考えてしまった。


会いたい気持ちは変わらない。


むしろ日に日に大きくなっていた。


それなのに、自信だけがどんどん小さくなっていった。


そして約束の日。


私は先生にメールを送った。


風邪を引いてしまったので、今日は行けそうにありません。


本当は風邪なんて引いていなかった。


怖かったんだ。


あんなに会いたかったのに。


ずっと会いたかったのに。


私は、自分から約束を手放してしまった。

最後まで読んでいただき、ありがとうございます。


今振り返ると、「どうして行かなかったの?」と思われるかもしれません。


でも当時の私は本気で自信がありませんでした。


会いたい気持ちは誰よりも強かったのに、会う勇気だけが持てなかったんです。


この時の選択が正しかったのかどうかは、今でも分かりません。


ただ、ずっと心に残っている出来事の一つです。


次回も読んでいただけたら嬉しいです。

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