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社長命令で隠し子のフリをしていた地味な経理OL、クールなはずの御曹司にいつの間にか溺愛されて、極上のシンデレラになってしまいました。  作者: 水凪しおん


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第19章:最高のプロポーズ

 全ての障壁がなくなり、紬と蓮の日々は、穏やかで、幸福な光に満ち溢れていた。仕事もプライベートも、全てが順風満帆。社内公認のカップルとして、二人は、誰に気兼ねすることなく、愛を育んでいた。

 そんなある週末の夜、蓮が、「少し、遠出しよう」と、ミステリアスな笑みを浮かべて紬を誘った。どこへ行くのかは教えてくれない。紬は、子供のようなワクワクした気持ちで、彼の車の助手席に乗り込んだ。

 高速道路を走り、街の明かりが遠ざかっていく。やがて、車は、山道を登り始め、空気が澄んでいくのを感じた。

 車が停まったのは、視界が大きく開けた、高原の展望台だった。車から降りた瞬間、紬は、息を呑んだ。頭上には、まるで宝石箱をひっくり返したような、満点の星空が広がっていた。街の明かりが届かないそこは、天の川まではっきりと見える、天然のプラネタリウムだった。

「わあ……きれい……」

 そして、その星空の下に、ぽつんと、一軒の小さなチャペルが、優しくライトアップされて、静かに佇んでいた。

「ここは、いつか君と来たいと思っていた場所なんだ」

 そう言って、蓮は、紬の手を取り、チャペルの中へと、優しく導いた。

 中は、こぢんまりとしているが、木の温もりが感じられる、神聖で、温かい空間だった。誰もおらず、静寂が二人を包み込んでいる。

 祭壇の前まで来ると、蓮は、紬に向き直った。そして、彼は、ゆっくりと、その場に跪いた。

「……蓮さん?」

 驚く紬の目の前で、彼は、ジャケットの内ポケットから、小さなベルベットの箱を取り出した。

「白石紬さん」

 彼の声は、少しだけ震えていた。でも、その瞳は、どこまでも真剣で、深い愛情に満ちていた。

「偽りの親子から始まった俺たちの関係を、今度は、本物の、本当の家族として、始めたい」

 パカっと開かれた箱の中で、夜空で一番明るく輝く星のような、美しいダイヤモンドの指輪が、きらりと光った。

「たくさんの嘘と、たくさんの回り道をしたけれど、俺の気持ちは、もう、何一つ偽りのない、真実だ。君を、心から、愛している」

 彼の言葉の一つひとつが、紬の心に、深く、深く、刻み込まれていく。

「俺と、結婚してください」

 涙で、視界が滲んで、彼の顔がよく見えない。でも、彼の想いは、痛いほどに伝わってきた。

 偽りの契約書から始まった、私たちの、嘘だらけの物語。それが、今、この瞬間、永遠の愛を誓う、本物の約束へと変わろうとしている。

 紬は、涙を拭うのも忘れ、人生で、最高の、とびっきりの笑顔で、頷いた。

「……はいっ!」

 それは、プロポーズの返事というには、少し元気すぎるくらい、大きな声だった。

「私を、蓮さんの、お嫁さんに、してください……!」

 その言葉を聞いて、蓮は、安堵と喜びに満ちた、最高の笑顔を浮かべた。彼は立ち上がると、指輪を箱から取り出し、震える紬の左手の薬指に、そっと、それをはめた。まるで、オーダーメイドしたかのように、指輪は、彼女の指に、ぴったりと収まった。

 チャペルの外で、二人は、満点の星空に見守られながら、永遠を誓う、幸せなキスを交わした。この物語は、今、最高に幸せな形で、クライマックスを迎えたのだった。

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