表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
社長命令で隠し子のフリをしていた地味な経理OL、クールなはずの御曹司にいつの間にか溺愛されて、極上のシンデレラになってしまいました。  作者: 水凪しおん


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

17/21

第17章:社内公認のカップルへ

 蓮の、父親に対する、生まれて初めての反抗。それは、一条家の一族郎党の間に、大きな波紋を広げた。親戚筋からは、蓮の行動を諌める声や、紬を非難する声が、いくつも届いたという。しかし、蓮は、自分の意志を、決して曲げようとはしなかった。

 そんな中、蓮は、一つの大きな決断を下す。

 それは、紬との関係を、いつまでも社内の秘密にしておくのではなく、正式に、全社員の前で公表する、というものだった。

「いつまでも、君を陰の存在にはしておきたくない。会社の誰にも、君のことで陰口を叩かせたり、コソコソさせたりしたくないんだ。堂々と、俺の隣を歩いてほしい」

 朝、出社する前のマンションで、蓮は、真剣な眼差しで、紬にそう告げた。その言葉は、紬の不安を、優しく吹き飛ばしてくれた。

 そして、その日の朝礼。全社員が集まるホールで、マイクの前に立った蓮は、まず、先日の一連の騒動について、社長として改めて、全社員に深く謝罪した。

 そして、一呼吸置くと、彼は、ホールにいる全ての社員を見渡し、こう続けた。

「そして、今日は、皆さんにもう一つ、私個人のことで、ご報告と、お願いがあります」

 ホールが、静かな緊張感に包まれる。

「先日、役員会議の場で、私が発言したことは、全て事実です。私は、経理部の、白石紬さんと、真剣にお付き合いをしています」

 その堂々とした宣言に、社内は、再び、大きなどよめきと驚きに包まれた。しかし、それは、以前の「隠し子騒動」の時のような、ネガティブな混乱ではなかった。

「彼女は、会社の危機を救ってくれた功労者であると同時に、私の、公私にわたる、かけがえのないパートナーです。社員の皆さんには、どうか、我々のことを、温かく見守っていただければ幸いです」

 そう言って、蓮は、深く頭を下げた。そして、ホールの片隅で、顔を真っ赤にして立ち尽くしている紬に向かって、優しい、慈しむような笑みを向けた。

 黒田派閥が一掃され、蓮への信頼と期待が最高潮に高まっていた社内の空気は、驚くほど、温かかった。どよめきは、やがて、祝福の拍手へと変わっていった。

 特に、事情をおおよそ知っている経理部の同僚たちは、我がことのように喜んでくれた。朝礼の後、デスクに戻った紬は、先輩の田中さんに「社長! 白石のこと、よろしく頼むわよ!」と、わざと大きな声で冷やかされ、顔から火が出そうになった。

 そして、親友の亜美は、昼休みに飛んでくると、紬を力いっぱい抱きしめて、涙ぐんだ。

「よかった…! 本当によかったね、紬! やっと、堂々とできるんじゃん!」

 社長秘書室の前を通りかかると、いつものポーカーフェイスの高遠が、すっと出てきて、紬にだけ聞こえる声で、「おめでとうございます、白石さん」と、静かに、しかし、心からの祝福を込めて、頭を下げた。彼の目元が、ほんの少しだけ、優しく緩んでいた。

 その日のお昼休み。紬は、蓮に誘われて、生まれて初めて、社員食堂で、彼と一緒にランチを食べた。社長と一社員が、同じテーブルで、仲睦まじく、カツカレーを食べる姿。周りの社員たちは、少し遠巻きに、しかし、とても温かい眼差しで、その光景を見守っていた。

 今まで、隠れてこそこそしてきた分、こんな当たり前の日常が、紬には、眩しいほどに、幸せに感じられた。

 隠れる必要がなくなった二人は、こうして、晴れて、社内公認のカップルとして、たくさんの祝福の中、新たな一歩を踏み出したのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ