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第六話「自律した隊」
朝霧が森を覆う頃、新隊長は小隊を整列させた。
これまでの訓練、初陣、撤退、戦闘の経験を経て、隊員たちはもはや迷いなく動ける。
指示を待つだけの隊員ではない。自ら判断し、間合いを制し、武器を選ぶ。
「走れ。投げろ。突いて、拾え」
声は軽く、しかし力強い。隊員たちは息を合わせ、森を駆け抜ける。
ジャベリンを投げ、短槍で突き、拾う――流れるように連携する動きは、もはや教本の単なる写しではなかった。
敵が姿を現す。数は多いが、新隊長は動じない。
「守れ。間合いを作れ」
隊員たちは自律的に散開し、敵の動きを読み、半歩ずつ反応する。
突く、投げる、拾う――判断の連続が戦況を支配する。
戦いが終わった後、森の奥で休息する隊員たち。
新隊長は焚き火を囲み、教本を手にしているが、読むのはもはや確認のためだけだ。
隊員たちの動きが教本そのものになっていることを、新隊長は実感する。
「今日、生き延びたのは、俺たち自身だ」
小さな声で隊員が返す。
もう元隊長はいない。だが、教えは隊の血肉となり、自律した隊として生きていた。
風走り隊――元隊長の教えを受け継ぎながらも、自分たちの足で走る隊は、確かにここにあった。




