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第四話「判断の重み」
森を抜けた先、開けた野原に新隊長の隊は差し掛かる。
敵の小隊が待ち構え、正面突破を狙っている。
前に出るか、撤退か――判断の瞬間が迫る。
「間合いを見ろ。突くな。敵を誘え」
新隊長の声に、隊員たちは静かに息を整える。
まずジャベリンを投げる。狙いは正確でなくとも、敵の動きを止め、間合いを崩す。
しかし、敵は数で優る。数歩前進すれば、短槍の届かぬ範囲で囲まれる。
隊員たちの視線が新隊長に集まる。
ここで判断を誤れば、全員が死ぬ。
半歩踏み出し、突く。すぐに離れる。
回収した槍を投げ、また間合いを作る。
だが、敵は執拗に迫り、接近戦の可能性が高まる。
「無理だ。撤退するぞ」
新隊長の声は低く、しかし断固としていた。
隊員たちは瞬時に理解し、背を向ける前に位置を整える。
後退しながら、ジャベリンを投げ、短槍を突く。
敵の攻撃が迫るたび、半歩ずつ距離を調整し、撤退の間に倒れた敵を見ながらも、槍を拾う。
生き延びるための戦い――それだけが最優先だ。
小隊が森の陰に隠れた瞬間、緊張は解ける。
息を整える隊員たちの瞳に、新隊長はうなずいた。
「勝てない戦いを選ぶほど、俺たちは若くない。死体を増やすな」
その言葉が、森の中で静かに隊員たちの胸に落ちた。
判断することの重み。生き延びることの意味。
新隊長は、この重さを初めて全身で感じた。




