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蛇眼破り第二部~おわらせるもの~  作者: 石笛 実乃里


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第十五話 第六章「暗殺団へ」其の二

とにかくにも、指定された日の朝となった。

(たい)()旅支度(たびじたく)をして馬に乗っていた。

すると門から一団の馬に乗った集団が静かに入って来た。

7人ばかりはいるだろうか。

みな各々(おのおの)黒い馬に乗っている。

(じゃ)(がん)(しのび)(だん)だった。

忍者らしく、音を立てない馬の乗り方をしている。

泰雅が見ていると、そのうちの一頭がこちらに静かなまま向かって来た。 

「やあ。堅柳(けんりゅう)泰賀くん?」

馬の乗り手が声を発した。

若い男の、いや少年のような声であった。

「僕は蛇眼の忍団の中でも若手の見習いみたいな者でね」

乗り手は話を続けた。

泰雅がはい、僕が堅柳泰賀です、と返事するとその若者は笑顔を見せた。

「良かった。僕は君と同い年なんだ。(しのび)(さと)出身者でね。みんなからは蟋蟀(こおろぎ)と呼ばれてる。まあ適当だね」

そう言って蟋蟀という若者は笑った。

道中(どうちゅう)君の面倒をみるように言われていてね」

と優し気な顔の蟋蟀が言うのでそんな役割の者が必要だと思い至らなかった泰雅は

「よろしくお願いいたします」

と頭を下げるしかなかった。

蟋蟀はただにっこりして親し気に馬の向きを変えると、泰雅とともに屋敷を出られるようにした。

「上の人の挨拶が済み次第ここを出ることになる。準備はできているかな?」

蟋蟀の問いかけに泰雅はうなずいた。

気が付くと母親の(まき)()(そと)廊下(ろうか)に着物姿で立ち、泰雅を心配そうに見つめている。

泰雅は軽く片手を振って母親に応えようとした。

その手が止まった。

僧の姿をした()(ねん)も出てきて牧芽の横に立ったのだった。

にこやかにしているものの、どこか冷ややかな智念の表情を見て、泰雅はそれ以上手を振る気になれなかった。

「あ、もう出れるよ」

それを怪訝(けげん)そうに見ていた蟋蟀が告げ、ふたりは並んで馬に合図を出し、進みだした。

泰雅は堅柳家邸の門を出る前にもう一度ちらりと振り返った。

母親の牧芽は悲し気にうなだれ、横で智念がなにか親し気に励ましているようにも見えた。

泰雅は前に向き直り、蟋蟀とともに馬を走らせて蛇眼の忍団について堅柳家邸の門を抜けた。


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