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様々な王様になれる、スキル《キング》は異世界での処刑スキル。  作者: 山田 ソラ


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第8話 カニの王、タコ帝国との海底戦争

 潮が重く沈む。

 海底の岩が鈍く鳴り、砂がゆらゆらと舞い上がる。


(……嫌な流れだ。波がざわついてる)


 カニの王。

 悠は岩の上に立ち、海底を見下ろしていた。

 配下のカニたちが、無言で整列している。

 ハサミが【カチ、カチ】と小さく鳴る。


《敵勢力:タコ群 約300》

《こちらの戦力:カニ軍 約250》


(数は負けてる。でも、引く気はない)


 悠はハサミを打ち鳴らした。


ガチン 


 甲殻の響きが水中に広がる。


 その音が、号令だった。


《スキル《甲殻号令》発動》


 カニたちが一斉に動く。

 甲羅を重ね、脚を揃え、陣形を組む。

 海底に巨大な「赤い壁」が現れた。


 その時、砂の奥から“それ”が現れた。


 黒い影。

 長く伸びる足が、ゆっくりとうねる。

 吸盤が岩を砕き、海藻が引き裂かれる。


 タコだ。

 群れの先頭に、一際大きな一体がいる。

 片方の目は白く濁り、無数の古傷が刻まれていた。


(……ボスだな)


 タコは何も言わない。

 ただ、全身を広げ、墨を散らしながら前進してくる。

 海の底が暗く染まった。


(……やる気満々か。なら、受けて立つ)


(甲羅陣形! 防衛線を張れ!)


 カニたちは一斉に動く。

 岩のように重い甲羅を合わせ、壁を作る。

 タコの足がそれを絡め取ろうとした瞬間。


ガチンッ!


 ハサミが閃き、一本の足が切断された。

 黒い体液が水に溶ける。

 タコは暴れ、吸盤で岩を砕く。


(吸盤の力が強すぎる……!)


《スキル《甲殻強化》発動》


 甲羅が鈍く光り、硬度が増す。

 吸盤が滑り、脚が弾かれる。


「押し返せぇぇぇ!」


 泡が弾ける。

 カニたちは無言で突進した。

 殻と殻がぶつかり、ハサミが閃く。

 墨が舞い、視界が黒に塗りつぶされる。


(くそ、何も見えねぇ――!)


 悠は感覚だけを頼りに、ハサミを突き出した。

 

ガキィン


 硬い手応え。

 何かを捉えた。


 次の瞬間、強烈な抵抗。

 巨大な足が彼の胴を締め上げる。


(やば……!)


《スキル《王命》発動条件:整いました》


(……行くしかない!)


 悠の甲羅が光を放ち、

 その光が海底を照らした。


《王命:総突進》


 カニ軍が一斉に突撃する。

 海の砂が爆ぜ、波が逆巻く。

 タコたちの群れが切り裂かれ、墨が爆発するように広がった。


 やがて、黒い大タコが沈んだ。

 その体は静かに海底へと沈み、やがて動かなくなる。


《敵将 撃破》

《戦闘勝利》


 カニたちは泡を立て、甲羅を叩き合わせた。


カチ、カチ、カチ


 その音が、海中に響く。


 悠は静かに泡を吐いた。


(……終わった、か)


 海流が穏やかに戻る。

 だが、その静けさの奥から重い鼓動が響いた。


ドゥン……ドゥン……。


《新たな存在を感知》

《深海より“巨大ヤドカリ帝国”が浮上中》


(……はぁ。今度はヤドカリかよ)


 悠はハサミを鳴らし、

 泡を一つ、静かに吐いた。


(どこまでいっても、楽できねぇな……王様って)

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