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姉の言いなりの私が幸せになるまで  作者: 池中織奈


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 今日はパーティー当日、

 朝からドキドキしながら起き上がり、身だしなみを整えてもらう。美しいドレスに身を纏い、化粧を施される。グラナート様が買ってくださったアクセサリーを身に着け、鏡の前に立つ私は自分だと思えないほどに美しかった。



「これが、私……?」


 私は驚く。まさかこんなに自分が着飾れるなんて思わなかった。



「奥様、とてもお綺麗です」

「これならグラナート様も見惚れてくださいますわ」


 などと、侍女達が嬉しそうに笑った。

 ……そうだと嬉しいかもしれない。だって他の誰でもないグラナート様に褒めてもらえるのが私は一番嬉しいから。

 ドキドキしながらグラナート様の元へ赴けば、微笑んでくれる。





「綺麗だ」

「ありがとうございます! グラナート様も、とてもお似合いですわ」


 グラナート様のお衣装もとても似合っていて、普段とは違う雰囲気で……見ているだけでドキドキする。

 グラナート様って、パーティーの時にはこんなにも美しくなるのね。更に綺麗で、素敵だなと思った。




「妻に褒めてもらうのもいいな。シアンナ、パーティーの時はなるべく俺から離れないように」

「はい。そうします。今回は一人では上手く対応出来ないかもしれないですもの。でも私はもっと……一人でも頑張れるようにしますね」

「……そんなに急になんでも自分で出来るようになろうとしなくていい。それに俺がお前を傍においておきたいのはシアンナに男がちょっかいをかけるのが嫌だからなだけだ」

「えっ」



 私はグラナート様の言葉に、驚く。

 そういえばグラナート様は私が男性に近づいたり、話すのが嫌だと言ってらっしゃったものね。

 それにしても、私が話さないようにしようと心がけているだけでは足りないのだろうか。





「私はグラナート様が嫌がるのならば、なるべく喋らないようにするつもりですよ?」

「気を付けていてもシアンナみたいに可愛い女が居たら、話しかけるやつは絶対に出てくる」

「そうですか?」



 グラナート様は、私に話しかける人が出てくるなどというがそうだろうか。

 確かに大公夫人という立場なのだから、私と話そうとする人は居るだろう。私はそれだけの立場を手にしてしまったから。



 だけれどもグラナート様の言葉を聞いていると、それだけじゃないように思えた。なんというか、大公夫人という立場を抜きにしても私に興味を持って話しかける人がいるみたいな。




「シアンナは自覚していないようだが、お前は可愛い。普段からそうなのに、着飾ると更に目を引く。単純にシアンナと仲良くしたいと思う連中も多いだろう。ちゃんとそれを自覚しろ」

「話しかけてくる人は、私の大公夫人という立場ではなく私自身に関心を抱いてくださっているかもしれないということですね?」



 正直、本当にそんなことあるのだろうかと少し思ってしまう。嫁ぐ前の私は、数少ない出席したパーティーでもいつも壁の花だった。

 人に囲まれるのはお姉様で、私のことを気にする人なんていなかった。

 だから私は嫁いだ先でも、基本的に私自身に関心を持つ人なんていないのだろうなと思っていた。




 それなのに、グラナート様はそうではないという。私は何処か信じられないような気持ちになりながらも、グラナート様が言うのならば私はもしかしたら本当に可愛いと言われるに分類する見た目をしているのかもれないと思えた。



 グラナート様と出会ってそんなに経っていないのにとても不思議な話だ。なんというか、この大公家にやってきてから私の価値感は明確に変わってきているようなそんな感覚。

 もしかしたらグラナート様がそう言ってくださっているだけで、周りから見るとそうじゃないかもしれないのに。それでも私はグラナート様が言うのならば受け入れようとそう思った。




「ああ。だから、気を付けておけ。自覚がないまま行動をするのは避けた方がいい」

「はい! 信じられない気持ちですけれど、グラナート様が可愛いと言ってくださるのならば、そうなんだろうなと思うことにします!」


 グラナート様の言う通り、自分のことを知らずに、相手の意図を察することが出来なかったらそれはもう大惨事というか、悲惨なことになってもおかしくないのだ。そう思ったからこそ、否定するのは違うと思った。


「ああ。そうしてくれ」

「はい」



 私が頷くとグラナート様は笑ってくれる。


 私はグラナート様の笑った顔が好きだ。どこか優しくて、私を見つめる瞳がいつも温かい。

 グラナート様にそんな瞳で見つめられると、何だって頷いてしまいそうになってしまう。



  そんな会話を交わしながら、私達はパーティーの会場につく。私達の入場の番が来て、中へと入れば……会場内の視線が一気に私とグラナート様に向いた。


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