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姉の言いなりの私が幸せになるまで  作者: 池中織奈


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 準備を進めることしばらく。

 間もなくパーティーが行われるという直前になった。準備を進める間、ずっと忙しかった。

 それでもグラナート様との時間は大事にしたいから、なるべくどんなに忙しくても一緒に居るようにはしていた。

 だって私は……グラナート様の奥さんだもの。



 妻として一生懸命頑張って、結果を出したとしてもグラナート様に嫌われてしまっていたら意味がない気はする。

 グラナート様も私のことを気に掛けてくださっていて、それだけでも嬉しかった。グラナート様はパーティーが上手く行くようにと万全のサポートをしてくれていた。





「ふぅ……」


 私はパーティーが間もなく行われるのかと思うと緊張して、なかなか寝付けない。


「……シアンナ、まだ起きていたのか?」


 今日はグラナート様は忙しくて、寝室に来るのが遅くなると少し前に連絡をされていた。

 普通なら先に寝ている。グラナート様は私が無理して夜更かしをするのを良しとはしないから。




「もうすぐパーティーだと思うと、寝付けなくて。ただのちょっとしたパーティーなのに、こんなに緊張していて情けないですよね」


 自分でも情けない気持ちでいっぱいになる。

 他の人からしてみると、小さなパーティーで緊張をするのは大公夫人としてはどうなんだろうって思われそう。

 だから他の家の人にはこんな弱音ははけない。だけれどもグラナート様はこんな私でも許してくれるのが分かっている。




「そうか。そんなに緊張しなくていいんだぞ?」

「それは分かっているのですけれど、やっぱり慣れないことだと緊張がなくならないのです」


 何度も何度も失敗しても大丈夫だと言われてきたのに、私はただただ心配してしまっている。





「私、嫁ぐ前にパーティーの準備などを全然したことがなくて……だからこそどうしようもなく心配してしまっているんです。きっと何度もやったら慣れると思っていますが」



 伯爵令嬢として生きてきたのに、私はそういうことに全然慣れていない。

 お姉様は知り合いが沢山いて、社交も大得意だった。でも私はそういうことをこれまでしてきたことはなかった。




「それは知っている。やっぱりシアンナは可愛いな」


 私は心配で仕方がないのに、可愛いなどと言われて驚く。


「……グラナート様、私は真剣なんですよ?」

「そう、拗ねるな。何にでも一生懸命なシアンナが可愛いと思ったんだ」


 グラナート様はそう言って、楽し気に笑っている。




「……私はそんなに可愛い、可愛いと言われるほど可愛くはないです」

「いや、可愛いぞ」


 私が照れるのを分かっていて、こんな風に何度も「可愛い」と言っているんだろうな。どうしても恥ずかしくなってしまう。


「こほんっ、それはともかくとして……万全の準備をしていてもこんなに緊張するから不思議ですね」


 心配なんて一切する必要がないぐらいに、私はずっとドキドキしている。



「そういうものだ」

「グラナート様も緊張したことが過去にありますか?」

「ああ。ある」

「そうなんですね。全然想像がつきません」



 グラナート様が緊張している場なんて、本当に全く想像出来ない。どんな時だって自信満々にそつなくこなすようなイメージがある。



 それでも……例えば、グラナート様がわたわたしていたとしても、それはそれで可愛いかもしれない。グラナート様がそんな姿を見せたら、私は精一杯、彼を支えられるように頑張るんだろうな。




「……これから先の未来、グラナート様の奥さんとして大きなパーティーや外交などに行くこともきっとあると思うんです。だから、そのためにも私、頑張りたい」

「そうだな。でもあまり、無理はしなくていい。シアンナは俺の嫁なんだから、ある程度融通はきく」




 グラナート様は私が無理をするのは嫌だと言って、笑う。それにしても、「嫁」とか「妻」とか言われるとそれだけでも少し照れてしまう。


「そういえば……グラナート様って王家の方々と仲が悪いんですか?」



 ふと、私は気になって問いかけた。

 そういえば、お姉様がそういうことを言っていた気がするのだ。あと王家とは犬猿の仲だとか、そう言う噂も流れていた。

 お姉様が言う通りだったら、グラナート様はもっと私の質問にもっと表情を変えると思う。

 そんな質問をされると思っていなかったのか、驚いた顔をしていたけれどもそれだけだった。




「いや、仲は悪くないな。そうは見せているが」

「そうなんですか?」

「ああ。王都に行った時でもちゃんと説明する」

「分かりました」



 仲悪く見せていると言われてよく分からないけれど、一先ずそれは頭に留めておこうと私はそう思うのだった。




 ――それからしばらく話しているうちに、私は眠くなってきた。

 グラナート様の「おやすみ、シアンナ」という優しい声を聞きながら私は眠りにつくのだった。



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