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姉の言いなりの私が幸せになるまで  作者: 池中織奈


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 グラナート様と過ごす日々は穏やかすぎて、何だかずっとふわふわした気持ちになる。考えることを放棄して、ただただ過ぎて行っている。



 そんな日々の中、私ははっとする。

 結局、グラナート様への贈り物を決められていない……!!



 グラナート様はなんでも持っている方なのだ。大公家の当主として、お金も沢山持っている。欲しいものは誰かに与えられるではなくて、自分で手に入れてしまうような人。だからこそ……どうなんだろうって悩んでいる。


 侍女や使用人達に相談をすると、「奥様が贈ったものならば何だって喜んでくださいますよ」なんて言われてしまう。

 それでもそう、何でもいいはずだという助言をもらうと余計に分からなくなる。




 周りの人たちに実体験を聞いたりもしたけれど、本当に様々なものが贈り物として挙げられているの。

 ただ適当に選んだものだったら、そこに想いが乗っていなければどれだけ高価なものでも嬉しくなかったりするとも聞いた。

 ……やっぱり贈り物って難しいな。



 そんなことを思いながらも、結局悩み続けていれば決まらないとお買い物に出かけることにした。

 商人を呼んで選ぶこともありだったけれど……! それでも城内でグラナート様への贈り物を選んでいたら何だかばれてしまいそうなのだもの。


 今の所、グラナート様に贈り物をしようとしていることは本人にはばれていないみたい。それは侍女や使用人達が気を利かせてグラナート様に報告が言わないようにしてくれているからみたい。




 本当に良い人たちばかりだなと思った。

「私、こうして買い物に行くのは初めてだわ……!」



 私がそう言ったら、侍女達には驚かれた。




 グラナート様には、「心配だから俺も一緒に行く」などと言われたが、何とか説得してお留守番してもらうことにした。ただし護衛は沢山つけると言われ、騎士達の多くが私についてくれることになった。

 こんなに沢山の騎士達が私について大丈夫なのだろうか? と心配になったけれど、何の問題もないらしい。




 騎士達本人には「奥様の護衛が出来て嬉しいです」などと満面の笑みで言われた。なんでも彼ら曰く、訓練よりも私の護衛の方が楽しそうだかららしい……。

 騎士達とはそこまでまだ仲良くなれていないから、親しくなれたいいな。少なくとも、グラナート様の妻として認めてもらえる動きが出来たら嬉しい。

 勢いのままにお出かけすることにした私だけど、馬車に乗って街へと向かう最中に無性に緊張してしまった。



 実家に居た頃、お出かけになんてあまりいかなかった。買い物も、行ったりしなかった。寧ろそんなことはやろうとすればお母様たちには嫌な顔をされてしまっただろう。

 グラナート様は私のことを心配はしても、私が買い物に行きたいと言った言葉を否定することはない。寧ろ送り出してくれる。




 大公夫人としての予算も、侍女に預けられた。

 かなりの額を預かったらしいと聞いた。予算は沢山あるとは聞いているけれど、こんなにいいのだろうか? とも思った。




 馬車の中から、街中を見るだけでもワクワクする。




 道行く人々は、私の乗っている場所に視線を向けていた。この馬車には大公家の紋章が刻まれている。大公家の人間が乗っていることは一目瞭然であろう。


 ――その視線は、嫌なものではない。寧ろなんだろう、キラキラした目で私の乗っている馬車を見ていた。

 それだけでもグラナート様は、街の人々に慕われているのだろうと分かった。





 お姉様はグラナート様のことを悪く言っていた。残忍だって、恐ろしい人だって。そう言う言葉を言われると、もっと人から怖がられている人のように勘違いされそう。実際のグラナート様は優しい。言葉は荒くても、私によくしてくれている。それにこうして周りから好かれている人だ。

 どうしてお姉様は、グラナート様のことをあんな風に言ったのだろうか。




 お姉様の言うことは、いつも正しかった。その言葉に間違いなどなくて、いつだってその言葉は現実となった。

 ……お姉様は、私がグラナート様に殺されると言った。




 どうしてそんなことをお姉様は言ったのだろうか。お姉様はグラナート様と話したことはなかったはずなのに。

 グラナート様のことを知っていたら、そんなことはきっと言えないはずなのに……。



 そう思うと不思議で仕方がない。




 いつかお姉様がおっしゃったように、私はグラナート様に殺されてしまうのだろうか。

 そんなことを考えても私は怖いとは全く思わなかった。それは殺されないと思っているからではなくて――もしグラナート様に命を奪われたとしても構わないとそう思っているからなのかもしれない。




 だってグラナート様が私のことを殺すとしたら、何かしらの理由があるはずだから。

 私が何かそれだけのことを起こしてしまわなければグラナート様が私を殺すなんてありえない。それを知っているから。



「奥様、着きました」

「分かったわ」



 私が今回、訪れた場所は侍女達お勧めのお店。貴族向けのお店なので、グラナート様が喜んでくれるものがあるかもしれないという話だった。

 あとはお店の方に情報収集をしたら、グラナート様への贈り物に相応しいものが見つかるかもしれないから。




 ――よし、グラナート様への贈り物を今度こそ決めよう。

 私はそんな決意をするのだった。


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