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姉の言いなりの私が幸せになるまで  作者: 池中織奈


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 また城内を歩き回っている。私が自由気ままに歩き回っているのに、全く嫌がる素振りなども見せずに侍女達はついてきてくれている。

 1回だけ、「他にやることがあったら言ってね」といったら、私についてくるのが仕事だとそんな風に答えられた。





「奥様、私達のことなど気になさらないで大丈夫です」



 そんな風に言われたので、もう少し自分のやりたいことを口にするように出来ればと思った。今は気をつけないとそんなことは出来ないけれど、私がもっと……この大公家で暮らす期間が長くなれば長くなるほどまた私の意思も変わっていくのかもしれない。




「本を読んでもいいのかしら」

「……奥様、このお城の物は全て奥様の資産といっても過言ではありません。ですからいちいち問いかける必要はありません」

「そうはいってもどうしても駄目なこともあるでしょう? 後からグラナート様に迷惑をかけてしまったことが発覚したりしたらとても悲しくなってしまうので、確認はさせていただくわ」




 同じことを何度も聞く気はないけれど、初めてやることは確認しながら進めていきたいなとそんな風に思った。

 この前、案内してもらった時は書庫の場所を教えてもらっただけだった。だから実際に中の書物を見て回るのは初めてだ。

 こうして沢山の本を自由に読めるかと思うと、それだけでもどこか興奮した気持ちになってしまう。

 絵本は全くといっていいほどおいていない。難しめの本の方が多そう。後は小説も一部ある。




 グラナート様はそういう小説や絵本を読むことはほとんどないみたい。イメージ通りだけれども、私は好きな絵本の話とか、グラナート様と出来たらきっと楽しいだろうなとそんなことも思った。



「絵本や小説を取り寄せたいかもしれないわ」

「なら、手配しましょう」

「何冊ぐらい購入してもいいかしら」

「それもご当主様ならば幾らでも購入していいというはずです」



 侍女には軽い調子でそう言われる。とはいえ、多くの本を購入したところで今すぐ全てを読めるわけではない。


 買いすぎて、結局読めないなんて言うのは少しもったいないので何冊購入するかを考えることにする。こういう問題に直面すると、私の決断力は低いんだなとそんな気持ちになる。

 グラナート様はなんだか迷わないイメージ。あくまで私がそう思っているだけだけど、そんな風に思う。



 私はこれまで自分の意思で何かを決めることはなかった。それを問いかけられることも中々なくて……だから、余計に時間がかかってしまう。



 お気に入りの絵本は取り寄せられるなら取り寄せたい。グラナート様の瞳の色に似ているなと思った好きな花が出てくる絵本。

 ゼラニウムの花も、取り寄せたいわ。

 一面のゼラニウムの花を見渡せたら、きっと幸せな気持ちになるだろうなとそう思う。


 はっ、でもそんなにも私が複数の要望を出したら、グラナート様に呆れられてしまうかしら?

 ただグラナート様は遠慮する必要はないとそう言ってくれていたからやってみたいことだけは口にしてみよう。




 不思議だわ。

 此処にいると……実家に居た頃よりもずっとやりたいことが増えていく。私なんかがこんな風に沢山のことを言っても大丈夫なのだろうかとそんなことばかりを考えそうになる。

 ただグラナート様も、周りの人達も皆が優しいからずっと前向きな気持ちにはなれた。




 きっとグラナート様がもっと怖い人だったら、私の話を聞いてくれなかったりしたら……私はこんな心境になれなかっただろうな。

 グラナート様があんなに素敵な人だからこそ、私は落ち着いていられるんだと思う。本当にグラナート様に感謝しかないわ。



 ありがとうの気持ちを込めて、何か贈り物でもしてみようかしら……。

 自分にこんなに行動力があったのかと驚いてしまう。それにしてもグラナート様への贈り物って何をしたらいいだろうか。

 なんだか、私、思考が二転三転しているかもしれないわ。これだけ多くのことを考えていると、それぞれが疎かになってしまうかもしれない。

 ちゃんと、周りに相談しながら少しずつ進めないといけないわ。




「えっと、とりあえずこれだけの本を頼みたいわ。あとは……ゼラニウムの花を植えてもいいかグラナート様に聞いてみるわ」



 この城はとても広いので、ゼラニウムの花を植えるスペースはあるはず。

 私の言葉に侍女はこくりっと頷く。



「それとグラナート様にお礼をしたいのだけど、何がいいかしら?」

「お礼?」

「よくしていただいてるから、ありがとうを伝えられたらと思って」

「……奥様が魅惑的な衣装で夜のお誘いをするとかでも喜びそうですが」

「も、もう何を言っているのよ。えっと、た、確かに子供は必要だからそう言った努力も必要だとは思うけれど、やっぱり形に残るものがいいかなと思って……!!」



 私が侍女の言葉に顔を赤くしてしまう。

 そんなことを言われるとは思わなかった。というか、それを実行するとグラナート様は喜んでくださるのだろうか?



 ならばそのうち試してみるとして……何を贈ろうか?


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