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姉の言いなりの私が幸せになるまで  作者: 池中織奈


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「奥様、こちらをどうぞ」




 そう言って持ってきてくれたのは、ケーキである。見るからに美味しそう。大きなイチゴが乗っていて、見ているだけで嬉しい気持ちになる。

 思えば実家で過ごしていた頃は、こんなケーキを口にすることはほとんどなかった。

 デザートって、結構高価なものなのだ。生クリームがふんだんに使われていて、食べてみると美味しさに頬が緩んだ。


「なんて美味しいのかしら……!」


 こんなにおいしいと、ついつい沢山食べてしまうわ。



 用意してもらったものを全て食べてしまった。その後にはっとする。だってこんなにも沢山の量を食べてしまうなんて太ってしまう。

 ただでさえ私はあまり見目が良くないと言われているのだもの。




 だからあまりにも太ってしまったら……グラナート様に嫌がられてしまうかもしれない。

 私はこれまで劇的に体重が増えたことはない。それは必要以上にご飯を食べ過ぎる環境ではなかったからと言える。

 家族は私が太りすぎて、だらしなくなることを嫌がっていたから。

 ――ただでさえ、他の兄妹よりもみっともないのだから太るような真似はしてはいけない。

 そんな風に言われたことがある。





「奥様、どうなさいましたか?」



 私が表情を暗くしてしまっていたからか、料理人からそう問いかけられる。私は不安にさせてしまったかと、慌てて返事をする。



「とても美味しかったのだけど、食べ過ぎてしまったから太ってしまうかもと思って……!!」




 私がそう口にすると、料理人は途端に笑顔になった。それに傍に控えている侍女もである。



「奥様、とても痩せておられるのですから少しぐらい食べても大丈夫です」

「そうですよ! そんなに気にしなくていいと思います」



 そんな風に言われて、本当にそうかしら……? なんてそんなことを思った。


 確かに私は太っていない方ではあるけれど、スリムなわけではない。体形的には普通。お姉様みたいに素晴らしいと誰もに言われるような見た目ではない。

 だから気を抜くと、ますますみっともなくなってしまうのではないか……なんてそんなことを考えてしまう。

 だから私はやっぱり心配にはなる。




 だけれども私に対して周りは、「全然気にしなくていい」「もし太ったとしても運動すればいいだけです」なんて言われる。




 なんだか、私は一度みっともない姿を見せてしまったら……それで離縁されてしまうのではないかとか、そのままグラナート様にも嫌われてしまうのではないかとかそんな風に考えてしまっていた。

 だけどきっと……そうではないのだなと思った。

 一度駄目な姿を見せても、グラナート様もこの城に仕えている人達も私のことを嫌わないのかもしれない。




 そう実感すると、ほっとした。

 ああ、でもちゃんとグラナート様に聞かないとだわ。もしかしたらグラナート様は、私が太った姿を見ないのが嫌だとか、そう思う人だったら困るもの。



 グラナート様は私の意見をちゃんと聞いてくださる方だと思う。

 私なんかの話をきちんと聞いてくれて、尊重してくれる。

 そう言う人だからこそ話し合いをちゃんとしたいなと私はそう感じた。




「そう言ってもらえると安心するわ。でもこれ以上は食べ過ぎるのはやめておくわ。昼食が入らなくなってしまうもの」



 おやつを食べ過ぎて、ご飯が入らないなんて身体にも悪い。

 それに食べられなかったら、作ってくれた人に対して申しわけない気持ちになってしまうから。




 私が食べきれなかった分も、おそらく使用人達が食べることにはなるから無駄にはならないかもしれないけれどね。

 私はそんなことを考えながら、厨房でそれ以上食べることはやめることにした。



「突然の訪問なのにありがとう。また時々、厨房の様子も見に来るからその時はよろしくお願いするわ」



 私はそう言って、厨房を一旦後にすることにした。なるべくにこやかに微笑むことを心がける。

 むすっとしているよりは、笑っている方がいいかもしれない。そんな風に思うから。私なんかの笑みだと、喜んでもらえるか分からないが。




「はい、もちろんです!!」

「次は別のおやつなどを用意しておきますね」


 私の言葉を聞いて、皆がにこにこと笑ってくれた。

 こんな風に言ってもらえると、本当に嬉しい。お世辞とかじゃなければいいな。実は私のことを嫌いだったりしたら少し悲しくなるかもしれない。


 でも何度も話していけば、もっと仲良くなれるかも。

 そう思うと、こうして訪れるのは楽しみになった。

 



 そうして厨房を後にして、私は別の場所へと侍女を連れて向かうことになった。


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