第48話 最終試練04
しずくは、ゆうくんの言葉が脳裏に浮かぶと同時に、その瞬間を感じ取った。
「っ……!」
しずくの体がびくりと跳ね、内側から何かが流れ込んでくる。
顔、目、鼻、口、耳——全ての感覚を通して、ゆうくんの思いが一気にしずくの中に溶けていく。
それは熱く、どろりとした感覚だった。
——視界がぐにゃりと歪む。
「っ、あ……!」
息ができない。呼吸が乱れ、胸が重くなる。
目の奥が熱く、鼻の奥がツンとした刺激で痺れ、耳の中ではゆうくんの声が響く。
「しずく……受け止めて」
その声は、しずくの体の奥深くにまで浸透していき、さらに強く感じられる。
考える余裕なんてない。ただ、ただ溺れていく。
どこまでが自分で、どこからがゆうくんなのか——その境目すらもわからなくなる。
どくん、どくんと心臓が高鳴るたび、体の中にゆうくんの思いがより深く馴染んでいく。
「っ……あ、ぁ……」
止まらない。終わらない。
——しずくのすべてが、ゆうくんで満たされていく。
ああ、これだ——これは、ゆうくんの思いだ。
拒む理由なんて、何一つない。
しずくの中に、静かに、深く、そして広く広がっていく。
流れ込んでくるのが自然で、そして心地よい。
——うれしい。
胸の奥が、じんわりと満たされていく感覚。
しずくの思いが、ゆうくんの思いと重なり、ひとつになっていく。
その共鳴が、いちご牛乳にまで伝わる。
どくん、と鼓動が響き、甘く震えるような感覚。
まるで、命の音のように——
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しずくの中で、いちご牛乳が流れるたびに、その温もりが広がっていく。しずくの体がその流れに反応し、内側から外側へ、また外側から内側へと、強い共鳴が生まれる。
どんどん、どんどん、その共鳴が広がっていく。しずくは、全身を包み込むような感覚に浸りながら、ただただその流れに身を委ねた。
その温かさに、心地よさとともに、苦しさも感じる。それが、ゆうくんの思いが込められた証だと感じたから、しずくはその感覚に全てを委ねていった。
「ああ、幸せだな。」しずくの胸に、ゆうくんの思いがしっかりと届く。それと同時に、心の奥底で重たくて、甘い感覚が広がっていく。
しずくの体の中で、ゆうくんの思いが渦を巻いている。強く、深く、果てしない。それがしずくの内側を満たして、どんどん大きくなる。
いちご牛乳の温かさが、しずくの鼓動と重なり、震えるように共鳴している。それは甘く、熱く、そしてどこまでも深い感覚となって広がっていく。
——ああ、もう耐えられない……
全身を駆け巡る熱が、限界を超えそうになるその瞬間——
何かが弾けるような感覚が訪れた。
視界が歪み、世界が真っ白に染まる。そのすべてが、しずくの体から遠のいていく。
そして——
しずくの意識は、まるで白い光の中に吸い込まれるように、ふわりと落ちていった。
その中で、ゆうくんが言った言葉がしずくの心に響く。
「僕の思いがしずくの思いより強すぎたら、しずくが耐えられなくなるかもしれない。」
もしかして、私の思いがまだ足りないのかな。でも、こんなに幸せならもういいのかもしれない。




