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僕が誰かって話。

山神やまがみ 竜太りゅうた17歳。今を生きる純粋な男子高校生だ。定期テストを受ければ常にその順位は学年トップにあり、運動をすればそれがどんな競技であれ即座にプロフェッショナルと化す。

品行方正眉目秀麗で男子にも女子にも一目置かれる存在で、いわば学園のアイドルと言っても過言ではない。

バレンタインで打ちたてた記録は校内どころか県内に知らないものはいないとまで言われ、そんな僕の顔をつぶそうとやってくる嫉妬に狂った男たちを片手で更生させる。その他諸々僕のよいところを上げ続ければ夜通しになること相違なしだから、うん、このあたりで終えておくことにしよう。もしもっと聞きたいという者がいれば、後で尋ねにくるといい。


さて、大半、いや、きっと全員がお気づきのことかとお見受けするが、上記の文章に真実はほぼ含まれていない。あえて真実の部分を抜き出すとすれば、「17歳」と「男子高校生」だけだ。「純粋な」は愚か名前すら偽りである。含有量は驚異の1桁だ。

なぜこうも数限りある時間と行数を無駄にしてまで嘘偽りの戯言(たわごと)を並べ立てたのかと問われれば答えるにやぶさかでない、とは言え、語ったところで上記部の数倍に蛇足となるにこれまた相違ないので、ここでは推して知るべし、とだけ言っておくことにする。

なんとも回りくどい言い回しだね。僕は回りくどいの好きじゃないんだけれど。嘘だ。

さあ、こうも嘘ばかり語り続けても仕方ない。そろそろ僕のほんとうのステータスってやつを紹介しようではないか。刮目せよ。眼潰ししてやるから。


僕の名前は萩野(はぎの) 顕正(けんせい)。草冠に秋と野原の野で萩野、顕正は破邪顕正の後ろ2文字だ。

前述の通り歳は17。今を生きると言うよりは現世に蔓延る、純粋とは口が裂けても言えないような男子高校生だ。最早純粋なんて言葉は知らないと言っても過言ではないことはない。

定期テストを受ければ、いや、テスト中は学校を予期せぬ腹痛で休むから問答無用のビリっけつで、運動をすれば、これも急な立ちくらみで体育の授業は保健室で過ごすから単位は不足している。

品行は悪いどころか我が校開校以来最悪の問題児と学校長に面と向かってのたまわれたほどで、勿論のこと見た目も麗しくない。

バレンタインでは専ら母親と祖母にのみ貰って、僕を嫉妬してではなく目の敵として潰そうとしてくる輩は片手じゃなくてちょっと危ない電子機器で黙らせる。スタンガンが通例として有名だ。

その他諸々、僕の悪行とも呼べるような逸話を聞きたいのであれば夜通しと言わず一年中語りつくせる程度の自信はあるけども、まあ、そのような奇人変人は流石にこのあたりにはいないと信じたいので割愛しようと思う。


そして、僕にはとある使命がある。僕は生まれながらにして無類のマッドサイエンティストとなる運命を背負った人間で、実際、現在僕はあらゆる研究を、その使命を果たすために進めている。

その使命とは、ずばり。端的に、一言で言ってしまえば世界崩壊だ。僕は、母親の胎内から生まれ落ちたその時から、いづれ世界を滅ぼす科学者として生きる運命だったのだ。

研究の結果、昨年の夏休みに自由課題として作ったその装置が、世界崩壊を引き起こすことができる程度の威力を持った超化学兵器となった次第である。

そして勿論、僕は迷わず、その装置の起動スイッチを入れて発動の時を待っていた。かれこれ1年、今だ世界は安泰だ。何故か。答えは出ている。あまり言いたい事ではないけれど。

……どうしようもなく情けないことに、僕の作ったその装置が発動するのは、電源を入れた後数10年に及ぶ充電期間を経てのことだった。計算上では、24年と5カ月後。その時が来るまで、人類の繁栄は続くだろう。忌々しい。


さて、僕の失敗談なんて聞いて面白いものではないだろう。話を変えようか。


この話は僕が日々、一刻も早く世界を破滅させるために行っている研究や日常を綴る日記で、そして、これから始まるのは、全世界の敵であるこの僕と、僕と出会い、関わることを運命づけられた少女達の、普通でありきたりな毎日だ。

面白いものでは、そうないんじゃないかな。

初の続きものです。

現状全く持って理解しがたいものですが、長い目で見ていただければと思います。ちなみに、世界崩壊とか唄ってますが、この小説のメインは恋愛を基調とした日常なので悪しからず。

よろしければ感想評価等、お待ちしております。

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