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寝過ごし。夢現。

寝過ごしたのだった。

完膚なきまでに、寝過ごしたのだった。


目が覚めたら2日後だった。事の顛末はこの一言に尽きる。気がついたら美稲が部屋にいて、何かと思えばやっぱり今日は部活の日だった。おかしい、昨日の記憶が無い。

「おい顕正、とっとと起きろよ学校行くぞ」

寝起きでぼうっとしている僕に、美稲は多少イラつき気味に吐き捨てた。……あれ?

「どうしたんだよ、美稲」

コイツが僕にこんな口調で話すわけがない。いや、それどころか美稲がこんな乱暴な言葉を使ったのを僕は今だ見たことが無い。となると、ぐれたか?

「べっつにー。ていうかー、めっちゃだるいんだけどー」

今度はちょっと古そうなギャル口調だった。本当にどうしたんだよ、美稲。口調革命週間にでも入りましたか?

「さてね。真実はいつも一つ、なのだよ、ワソソソ君」

ワソソソは無理があるだろう、特に二文字目。じゃないって。僕は無言でベッドから降り、美稲と2歩くらいの近距離まで近づくと、何の躊躇いもなくその頭をひっぱたいた。

「いてっ」

「……はぁっ!?」

たたいた方の僕が、素っ頓狂な声を上げる羽目になる。そんな力を込めたわけでもない、というか、たかが一人の人間の力である。その極端に言えば貧弱な一撃で、美稲の頭が。

簡潔に記すと、吹っ飛んだ。首が。漫画っぽくすっぱりじゃなくて、ぐしゃっと、相当グロテスクな感じに。

え、なにさ、なんなのさこれ。美稲死んだ? 僕が殺した? いやいやわけわかんないからそもそもだから僕にこんな力無いし。んん?


というか、やはり夢だった。

嫌な汗をかきつつ上体を起こし、僕は日付と時間を確認する。合宿から帰って、その翌日の昼だった。まあ、十二時間は寝たか。

「いやはや、嫌な夢だった……」

つれない態度はとるものの、基本的に僕は美稲のことが好きなんだ。普通に、友人というより幼馴染として。恋愛感情は、無いと断言しておこう。ああ、くそ、寝ざめが悪い。不貞寝しようかな。

と、僕はそこでデジタル時計の隣に銀色の鍵が置いてあることに気づく。なんだろう。

周囲を見渡して、そこでようやく気付く。ここは、僕の部屋じゃない。そもそも僕の部屋に普通のデジタル時計は無い。ではここはどこだろう。

狭い部屋を一周して、鉄製の重いドアと開かない強化ガラス製の窓、それから何一つ置いていない本棚とデジタル時計、銀色の鍵のみしかこの部屋に存在しないことを確認した。なるほど、閉じ込められているらしい。しばし考え、唯一思いついた方法を試行してみる。

鉄製ドアのドアノブ上部の鍵穴、そこに銀のカギを差し込む。嵌った。捻った。カチリ、と鍵の開く音。至極簡単に脱出に成功してしまった。意味がわからない上に、脈絡がない。

脈絡がないついでに、目の前には死んだように眠る赤坂姉を見つけた。胸の上に組んだ手に、『キスで目が覚めるよ』と書いてある。親切な世界だった。

方法が分かっているなら容易い。彼女を起こしてこの世界のなんたるかを尋ねよう。

やはり躊躇い無く、僕は彼女の顔に自らの顔を近づけ、その柔らかそうな唇に――――


まあ、やっぱりこれも夢だった。見回せば、今度こそここは自分の部屋である。時間を確認すると、合宿から帰った翌日の、やはり昼だった。時間軸は間違っていなかったらしい。大した夢だな。知覚している僕も大概だけど。

僕はデジタルでは無い時計の針を言葉なく見つめて、それに飽きたころに、一言、口を開いた。


「しょうもない日だ……」


これに尽きる。

簡潔に述べますと、筆休めの回でした(笑)

脈絡なく夢落ちを思いついたものでして。次回よりまともに部活に励みます。


さて、この度今作の外伝小説を連載する運びに相成りました。これまた馬鹿馬鹿しい話になりますが、是非とも覗いてやってください。


よろしければ感想評価等、お待ちしております。

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