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 炎魔法や風魔法が試せないとなると、やっぱり俺の召喚スキルになるかな。

 また妖魔召喚をしてもいいけど、他のも試したい。それに妖魔召喚しても、またスライムかもしれないし。

 というわけで、次は【霊魔召喚】にしよう。

 ノートの空きページに六芒星を書いて、血を垂らす。霊魔召喚も妖魔召喚と同じように五芒星だったら魔法陣の使いまわしができたのに。けっこう痛いんだぞこれ。


「美味しい魔力ほしいやつカモン!」


 今度の呼びかけは魔力(えさ)で釣ることにしてみた。どうやらスライムにとって俺の魔力は魅力的らしいので、他のモンスターにも効くんじゃないかと思って。

 光が収まって姿を現したのは、黒い靄みたいな何か。なんだこいつは。ちょっとやばそうな見た目。とりあえず交渉してみるか。


「魔力あげるから、盟友になってほしい」


『いいよ』


「いいんだ……」


 ちょっと拍子抜けというか、なんならこれまでで一番スムーズに話が進んだ気がする。そしてやっぱりこいつも名前が無かったから、オハギと命名。だってちょっとそう見えたんだもん。そして肝心のステータスがこれ。


 _______________

 オハギ

 クラス:シャドー

 LV:4


 HP:F

 MP:E+

 STR:F

 INT:E+

 VIT:F

 MND:E+

 DEX:E

 AGI:F


 スキル

【潜影】E ▼

【影魔法】E ▼

【魔力感知】F ▼

【夜目】F ▼

  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

 _______________

【潜影】E 

 影の中影空間という特殊な空間を生成しその中に入ることができる

  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

 _______________

【影魔法】E 

 影に実体を持たせ操る魔法。影が多い程強くなる

  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

 _______________

【魔力感知】F 

 離れた場所の魔力も感知できる。

  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

 _______________

【夜目】F 

 暗闇でも明るく見える

  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄


 スキルはEランクが2つもある。そのうちの影魔法を使うために必要だろうMPやINTも高いし、これは強いんじゃないか?


『新入り?よーこそー』


『先輩に何でも聞きなさい』


『よろしく』


 サクラとヨモギがさっそく先輩風をふかしてる。いや、君たちもついさっき召喚されたばっかでしょ。そんな様子を呆れた目で見ていると、ちょんちょんとひじをつつかれる。


『魔力、ほしい』


「ああ、ごめん。今あげるよ」


 そう言って手を近づけようとしたところ、おはぎはするっと俺の足元に移動して、そのまま影に入ってしまった。


『ありがとう。うん、いい魔力』


 どうやらおはぎは、影に入ることで魔力を吸えるらしい。便利だなあ。


『ミズキー。こっちももっと魔力ほしい』


『くれくれ』


「遠慮というものを知らないのか」


 まああげるけどね。三回も召喚して、さらにこうやって魔力を消費し続けてるのに、まだ半分も減った気がしない。余裕があるうえにこれくらいでこの三人の機嫌がとれるなら、このぐらい。

 それにしてもと、スライムをまじまじと見てみる。召喚ていつまで続くんだろう。だいたいこういうのって、時間制限があったり魔力を消費したりでずっとは召喚できないもんだと思うんだけど。本人に聞いてみるか。


「なあ、サクラ、ヨモギ。お前たちって、いつ帰るとかわかったりする?」


『どういうことー?』


『帰るってー?』


「ほら、2人ってどっかから召喚されてきただろ?それで元いた場所に帰るのはいつになるのかなと思って」


『さあ?』


『知らなーい』


『そもそもどうやって帰る?』


『わかんなーい』


 いちおうオハギにも聞いてみたけど、返ってくるのは同じような返答。これはもしや戻らないやつか?と思っていると案の定三人とも数時間経っても帰る気配がない。しかも俺は一回、魔力を限界まで放出してる。ちょっと調子に乗って魔力の勢いを上げたら、うっかり残りの魔力を一気に出してしまった。魔力がなくなると、疲労感と頭痛と吐き気が同時に襲ってきて大変だった。しばらく休んだら収まったけど。ちなみにその間も三人は魔力を食いたそうにしていた。どんだけ食うんだこいつら。というかちょっとぐらい俺の心配をしてくれても良いと思うんだ。

 まあこれでほぼ確定だろう。どうやら召喚スキルは文字通り呼ぶだけの力しかなく、元居た場所に返すことはできないようだ。幸い2人に帰りたいという意思はなく、なんなら帰ることを若干嫌がっている節がある。


『命の危険に脅かされない暮らしさいこー』


『安定が一番』


『狩りしなくてもご飯食べれるならその方がいい』


 まあ本人たちが良いというならいいか。俺としても、こいつらの面倒を見るのは全然構わない。呼んだのは俺だし、世話らしい世話も魔力をあげるぐらいで大したことはない。

 とはいえ困ったのはその後。両親が帰ってきてからだ。流石に2人にこいつらを見せるわけにはいかない。犬や猫を拾ってくるのとはわけが違う。それでも最初は部屋から出さないようにしておけば大丈夫だと思ってたんだ。けれど、なぜか三人とも俺から離れようとしない。ちょっとの間だけだからと言っても、頑として譲らない。

 幸いにもおはぎは影に潜れるし、サクラとヨモギはポケットに収まるサイズ。しかも三人の声は俺にしか聞こえない。なんとかその日は家族にばれずに済んだ。


『あわあわ楽しかった』


『明日もやりたい』


『ねむねむ』


 サクラとヨモギは風呂場の石鹼が気に入ったらしい。あわに包まれてプルプル震えながら楽しんでいた。オハギは日が落ちたあたりから、眠そうにしている。君、いかにも夜行性ですみたいな見た目しといて夜は寝るんだね。

 いつもはけっこう遅くまで起きてゲームやったりラノベ読んだりしてるけど、今日は俺も速く寝るかな。明日はやりたいこともあるし。

 俺が布団に入ると、サクラとヨモギも布団に潜り込む。


『なんだこれー』


『でかいなー』


 これは布団と言って、人間は寝るときにこれで体を包んで寝るんだと教える。けど寝るという行為がよくわからないらしい。スライムは眠らないのか。


「まあとにかく、朝まではここでじっとして休むんだと思えばいいよ。じゃあおやすみ」


『じゃあサクラも休むー』


『おやすみ?なにー?』


「寝る前の挨拶だよ」


『そうなんだー』


 それにしてもどうしたもんか。必要な時だけ呼び出すってことができないとなると、好き勝手にポンポン召喚しまくるわけにはいかない。犬や猫そっくりなモンスターなら、もしばれてもごまかせる。けれどさすがにスライムや黒い靄みたいな、明らかに地球にいない生物の見た目をしてたら言い訳しようがない。

 獣魔召喚もまだ試せてないのに、思わぬ壁にぶつかってしまった。なんとかならないかなあ。

 俺がそんなことを考えている間にも、サクラとヨモギは2人して夜遅くまで俺に話しかけてきた。俺もそれに途中までは返答を返していたんだが、少しずつ意識が薄くなっていっていつの間にか眠っていた。




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