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召喚

 というわけでさっそく試そうと思う。まずはとりあえず【妖魔召喚】から。

 五芒星は、ノートの空いたページにボールペンで書いた。そしてその中心に、親指を裁縫用の針で刺して出した血を付ける。けっこう痛い。そしてそこに手を置いて魔力を込めながら呼びかける。

 魔力を流すってどうやるんだろうと一瞬戸惑ったけど、流したいと思った瞬間体から何かが出ていく感覚が。たぶんこれが魔力を流すってことなんだろう。

 そして最後に呼びかければ召喚できるはず。…なんて呼びかければいいんだ?てきとうでいいか、そうだな。


「強いやつきてくれ!」


 その瞬間、五芒星が白く光り輝く。直視できないほど強い光だ。理科の実験で先生がマグネシウム燃やした時に出る光ぐらい強い。とっさに手で目を覆う。というか、つい手を離しちゃったけど大丈夫かな。

 光は数秒で収まった。そしてノートの上には、半透明の薄ピンク色をしたプルプルした物体が。ちょっと美味しそう。


『だれ、お前。なんかうまそう』


「しゃべった!?」


 て、これが魔の盟友の心を交わすってやつか。見た目から推測するに、たぶんこいつはスライムだよな。妖魔って、スライムのことだったのか?それとも他のモンスターも呼べるんだろうか。

 それにしても第一印象がお互いに美味しそうて。気が合いそうで良かったと思うことにしよう。

 ああそうだ、忘れないうちにやっておこう。


「俺と盟友になってほしいんだけど」


『盟友?何それ。そんなことよりお前食わせろ』


「いや食わないでよ」


『食う。お前の魔力うまそう。だからお前食う』


「魔力が欲しいのか?じゃあ盟友になってくれたら好きなだけ魔力あげるよ」


『ほんとうに?』


「ほんとほんと」


『それならなってもいい』


「やったありがとう」


 なんとか第一盟友を確保できた。てっきり召喚したモンスターは召喚主に忠実だと思ってたけど、そうじゃないんだな。まあFランクの【妖魔召喚】から出てくるモンスターじゃ弱いだろうし大丈夫か。


「それじゃあ、盟友になるにはお互いの名前に誓う必要があるんだ。だから名前を教えてほしい」


『名前、ない』


「え」


『だからお前がてきとうに考えて』


「えぇ……」


 それでいいのか盟友(未)よ。それはそうと名前か。スライムの名前、ピンクでプルプルなスライムの名前……


「じゃあ、今日からお前の名前は『サクラ』だ。塩濱瑞希はサクラと魂の盟友になることを誓います」


『ん、サクラ、分かった。サクラはシオハマミズキと魂の盟友になることを誓う』


 その瞬間、どこか深いところでサクラとの繋がりができたことがわかる。なんか、ちょっと感動。あと、名前に満足いってもらえたようで良かった。ちなみに由来は桜餅から。大きさもちょうどそのぐらいだし。


『シオハマミズキ、魔力くれー』


「瑞希でいいよ。えっと、こうかな」


『おおぉ。ミズキうまうま』


 サクラを手の上に乗せて、魔力を流してみる。さっき召喚のときにみたいにやってみたら、意外と簡単にできた。それをサクラは体をプルプル震わせながら美味しそうに食べてる。こうしてみるとかわいいなこいつ。

 そうやって眺めていると、薄っすらとサクラの頭?というよりてっぺんのあたりに模様のようなものがあるのに気付く。それは、おれの左手の甲にあるのと同じ、三角形のマークと同じもの。

 もしかして、これでサクラのステータスも見れる?


「サクラ、お前のステータス見ていい?」


『?別に好きに見ていいよ』


 そんな興味なさげなサクラの言葉に甘えて見せてもらうことにする。三角形のマークに触れると、俺のものと同じような半透明の板が現れる。


 _______________

 サクラ

 クラス:メタモルスライム

 LV:3


 HP:F 

 MP:E

 STR:E-

 INT:F+

 VIT:E

 MND:F+

 DEX:E

 AGI:F-


 スキル

【擬態】E ▼

【吸着】F ▼

【物理耐性】F ▼

【熱耐性】F ▼

【炎魔法】F ▼


  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄


 あれ、なんか強くね。物理系ステータスは俺より高いし、スキルはいくつか強そうなのが並んでる。これもしかして、さっきまでの俺けっこうやばかった?召喚したモンスターは絶対服従ってわけじゃなかったし、なんなら普通にサクラは最初から俺のこと食おうとしてたし。

 ちょっと、反省すべきだなこれは。今回の僕の行動は軽率以外の何ものでもなかったし。魔の盟友が無かったらどうなっていたか、考えるとぞっとする。


「まあそれはそれとして、召喚はするけどね」


 一回使った妖魔召喚ですらまだよくわかってないんだ。せっかくサクラという仲間もできたのに、試さないのはもったいない。たぶん、力をもらったのは僕だけじゃない。それにあの”声”が言っていた「備えろ」の言葉。これから何が起こるかわからないけど、この力が重要になってくるのは間違いない。それなのにいざという時、自分の力を何も理解していませんなんてことになったら目もあてられない。まあ一番大きな理由は、ただ僕がやってみたいからなんだけどね。


 もう一度、ノートの上の五芒星に手を乗せる。つい使いまわしちゃったけど、この雑な魔法陣みたいなものは再利用できるんだろうか。再利用できるんならその方がいい。毎回痛い思いしたくないし。

 そんな俺の願いが通じたのか、無事に魔力は吸い込まれていく。このくらいでいいかな?


「俺の盟友になってくれるやつきてくれ」


 そしてまた光り輝く五芒星。その瞬間、少し距離を取る。万が一ヤバイのを召喚したときに逃げられるように。

 今回は最初とは呼びかけの文言を変えてみたけど、さてどうなるかな。

 光が収まったとき、そこにはサクラによく似たスライムが。色は薄緑だけど。

 やっぱり妖魔はスライムのことなんだろうか。


『お前、何?うまそうな魔力してる』


 第一声まで似てる。俺の魔力ってそんなにスライムからうまそうに見えるんだろうか。


「俺はミズキ。魔力あげるから、盟友になってほしい」


『お前いいやつ。友達なるなる』


 こうして、2人目の盟友ができた。こいつも名前がなかったから、俺がつけることになった。名前はヨモギ。由来はよもぎ餅から。

 今はサクラと仲良く俺の魔力を貪ってる。ケンカとかしなくて良かった。

 そしてそんなヨモギのステータスがこれ。


 _______________

 ヨモギ

 クラス:メタモルスライム

 LV:3


 HP:F 

 MP:E

 STR:E-

 INT:F+

 VIT:E

 MND:F

 DEX:E

 AGI:F


 スキル

【擬態】E ▼

【吸着】F ▼

【物理耐性】F ▼

【再生】F ▼

【風魔法】F ▼


  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄


 ほとんどサクラと同じだけど、サクラより足(?)が速かったり、魔法の属性が炎じゃなくて風だったりと少し違う。

 それとサクラの時はパラメータやスキルの方に目がいってスルーしてたけど、こいつらは見た目通りスライムだったらしい。メタモルってついてるのは、たぶん擬態が得意な種族なんだろう。スキルの方も1つだけEランクだし。

 ちなみにそれぞれスキルの説明欄はそれぞれこんな感じ。


 _______________

【擬態】E

 体の形状、色、質感を自在に変化させ他者を欺く。

  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

 _______________

【吸着】F

 どんな壁面にも吸着できる。

 吸着力は筋力に依存する。

  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

 _______________

【物理耐性】F

 あらゆる物理的影響を軽減する。

  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

 _______________

【熱耐性】F

 熱によるあらゆる影響を軽減する。

  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

 _______________

【炎魔法】F

 炎を発生させ操る。

  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

 _______________

【再生】F

 魔力を使い、肉体の損傷を修復する。

  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

 _______________

【風魔法】F

 風を発生させ操る

  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

 この中で気になるのはやっぱり擬態。

 どんな風に擬態するのか見せてもらった。試しに机に擬態してもらう。


「カメレオンみたい」


 机の上で薄く広がったかと思うと、みるみる表面の色が変わって見た目は木材みたいになった。木目まで完璧だ。しかも触るとちょっと固い。木材とまではいかないけど、樹脂みたいな固さ。なんか面白いな。そうやって触っていると、サクラが擬態をといた。


『これちょっと疲れる』


 どうやら、形や質感の違うものに擬態するのはけっこうたいへんらしい。ふだんは色だけ変えてるんだとか。

 次は魔法を見せてもらおうと思ったけど、さすがに部屋の中だと危ない。火事にでもなったらたいへんだ。明日にでも外で見せてもらおうと思う。




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