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優しさのすねを嘗め回す


「じゃあ早速冒険者カード作りに行こうか、」

「は、はい」


まるでか弱い女の子をバーに誘うように白子は僕の背中を押してくる。

「タメじゃなくていいのに」

「わ、わかった」

中に入ると筋肉ムキムキのお兄さんたちがいた、きっとこの中にいる人達全員が底しれない努力をしてきたのだろう。そんなとこにヒョロヒョロの少年の降臨だ。


当然睨まれるだろう。しかしそんなことも気にせず

白子は受付嬢に紙を要求する。この人は人に嫌われたことがないんだなと無責任に思ってしまう。


「ここに名前と経験を書くんだ」

「こういうのは鑑定スキルとかでみるんじゃないの?」

あるとしたらそっちの方が絶対に手早く終わる。


「秘密にされているけどあるよ。でもさ、これから冒険者になる人だよ。

これで正直に書けば信用できるし、ここで嘘を書いて鑑定スキルでバレたらその人は信用できないって判断できるじゃん?」

小賢しいな、

紙を見てみると妙な項目があった。文字は読めないけどヤバさは伝わる。


「これって何?」

「それはここにきたばかりの君には関係ない、飛ばそう」

冷たく蔑ろにされた。


チョットぐらいしか異世界系アニメを見ていない僕にもわかる

この世界は前の世界とは違って、きっと魔力とか、ずば抜けて凄い力があるはずだ

てかあってくれないとこれからの生きていくモチベがなくなる。


これもその絶大な力の類だろう。

どんな能力なのだろうか、期待で胸が巨乳になりそうだ


言葉もわからないならどうやって記入しているかって?

言葉はどうやっても今の僕には解読不能だから白子が僕に質問して、それを僕が回答して白子が紙に書いてくれる。

書き終わってベンチに座って待っていると無音になってしまった。

何か話さないとな、話下手がもう既にバレているかもしれないけど何か話さないと、


「なんで白子は文字が読めたりかけたりできるの?」

(質問の仕方があまりにも幼すぎた。)

「私は、ここで育ったからよ」

どういうことだ?


「16歳の時に死んでしまったのだけれど転生をして貴族に育ててもらった。そのおかげ私は自然的にこの世界の文化を習得できたんだ。」

この世界にもやはり転生はあるのか、それにしても16歳を2回も繰り返されているのか、ん?つまり32歳?いや、きっと精神は16歳のままだ


「だけどさ、私はどうしても前の世界のことを想っているんだ。あの世界で過ごしてきたからこそ今の私があるってね。」


僕が嫌いなセリフの総てをクリティカルに発してくる。どこかのゲームの主人公みたいなこと言う。存在のしない主人公だ。なんというか言っていることの総てが薄っぺらいとそう少しでも感じてしまう。だから主人公には抜擢されないのだろうという感じだ。


彼女はきっとあの世界、この世界含め、大好きなのだろう。対して

先程の奇っ怪な文でわかるように僕はあの世界が嫌いだ。言ってることが子ども染みていることぐらいはわかっている、だけれど、いや、言い方を変えるべきだな。


先程の奇っ怪な文でわかるように僕はあの世界が贅沢な気持ちを抱きすぎてしまったのだと思う。

いろんなことを望んだ。総てわかった気になっていたのだと思う、まだこの世界に来て間もないのにもかかわらずあの世界を切り離したかのように文に綴っている。相当嫌気が差していたのだ


「だからこそ私はこの世界の案内人みたいなのを自分勝手にやっているんだよ。まぁ自称何だけどね笑」


僕の長すぎるネガティブ文でよく話がわからなくなってしまってすまない。


この女、文で表せるほどの笑をつけやがったのである。大罪である。


「コラ&ノ(ナクチ$ツ#二トミ0ミ%トラモ0ラカ^ニカニ#二〜」

「呼ばれたみたいだね、行こうか。」

冒険者カードを受け取る。これで僕でも冒険者になれるのか


そんな期待は3秒で消えた。



どうやら僕にはまだ冒険者になれるレベルが足りないみたいだ。

本来こんなことは少なくて、僕の年ぐらいになれば魔法の一つや二つは使えるらしい。

ハイハイのできない16歳というわけだ。実に滑稽である。


世界でちょっとぐらいは体を鍛えておけばよかったなぁとか思う。逆になぜ”ソレ”をしてこなかったのか、多少の自己防衛や誰かを守るためには習得しておくべきではあっただろう、それくらい僕は守りたいものなんてなかったというあらわれか?


「ま、まあ鍛えればいいだけの話だし。そ、そういえば君この世界に来たばかりだから、泊まる場所とかないよね?あのさもしよかったら私の家に泊まらない?」


ごまかすように白子は話題を変える。しかしその動揺は隠しきれてない



「え、あ、いや、白子は女だし、他のところ泊まるよ」

こんな童貞野郎が人の家に泊まったら一日でノックアウトだ

「でも君お金ないじゃん」

あ。

「野宿」

「この世界で野宿なんてしたら異世界降臨一日目で死亡だよ?」


お言葉に甘えて泊めさせてもらうことになった。決して卒業イベントなどは期待していない

「じゃあ馬車拾おうか、」

「家って近くじゃないの?」

「こんないい場所に家なんか立てたら金貨40枚はするよ。私の家はもっと遠く。」

どうやら白子の家はここから8里ぐらいのあまり栄えていないところにあるらしい。


ちょうどいいタイミングで馬車が通りかかり拾うことができた

(ぐうう)

「お腹すいたの?随分可愛いお腹の音だね」

馬車の中で大きく響く腹の音。御者にも聞かれただろうな


「あっ!あのここで一度降ろしてもらえませんか?」

白子は御者におろしてもらうことを頼む。

「よっと、」白子の綺麗な茶色の髪が舞う。堂々と女子の髪を見れたのはこれが初かよぉ

「お腹すいたみたいだから」

馬車が止まったのは小さなレストランの前だった。

「なにか頼みなよ」

「いや、申し訳ないよ」

「さっきお腹なってたじゃん」

申し訳ないが奢ってもらった。

ハンバーグ。美味しかった

馬車に乗り今度こそ白子の家に向かった。

「・・・・・・・・」

会話がまた途切れたな、さっきの項目にあった奇妙なものについて聞いてみるか、、

「あ、あの項目にあったのって何だったの?」

「あれはね、、呪い。この内容はタブーだから話すのやめようか...」

白子の顔が少し強張る

あまり触れたらいけない内容だな。

身体が疲れてきた。眠い。



〇●○●○●○●


トンっ

白子が優しく僕の肩をたたいて僕は起こされた。

「ご、ごめん寝てた」

「いいよいいよ。今日は疲れたでしょ急にこんなとこに来て。」

さっきの強張った表情は寝ている間の2時間で消え、今では優しい顔になっている。


家に着いたみたいだ。

白子は御者に本当の値段よりも多く銭を渡したざっと銀貨12枚だろう。

馬車に降りて外を見渡すと、一つ大きな家が立っていた。外装は木で出来ていて、火の一つでも点してみたら一瞬で燃えて大火事になる。それくらい木の家だった


白子は礼儀よく御者にお辞儀をすると、家の前に立ち止まる。

「主の帰宅を歓迎せよ。」

ガチャ。ドアはそう言って主人である白子を迎えて。

それは僕が10歳から憧れていた魔法だった。

「人に見られるとなんか恥ずかしいな。」

「なんで日本語?」

「そりゃぁ、侵入を塞ぐためだよ。」

鍵なんか掛けたところで火を灯せば、燃えて無くなるだろう。


「さっ、中入って」

内装も木でできているけど、消して古い時代とは言えなかった。僕が生きてきた時代の様な机。

台所、ベッド、洗面台など、現代に近いものばかりだ。かといって完璧じゃない。何かと欠点がある



これも白子の趣味なのだろう。前の世界を忘れたくない。だから、形にして忘れない様にしている。僕も見習いたいものだ。


僕がリビングで待っていると、パジャマ姿の白子さんの登場だ。片手にはコップと歯ブラシ。歯磨きらしきものを小さい手で持っている。


「はい、見たらわかる通り歯ブラシと歯磨き粉。

磨いてらっしゃい。」

新品か、いやいや当たり前だけど。

歯ブラシは使いやすい現代とほとんど同じものだ。


「ほら布団。」

ボロいけど前の世界と同じぐらいは寝心地いいよ。」

うわ、本当にふかふかだ。


「なんでこの技術がこの世界にあるの?」

「私と君みたいにこの世界に来る人は意外にいるんだよ」


だから馴染み深いものばかりなのか、

「私はもう寝るねおやすみ。」

ベッドにそそくさと向かっていった白子は布団に潜った瞬間目を閉じて喋らなくなった。つまり寝た。


何も説明されなかったな。自由にして良いのか、

でも人の家を勝手に探索なんて、後で何言われるか知り得ない。だから寝よう


キブン

オレハキットウマレタイミヲサガスタメニウマレルノガヒトダトオモウコトダッテアッタ。ケレドオレハソレヲミツケルコトガデキナカッタ。ケッキョクオレハウマレテキタイミヲサガシツヅケタケッカ何を無かったことにシツボウシテシマッタドコカニヒカリヲモトメルノハモウヤメルヨ。







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