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夏の風物詩

作者: しろてこ

3.夏の風物詩


彼女『やっぱちょっとぷにってるよなぁ……』

今日の彼女は持っている水着の試着中。

どうやら鏡を見て体型の確認をしているようだ。

おっと扉が少し開いているみたいだけど。

彼氏『やっぱり試着してた……去年も思ったけどあの水着似合ってるなぁ……』

おやおや、彼氏がのぞいているようだ。

そう、これも毎年恒例。

彼女はキレイな自分を見せたくて、彼氏はそんな準備をしている可愛い彼女が見たくて、同じことを繰り返すのである。

そして彼女はこれをこっそりやろうとするので毎年彼氏はこの時期になると見逃さぬように目を光らせているのである。

ということは。

彼女『ん?……あ!!また見てる!』

彼氏『あ、バレちゃった。』

彼女『んもう!見ないでって言ってるのに!』

こうして覗き見がバレることも毎年恒例なのである。

彼氏『だっていつも海とかプールとか行く時に見てるじゃん、どうしてダメなの?』

彼女『それは!……その……』

彼氏『ん?どうして?』

彼女『……こ……び……から……の』

彼氏『ん、ごめん聞こえなかった。なんて?』

彼女『だから!心の準備してから見せたいの!』

おやおや、彼女は顔が真っ赤だ。

よっぽど理由を言うのが恥ずかしかったらしい。

彼氏『っ……くそ、かわいすぎだろ……』

彼女『…何か言った?』

彼氏『なにも。その水着、やっぱり似合ってるね。可愛いよ』

彼女『っ!……いいから早く出てって!!』

彼氏『どうして?もうバレちゃったし見ててもいいでしょ?……ていうか真剣な顔して鏡とにらめっこしてるキミが可愛いから見たいです。見せてくださ』

彼女『ダメ!出てって!!』

そう言うと彼女は彼氏を扉の方にグイグイと押していく。

彼氏はちょっと力を入れれば耐えられるが怒ってる彼女も可愛いのでニコニコと素直に押されている。

彼女『今日はこの部屋入ってこないで!』

彼氏『えー?でもここ入れないと僕寝るところないんだけど。』

実は、ここは寝室なので彼氏の言っていることは正論なのである。

彼女『……じゃあいいよって言うまで入ってこないで。』

彼氏『はーい。…邪魔してごめんね、怒ってる?』

彼女『っ……怒ってないよ。』

彼氏『ほんと?』

彼女『ほんと!』

彼氏『よかった。メロン切って冷やしておくからひと段落したらおいでね。』

彼女『!…わかった!』

どうやら彼女のご機嫌取りも成功したようでなにより。

こうして夏本番への準備は着々と進んでいくのである。


Fin.

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