4.1 会えない友
この日、三人は一緒にGLOWWORNでティータイムを過ごしてる。
「ご注文は?」
「紅茶でいい。あぁ、チーズケーキがあるよ!じゃあチーズケーキひとつください。そうね…やっぱり紅茶じゃなくて、カフェラテにしよう。」
「あの……?」
ホタルの無力さを感じて、やなと義孝は同時にため息をついた。
「チーズケーキとカフェラテ。僕は同じでいいです。」
「ミルクティーでお願いします。」
「はい。」
ホタルが去ったあと、三人は同時に笑った。
綿の笑顔は自慢しているが、義孝は無力で、やなは感心な笑顔だった。
「黒沢さん、大変そうですね。朝田さんも、ちゃんと考えてから話してくださいよ!」
「大丈夫ですよ、慣れましたから。」
「うんうん、よろしい。」
「よろしくないですけど?」
「はいはい。喧嘩していますか?」
ホタルは笑いながら、注文のケーキと飲み物を差し出す。
「喧嘩じゃなくて、抗議です。」
やなは綿を見つめて言った。
「ホタルさんが作るコーヒー、香り満点だね。」
「本当です。数学先生になるのがもったいないくらいですよ。」
「大袈裟ですよ。そういえば先日のひなちゃんの事件は、みなさんが解決しましたよね?」
「はは、黒沢大活躍だったぞ。」
「そんなことない…です。」
義孝は照れていながら、少し悩んでるホタルを見逃さなかった。
「どうかしましたか?」
「実は…頼みたいことがあります。」
無差別殺人事件。
一ヶ月前から、数名の綺麗な男性がナイフで攻撃されて、大量な出血で死んだ。
一週間前、ようやく犯人の正体を絞った警察たちは、囮が殺される寸前で現れ、犯人を逮捕した。
ここで終わるはずの話だが、実はその犯人は、ホタルの親友だった。
神谷珪子は、ホタルが数学学科で作った友達。
数学能力は抜群だが、夢のために、卒業のあと朝食の店を開いた。
ホタルの記憶での珪子は付き合ったことはないし、男性の友人も少ない。
いつも明るくて素直な彼女は、決してこんなことをするはずがないと。
ホタルはそう判断した。
「ホタルさん...神谷さんに、どうして数学学科に入るのを聞いたことがあるの?」
「はい...聞きましたが、笑って答えてくれないんです。」
「あなたが転入する前から、もう数学学科で?」
「いいえ、私と一緒に転入したから、仲が良いんです。」
やなはホタルの顔を見て、少し迷いを感じた。
兄のトランプから抜け出せていないかも。
やなはそう思った。
「とりあえず、情報をもらっておこう。」
「朝田...さん?あぁ!佐藤さんのことですか!」
「そうだ。」
ホタルのために、綿、やなと義孝三人は佐藤徹を訪れた。
「あぁ、あの女の子。正直、今でも話し合っているのよ。」
「もう一週間経ったんじゃないか?何か問題でも?」
「先に聞いておくけど、くそ野郎はどうしてこの事件を聞くの?」
「親友に頼まれて。」
「熱心だな?
「神谷珪子、今回の犯人は、普段の性格と違いすぎる。」
「普通だ。自分の性格を隠したり、多重人格とか。」
「いやいやいや、そういうタイプじゃない。
「普段の彼女はすごくいい人で、店も…朝食の店も、人気だったそうだ。
「捕まれたあと、彼女も何人殺したと言ったが…」
「が?」
「くそ野郎、さっき言った親友は名瀬ホタルさん?」
「どうして?」
「やっぱり。あの神谷珪子は、ケイを殺しただけだって。」
「被害者たちは…」
「もちろん、そういう名前じゃない。
「よく分からないが、彼女には幻想があるかもしれない。
「ケイには執念が強いみたい。」