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第7章

~幻の秘宝を魔術で射止めるべく黒魔法使いはダンジョンで今日もインチキ宝石商と果てなきバトルを繰り広げ~第七章





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Scene.18 仲良しになったね



細木はミュウラの話に夢見心地の様子。

早速綿密な計画を練る事にする。


「そうじゃな、先ずは一旦、ここから君のアジトへと退散する。そしてこの「ドラゴンズ・ソウル」の威力を盗賊団の団長の目の前で披露する。そしていざ手渡す際に、あらかじめ作った模造品とすりかえるのじゃ。」


「何よ、子供じみてるのね!」


「意外とこんなんでも騙せるさ。」


「そうかしら。」


「ワシが団長に呪文の手引きをする際にすりかえる。そこで君の番だ。君はうまいこと言って報酬を受け取る。いいね。」


「そんなんで成功するかしら。」


「大丈夫。団長はこの意思の威力に魅了される筈。そのすきにすりかえてもらうもん貰ってトンズラさ!さぁ早速アジトへと案内してくれたまえ!」



細木は頷くとそそくさと傭兵に隊の撤退を指示する。



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その頃ロドリゲス公爵率いる隊を編成し、いざ細木たちの陣営へと突き進む。

清水がンデゲに問いかける。


「ミュウラの奴、本気で「世界制覇」などたくらんでいるのだろうか?」


「集落のものにも聞いてみましたが、そういう話は無かったようです。」


「そうか・・・すると何かしらミュウラには画策がありそうだな。そして細木たちをうまく丸め込んで・・・そう、「世界制覇」といっても何を制覇するのかな?」


「どうせくだらない野望じゃないんですかねぇ。

例えば~ハーレムワールドとか・・・」


「ハハッ、それはお前の望みなんだろ!」


「え、そんなことないです・・・」


夕べの宴で一気を久々にかましたせいで二日酔いのロドリゲス公爵は休み休みふらふらと歩いている。此れではいつになったら細木陣営に到着するかわからない。

陣営のある丘はいまだ遥か彼方にあった。

すると丘の先に砂埃が巻き上がっているのが見える。


「やや、奴ら逃げおったか?」


すると先ほどまでふらふら歩いていた公爵はスタスタと走り出す。

清水たちもそれを追いかける。


やがて丘の頂上まで到着すると、遥か彼方に砂埃を派手に巻き上げながら武装トラックの隊列が撤退していくのが見える。後の祭りだ。


「公爵、どうしましょう。」


「くっそう、逃げられたか。行く先は盗賊団のアジトに違いない。集落に戻ったらヘリでそちらに向かおう。」




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Scene.19 ソウルズ☆コネクション



細木たちのトラックの隊列は3日3晩かけてようやく首都ドドマのアジトに到着した。


「さ、着いたわよ。長旅ご苦労さん。」


細木は館の応接室へとミュウラを招き入れると給仕に食事の支度を申し付ける。

窓越しにミュウラが様子を伺う。


外は雨模様、幾分暗くなってきた。流石に意気揚々としてきたものの、いざ敵のアジトへと招きいれられたミュウラだったが緊張感から不安な面持ちでいる。

リビングに次々に豪勢な食事が運ばれてくる。


「さぁ!たあんとお上がり。ところで石はちゃんと持っているわよね?」


「ああ、ここに。」


使い古されたよれよれの肩掛け鞄から「ドラゴンズ・ソウル」の原石を取り出してみせる。


「無くしちゃいけないから私が預かっとこうか?」


「いいよ、大丈夫。」


「そんな事言わずによこしなさいよ、ほら。」


そういうとミュウラの鞄から原石を取り上げる細木。

不安げにそれを見守るミュウラ。



「へぇ、それにしてもこんな石ころからあんな竜が飛び出てきちゃうんだから驚きよね!」


手のひらに転がしながら細木は原石を観察する。


ミュウラは目の前の料理に我慢できずむさぼり始める。

集落では食べたことの無い美味しさに箸が止まらない。

その勢いに傭兵達も眼を丸くする。


「ん、うんまぃうぃ!」


獣のようにがっつくミュウラ。

流石の細木も開いた口が塞がらない。

細木もたまらずにがっつきはじめる。

まるで大食い大会の様相と化したリビングはまるで戦場のよう。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~



ようやく集落に戻ったロドリゲス一行は肩をうなだれたまま一先ず休憩する。

ヘリに武器を積み込むよう指示し、夜中に出発するまで就寝する。


「ンデゲ、この旅は一体僕らにとって何の意味があるのかなあ。」


「シミズさんにとっては一攫千金のチャンスじゃないんですか?」


「それもそうだが、何だか不思議なことになってきたな。」


「まさか長老がトンズラするなんてね、ハハッ!」


早めの食事を終えて夕暮れに就寝する。



~☆~☆~☆~☆~☆~☆~☆~☆~☆~☆~☆~~



草木も眠る丑三つ時にロドリゲスと清水、ンデゲは荷物を積み込むとヘリが飛び立つ。

真っ暗闇の草原が何処までも続いている。

星を頼りに遊覧飛行~夜風が涼しげに漂う~~~~~~



かなた地平線が紫だってくると、ようやく朝日が赤々と空を染める。

大地が輝きを取り戻してゆく。すばらしい光景にしばらく言葉を失う。

タンザニアの夜明けが心にしみる。

サリュウが用意してくれたポットからコーヒーをすする。

あの娘、可愛いかったなぁ。名残惜しい気分の清水。


遠くに街並みが現れ始める。流石にヘリは速い。

もうすぐいつかの首都ドドマの空港に到着となる。


レンタカーをチャーターすると荷物ともども飛び乗る。


「いざ、出陣!」


空の旅の疲れもいざ知らず、ロドリゲスは颯爽とハンドルを握る。

コラムミッションギヤをシフトするとタイヤを軋ませながらダッシュする。

なんとも乱暴な運転だ。力入りすぎじゃないのか。


やがてアジトに到着するも、怪しまれないように一旦素通りする。

門番が厳重に警戒している様子が見える。

何れ来る公爵を待ち構えているように。


一旦ホテルへと駐留する。

夜襲をかけるべく計画を練る。

暫くして事もあろうか清水のスマホが鳴る。


「ああ、清水?今ね、ダル・エス・サラーム国際空港。全然連絡ないから来ちゃったよ。」


それはバカボンボン御曹司の社長からであった。


「ところで例の石、どうよ?」


「はぁ、盗賊団から一旦取り返したのですが・・・原石を採掘した集落のミュウラ長老が持ち出しまして、また盗賊団の手に渡った様で・・・」


あまりの動揺で要領を得ない清水の返答。


「ナニィ!それはどういう事だ!」


「ですからミュウラに騙されまして・・・黒魔術使いの細木と盗賊団アジトに居ますが。」


「清水君、君は何を言っているのか判っているかね?もし取り戻せなかったら君はクビ。」


そういうと社長の連絡がプツリと切れた。


ンデゲはみるみる青ざめてゆく清水を心配そうに見やる。

ロドリゲスはどこから入手したのか、アジトの建物の図面と格闘している。

やがて夜が更けていった。




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Scene.20 ソウルズ☆コネクション-2



「さあて、いざ出陣かな。清水君、そんな顔しちゃって。俺に任せなさいっ!」


ロドリゲス公爵は久々の戦闘を控え、幾分年甲斐も無くワクワクしている様子。

ンデゲは清水の浮かない表情に心配な様子。

当の清水は社長からクビにされるやもしれぬ緊張感から足元もおぼつかない。

一行はいざアジトへと出陣する。



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その頃、細木はようやく手に入れた「ドラゴンズ・ソウル」に有頂天だった。


「ミュウラちゃん、これからどうしようか?」


「ええと、模造石を作ってみようかと。」


「え、あんたが作るの?それって大丈夫?」


「まぁ、やったことないけど・・・」


「へ?あんた本気?」


「ああ、一応・・・」


「もしへまでもしたらお父ちゃんに言いつけてやるから!」


「はい、了解しました・・・」


「もうっ、頼りないわね、この期に及んで。まあいいわ、今日はさっさと寝なさい!」


「はい、そうします・・・」


妙に素直なミュウラはリビングを後にする。

ミュウラにとって此処は敵陣。

容赦などならないのは、厳重に警備網が敷かれていることからも伺える。

普段の平和な集落の暮らしとはかけ離れたこの環境下において緊張は止まない。

今夜は眠れそうにもない・・・



細木はいつもの日課となっている水晶球での情報収集を始める。

すると・・・・ンデゲの脳波を察知するや、水晶球は閃光と共に白壁に映像を浮かび上がらせる。


それは何故か見慣れた 何と、事もあろうに首都ドドマの夜景。

そして見慣れた通り・・・それは細木の直ぐそばまで迫っていることに気づく。



「あ奴ら、とうとうここまで舞い戻ってきたのね!」



豹変した細木はそそくさ寝室に居るミュウラの元へと駆け出していった。


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~ To Be Continued! ~


















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