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第五十二話 服

「わあ! これ、私達に?」


 アリスは手渡された服を両手で広げる。まだ新しいもののようだ。


「ああ。使われていないのはこれくらいしか無かったんだが、大丈夫だろうか。服も傷んでいるみたいだったから、私達からの気持ちだ。それなりに丈夫なはずだし、多少無理をしてもすぐ使えなくなることもないだろう」


 アリスは自分の服を見る。確かにところどころ傷ついているし、汚れもある。一応前の村でも代わりの服は貰っていたが、やはり戦いのせいで傷つく機会が多いのだろう。


「あはは……。そういえば色々あったもんね。ありがとうザグロさん。あれ、ヴァルメは貰わないの?」


 ヴァルメは手渡された服を返していた。


「ええ、別にいらないわ。私にはこの服があるし、あなた達の服みたいに傷んでるわけでもないから。あなた達の服の扱いが悪いのよ」


「いや、そんなこともないと思うけど……」


 とにかく、二人はザグロから貰った服に着替えることにした。


「ハンナ、似合ってる!」


「そう? アリスもいい感じよ」


 二人はお互いを見合わせて笑みを浮かべる。その横で、ヴァルメはつまらなそうに爪をいじっていた。そんなヴァルメを見ていて、アリスにふと疑問が浮かんだ。


「ヴァルメ、その服っていつから来てるの? 大事なもの?」


 ヴァルメの動きが止まる。アリスからしても、意外と彼女は感情が出るタイプだと感じていた。その様子に口角が上がる。


「……そうね。知り合い……いえ。友人から貰った、大事なものよ」


「……そっか」


 少し気恥ずかしそうに答えたヴァルメに、アリスは杖をぎゅっと握り微笑む。


 

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