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三十八話 グリムとの戦い

 膠着状態を先に崩したのはアリスであった。再び電撃を飛ばし、バッシュの動きを制限する。バッシュがそれを避けると、その先でアリスの錫杖がアゴに向かって打ち上げられていた。アリスとしては想定していた形に繋げることができたものの、バッシュはこれを手に持っていた斧で防いだ。しかし、バッシュは苦悶の表情を浮かべる。お互いの武器が競り合っている間にアリスは錫杖の先から電撃を飛ばし、バッシュへ届かせたのだ。バッシュは急いで錫杖を払い、もう一度距離を取る。


「ぐっ……! 防御後にはすぐに武器を払わねば攻撃を受けるのか。厄介な」


「……二回も当ててるのに、あんまり効いてないの?」


 アリスとしても、自身の攻撃がバッシュに大きなダメージを与えるに至っていないことに動揺していた。やはり普通のグリムではないのだと察する。おそらくは相手の体に直接、かつ最大限の威力で攻撃を当てない限りは決定打には至らないのだろう。

 次に仕掛けたのは、バッシュであった。バッシュの振った斧がアリスの錫杖と打ち合う。アリスとしては打ち合いの中で電撃を飛ばすなりして相手の隙を作りたかったが、バッシュの連撃に押され、それどころではない。

 バッシュはグリムの中でもその首領、オロバに並ぶほどの強さを持っていた。そんなバッシュに対し、未だ技量の拙い、能力頼りなアリスでは分が悪かった。彼女の能力ももうある程度見られてしまったため、不意をつくことも難しい。


「うっ……」


 歯を食いしばってバッシュの猛攻を凌ぐアリスであったが、遂に錫杖が弾かれ、大きく体勢を崩した。次に放たれた一撃を、身体強化を局所的に集中させてなんとか躱す。その勢いのまま後方に大きく離れるが、既に息が荒くなっている。


「強い……でも、なんで?」


 ふと、アリスが口に出した。


「さっきの攻撃、当たっても決定打になるようなものじゃなかった。わざと浅いところを狙ったの?」


 バッシュは何も答えず、斧を構える。アリスもまた、聞き返すことはなかった。生捕りにするため、痛ぶるため、どうとでも捉えられた。しかしアリスが劣勢なのは変わらない。再びバッシュの鋭い猛攻に押され始める。そんなアリスの苦戦を見ていたヴァルメが、歯噛みして呟く。


「仕方ないわね……」


 ヴァルメはグリムとの戦闘を継続しながらも、徐々にアリスとバッシュに接近する。ある程度近づいたところでヴァルメはバッシュに向かって冷気を出すとともに手に持っていた水筒から水を飛ばし、それを凍結させた。そのまますぐにグリムとの戦いに戻る。他のグリムを相手にしながらではこの程度の支援しか出来なかったが、それでも十分であった。


「グッ……!」


 バッシュは突然現れた氷に視界を奪われ、動きを止めた。当然、アリスはその隙を見逃さない。すぐさまバッシュの脚を錫杖で払い、倒れたバッシュに馬乗りの体制で、思いきり錫杖を振りかぶる。だが、振り下ろすより先にそれを止める声がアリスの耳に響いた。


「ま、待ってください!」


「……ファル?」


 その声は、間違いなくファルのものであった。しかし、ファルは安全な場所で待機させるという話であった。


「どうしてここにいるの? ここは危ないよ」


 バッシュからは目を背けず、アリスはファルに言う。


「でも、心配で。みんなのことも、僕を助けてくれた人のことも……」


「ああ、そんなこと言ってたっけ……。大丈夫だから、戻ってて? ファルを逃してくれたっていうグリムは探しておくから。ね?」


「そのグリムなんです。僕を助けてくれた、グリムです」

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