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二十七話 二人の動向

 閑散とした小さな町、フーロウ。そこにある宿の一室で、二人の男が顔を合わせていた。二人の男、ターナーとクロッツは、双方深刻な面持ちを浮かべている。現在彼らは、今後の方針を話し合っている最中なのだ。


 「やはり、俺はしばらくここで情報収集を進めるべきだと思っている」


 そう語るターナーに対し、クロッツは首を振る。


 「でも、やっぱりアリス達が心配だ。あの二人、というかアリスは何かあったらすぐ首をつっこみそうで……何かに巻き込まれでもしたら」


 頭を抱えるクロッツを見て、ターナーは深くため息を吐く。


 「そうは言うが、俺たちも村から出て右も左も分からない状態だ。まずは情報を集めて、どうすべきかを整理する必要がある。それに、ハンナがついてるんだ。滅多なことにはならないだろ」


 「たしかに、今の俺たちにはどうしようないことは分かってるよ。それに他の人達だって、特に家族は心配だ。けどあの二人は、自ら進んで誰かの為に動こうとするだろ。それが余計に心配させられるんだよ」


 クロッツの言葉に、ターナーが押し黙る。彼にも心当たりがないわけではなかった。アリスとハンナのことは、幼馴染であるターナーもよく分かっている。

 二人も村を出てからは、困っている人を多く見てきた。しかし当然、その全てを気にかけて行動することは出来なかった。そんな余裕も力もないからだ。だがアリスとハンナであれば、無茶であろうと人助けを優先するのではないか。長く彼女らを見てきたターナーなら、そういった予想はできた。


 「そうは言ってもな。二人もそこまで危険な無茶はしないだろ。それにほら、アリスのあの不思議な力。正直驚いたが、あれがあれば大抵何があっても平気なんじゃないのか?」


 ターナーはアリスが魔物達に使った電撃を見ていた。彼も詳しくはわかっていないものの、あれがあれば余程のことがない限り、危険な目に遭うことはないのではないかと考えているのだ。


 「俺だってそうは思いたいけどな……。俺はむしろ、あの力のせいでアリスが先走るような気がする」  


 「……確かに」


 クロッツの言葉に、ターナーは首肯する。アリスの性格を思えば、十分考えられることであった。


 「だがやはり、まずは情報収集。それからアリスとハンナ、他の人達を探す。それでいいだろ。情報がなければ、いくら気にかけたってどうにもできないさ」


 ターナーの提案に、クロッツはようやく頷いた。


 「心配なのは分かるし、それは俺も同じだ。けどまずは今の状況を把握するのが最優先だろ?どう動けばいいか分からないのに人の心配ばっかりしても何もできない。……まぁ、そういう繊細なところは変わってないみたいで安心したよ」


 そう言って、ターナーが笑う。


 「う、うるせぇな!」


 そう言いつつ、クロッツも笑い返す。ずっと張り詰めていた緊張感が、この時ばかりは弛緩していた。


 「しかし、たしかにみんなが心配なのも事実だ。出来るだけ早いうちに行動できるようにしよう」


 「ああ、みんな無事ならいいんだけどな……」

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