ワーカホリックって事!
取り合えず、私のお腹は満足だよ♪
リンゴパイ美味しかったし、まあ、カップ麺の事は許して上げるとしよう。
「そう言えば、お姉ちゃん、お正月に旅館なんて良く部屋空いてたね」
「そうなのよ、何かキャンセルが有ったらしくてね」
そう言えばお母さんが、そんな事言ってた。
「それがね……フッフッフ♪幽霊が出るんだって~♪」
何か雰囲気出してそう言われてもねー。
でも、数日前の小野小町だったら、鼻で笑ってるところだけど……今は笑えない。
この前の事もあるし。
「でね、それが、変に噂に成ったらしくて、お客さんが何組か怖がってキャンセルしたんだって。ホント災難よね。なんでも、子供が走り回る様な足音が聞こえたり、すすり泣く様な声が聞こえたり、窓の外に血走った目が浮かんでたり……だって」
子供の幽霊か~。
その噂が本当だとして……まあ、幽霊でも優弥くんみたいに良い子も居るし、悪い霊だとは限らないけど……すすり泣きとか、血走った目は……。
「で、格安で御招待されて行って来たんだ」
そのせいで、私があんな怖い目に……。
「まあ、それも有るけど……。興味あるじゃん!幽霊!一度で良いから洒落怖体験してみたいよ~♪」
はぁ~……、だったら、巫女バイト行けば良かったじゃん。
猿のターゲットはアンタだったんだし、もれなく洒落怖体験できたよ。
「それで、成果は?」
「うーん、何にも……チョ~風光明媚で♪チョ~食べ物が美味しくて♪チョ~温泉が気持ち良かっただけ♪」
ムカッ!私のこの憤りは何処にぶつければ……。
「なんか、リンゴパイ食べたら、余計小腹が空いて来たよ~。丁度お昼時だし、どっかで食べてこよっかな~。アンタも行く?」
うちの姉には二つ名が二つある。
一つは、中学生の頃から、クラスメートから呼ばれていた「ヒメ」と言う二つ名。
まあ基本、外面の良い姉は、その内面とは真逆の、清楚で薄倖そうな見た目からそう呼ばれていたらしい……私から言わせれば詐欺としか思えん。
もう一つの二つ名は「小野さん家のぬらりひょん」、ご近所さんからはそう呼ばれている。
何処からともなく、家に上がり込んで来て、家族の団欒に交じって御呼ばれする姉を、そう呼んでるらしい。
一体、どんなコミュ力よ!
で、お姉ちゃんの言う、どっかとは、お店とかじゃ無く、ご近所さん家に上がり込んで、御呼ばれしてくると云う事。
当然、私は……。
「お断りします」
「あっそ♪そうだ、我が妹よ。正月は迷惑掛けた事だし、アンタにこれを進呈しよう♪」
とか言って、何やら紙切れの束を手渡される。
何これ?割引券?
「東京のスイーツの名店のばっかだよ♪せっかく冬休みなんだから、美味しいモン食べて来な♪んじゃ、アデュ~♪」
とか言って、お姉ちゃんは出てったけど……。
割引券なんか気前良さげに渡されても……それに、何よこれ。
使用期限が、あと三日以内のばっかじゃん!
まあ、いっかー。
どうせ、玉藻堂に二十円札売りに行くんだし。
で、そのGETした軍資金で、イヤと言うほどスイーツ食べまくってやるんだから!
とは言っても、今から東京まで行く気にも成れないし……ふっふっふ♪
念願の喰っちゃ寝ゴロゴロよ♪
と、言っても……あたりめしゃぶりながらゴロゴロするだけだけど……。
お姉ちゃんが出てったあと、テレビをつけて、あたりめを咥えながらゴロゴロ……なんか……間が持てない。
超絶暇だわ。
ま、こう言う時はスマホゲームが定番よね。
適当な新作ゲームを探してダウンロード。
勿論、私は無課金プレイヤー。
二十円札を換金したら、課金を考えても良いわ。
リセマラを繰り返して、SSRのキャラと魔法をGET♪
で、ゲーム内で使ってみる……確かに派手な効果。
爽快感も……まあ、有る。
でも……。
「うーーん、物足りん!」
蘆屋小町の猫魔法の方が、断然派手だし、爽快感もあるわ。
まあ、そりゃそうよ。
大正の世界だと現実なんだもん……。
ハァ~……飽きた……。
やる事が無いって……こんな持て余す事だっけ?
ここ数日、現代でも大正でも、忙しすぎて、それに慣れすぎちゃったって事……。
ワーカホリックなお父さんの気持ちが、何となく分かって来たよ。
って!私もワーカホリックって事!そんな事、認めないわ!
意地でもゴロゴロしてやるんだから!
ん?
スマホにぶら下がった、さっき作ったウルタールの御守り。
そうだ!
今、誰も居ないんだし、ウルタールを召喚しよっ♪
御守りの後ろのファスナーを開いて、折り畳まれたお札を取り出す。
そして、魔力を流し込む。
暫くして、お札が白く発光して、形を変えキジトラのアメショに。
「ウルタール♪久しぶり♪」
「にゃー♪」
抱きしめて、頬をスリスリ。
ウルタール的には、昨日の事かもだけど、私的には四日前の事だもんね。
それにしても、篁神社の裏山で召喚した時は、簡単には召喚出来なかったけど、今日は難なく召喚出来た。
やっぱり、小野小町の扱える魔力が上がってるんだ。




