より一層、疲れた気分だわ!
少々長く成ってしまいましたが、英国大使館の悪魔事件の章は完と成ります。
次回から、久しぶりに現代編に移ります。
引き続きお楽しみ下さい。
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よろしくお願いします。
先ず、例の地獄の門の銘文、わざわざイタリア語で書かれていたわ。
現代の世界でも、イタリア語を読める日本人なんて滅多に居ないわ。
まして大正の世界では尚更よ。
つまり、語学に堪能な私宛のメッセージ。
そして、その銘文の元に私を導いたのは、海狸香の香水……でも。
あの香水が私達を導いた人物は二人いるわ。
一人は一太郎さん、そしてもう一人は、玉藻堂の玉山さん。
ここで、重要なのは、私宛のメッセージである銘文に導いたのは玉山さんの情報だと言う事よ。
つまり、香水を使って私を導きたかったのは、玉山さんの方と言うことに成るわ。
香水は土手瓦商会から納品されたのだから、一太郎さんに繋がるのは当然ですけれど、普通なら、そこから玉山さんに導けるなんて、誰も考えたりし無いわ。
それが出来るのは、一つに、品質の悪く、しかも男性用の香水が納品されたことを、お母様が、私に愚痴る事を予測……いいえ、確信を持てる人物。
そして、もう一つに、お母様なら香水一つで、土手瓦さんの話、同郷の玉山さんの話しへと話題が飛ぶだろう事も確信できる人物。
つまりは、お母様の性格を良く御存じの身近な人物と言うことに成るわね。
では、その身近な人物とは誰?
先ず、お父様では、無いわ。
お父様なら、その様なまどろっこしい事をしないで、普通に教えて下さる筈だもの。
同様に、蘆屋家の使用人と言う事も考えられないわ。
そうなると……叔父様……でも無いわね。
叔父様は、当然お母様の性格は良く御存じだけれど、叔父様は憲兵司令官よ。
御自分の手足と成る魔技取締分隊に、こそこそと裏から手を回して情報を与える必要は無いわ。
それに、そもそも叔父様は、そんな面倒な事をする御性格でも無いわ。
と、成ると……。
今、私の隣に座って、御自分で淹れたアールグレイを優雅に味わっている人物……。
元日の朝、私を憲兵司令部まで送って下さった時に、一お兄様は、それと無く、行方不明事件のお話しをされましたけれど……今、思い返せば、これも偶然と言う事では無さそうね。
と、言う事はこの時点で、既に一お兄様は、英国大使館の事件と一連の行方不明事件の関係性に、気付いていらっしゃったと言う事に成るわね……。
「ん?小町ちゃん、俺の顔に米粒か何か付いているのかい?」
「いいえ何でも有りませんわ。唯、一お兄様はさぞ御モテに。と思いましたの♪」
謎の多い男性は、とかくね♪
「あら、あら、小町ちゃん、やっぱり一ちゃんとの縁談を考え直してくれたのね♪お母様は賛成ですわよ♪」
また……変な方向にお話しが……。
「そもそも、お母様、一お兄様との縁談なんて、その様なお話は何処にも有りませんでしたわ」
「あら?そうだったかしら……?」
「それに、仮にその様な話が有ったとしても、お断りいたしますわ♪」
「ハハハ♪それは傷つくな~。どうしてだい?」
一お兄様が、ふざけた調子でお聞きに。
「フフ♪何だか、面倒臭さそうな人だもの、一お兄様は♪」
一お兄様を御見送りして、二階の自室に。
お嬢様モードOFF。
で、いつもの様にベッドへダイブ。
「ハァー、疲れたわ……」
結局、事件の最初から最後まで、一お兄様の掌の上だったと言う事ね……。
そう思うと……より一層、疲れた気分だわ!
それにしても、一お兄様って一体どう云うお仕事をしてるのかしら?
確か、東部第33部隊とか云う部隊に所属しているって言ってたけれど……。
そうだわ!
今度、現代の世界に行ったら、ネットで検索してやるわ。
案外、こう言うのって、ネットに情報が転がっていたりするものよ♪
二つの世界は、歴史的には繋がってい無い異世界同士だけれど、似た歴史を共有する世界だもの、一お兄様の正体を探るヒントぐらいには成るわ♪
「さて……明日は学校。朝は早いわ。そろそろ寝ましょ」
二つ結ひのリボンを解いて、机に置く。
「ノワール、ブランお休み♪また明日ね♪」
そして、パジャマに着替え終わったその時……。
クラッ!
眩暈だわ!
パラレルリープの予兆……。
でも、丁度良いわ。
現代だと、まだ四日冬休みが残っているもの。
今度こそ、誰にも邪魔されず、ゴロゴロしてやるのよ!!
「あっ!忘れていたわ」
あれを持って行かないと、いけませんわ~♪
机の引き出しに仕舞っていた、ポチ袋。
大晦日の夜、叔父様から頂いたお年玉の二十円札。
これを現代で換金すれば……確か六十万円♪
ゴロゴロ、食っちゃ寝の軍資金♪
ベットに潜って、二十円札を胸元に抱いて、準備万端よ♪
現代に行ったら、何をしましょ♪
先ずは、ゴロゴロして♪二十円札を換金して♪そのお金で……Zzz……。
補足情報:
〇ウェンディゴ症候群
実際、そういう精神疾患が有るそうです。
患者は、ウェンディゴにとり憑かれたと思う様になって、自分もウェンディゴに成ると思い込んで、次第に周りの人が食べ物に見えて、猛烈に人肉が食べたくなるとか。
原因はビタミン不測だそうで、コップ一杯の脂肪で治るそうです。
本編の英国大使館の悪魔事件の章は、このお話をヒントに創作した物だったりします。
〇ウェンディゴの描写に付いて
本編のウェンディゴの見た目の描写の一部は、クトゥルフ神話に出て来るイタカの設定を一部拝借しています。
人に似た巨体、赤い目、水かきのある足等。




