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もう一人の暗躍者?

デパートを何軒かハシゴして、その後お母様にお願いして、梨咲ちゃんのお見舞いにも行けましたわ。

そう言えば、年が明けて初めてのお見舞い……あの事件から二週間経ちましたけれど、未だ体調は優れないみたい……早くお元気に成ると良いのだけれど……。


日も沈み、(はじめ)お兄様が運転する蘆屋家(わがや)の車が、門をくぐり屋敷に帰り着く。

お買い物と、(はじめ)お人様をこき使うのに満足したのか、御機嫌よくお母様が車の後部座席から降りられる。

それに続いて、チョットお疲れモードの道彦も。

私も助手席から降りたところで、(はじめ)お兄様が御自分の車に戻ろうとされる。


「あら?(はじめ)ちゃん、どちらに?」

「いえ、叔母様、今日の役目も終わりましたし、もう遅いので帰ろうかと」

「あら、あら、今日は午後から一日中付き合って頂けるとのお約束よ。まだ、早いわ。夕食の給仕をしろ、と迄は言わないわ。夕食を御一緒した後、美味しいお紅茶を頂きたいわ♪小町ちゃんは如何かしら?」

「ええ、勿論ですわ、お母様♪」


「はぁ~、良いんですか夕食を御呼ばれして?」

「良いのよ、(はじめ)ちゃんは家族みたいなものだから♪」

「はぁ~……、しからば、仰せのままに」

(はじめ)お兄様は、そう、もう一つ深いため息を付いたあと、フォーマルに、且つ芝居掛かった礼をお母様に。



玄関をくぐると、爺ともう一人、見知った方が珍しい恰好で、お出迎え。

「イシャイニシュスさん、その御恰好……もうお決めに成られたの?でも、とってもお似合いですわ♪」

イシャイニシュスさんが燕尾服をお召しに成られている。


実は昨日、屋敷に戻った後、イシャイニシュスさんと今後に付いてお話ししましたの。

一族を失い、帰る当ての無いイシャイニシュスさんの今後の事を……。

アメリカに帰国なさると言う事でしたら、その旅費は蘆屋家で工面するとも、お話ししましたけれど、どうやら、イシャイニシュスさんはこの国が気に入ったみたいですわ。

イシャイニシュスさん(いわ)く、この国は精霊の気に満ち溢れていると……彼の言う精霊の気とは、妖精猫(ケット・シー)達の様な物が放つ気の事では無いわ、もっと漠然とした霊気や、魔力の事ね。

それで、そういう事でしたら、暫くの間でも、蘆屋家(わがや)に使用人として働いてみてはと提案しましたの。


「ですけれど、ホントに宜しいの。もう少しお客様気分で滞在されても構いませんのよ」

「ああ、構わない。即断即決は、ナンナ族の美徳。お前には、迷惑を……」

「ゴッホン!!お前では無い!お嬢様とお呼びする様に!」

爺が訂正する。

「そうだったな。お嬢様には、迷惑をかけるかもしれんが、宜しく頼む」

「フフフ♪ええ、此方(おちら)こそですわ♪」



夕食が終わって、リビングで(はじめ)お兄様が、持参のアールグレイを淹れて下さる。

ベルガモットのエレガントな香り、そして、上質なダージリンのお味。

さすがは、西家秘蔵のアールグレイですわ♪

お母様も、満足そう。

ミッチーは……お母様の膝枕でお(ねむ)ですわね。


事件も解決し、めでたしめでたし……ですけれど、未だ一つ大きな謎が残っているわ。

今回、参事官は裏で色々暗躍されて、小細工されていましたけれど……彼とは別に、暗躍されていた方が居ますわ。

それも、捜査を妨害するのではなく、逆に事件を解決に導く様に暗躍されていた方が……。


その方が、私達を事件の真相に導いてくれたのは三度。

最初は、海狸香(かいりこう)の香水よ。

土手瓦さんの御子息の一太郎さんが、仰っていたわ。

本来、お母様の元に納品する筈の無い、海狸香(かいりこう)の香水が納品リストに書き足されていたと。

勿論、たまたまの偶然、幸運が重なって、あの香水がお母様の元に届いたとも、考えられないことも、無いけれど……その様な、御都合主義な幸運なんて、早々有るモノでは無いわ。


次に、洋館の礼拝堂の床に書かれていた、地獄の門の銘文(めいぶん)の一節。

あのような物、全てを隠したい参事官が書く分けは無いわ。

勿論、他の降霊会参加者も。


そして昨晩、泰晴(やすはる)叔父様の元に届いた匿名の封書。

泰晴(やすはる)叔父様は、降霊会の参加者の誰かだとお考えの様だけれど、自分の逮捕につながる様な情報を送って来るとは思えないわ。

もし、逮捕を覚悟の上と言うのなら、そんな面倒な事をしないで、自首すれば良いだけの話よ。

その方が情状酌量で、減刑も有るはずだもの。


恐らく、これらの事を御企みに成って、手助け下さったのは、同一人物……いいえ、もしかしたら同一組織と言った方が正確なのかしら……。

土手瓦商会に潜り込んで、納品リストを改ざんしたり、秘密裏に行われていた降霊会の会場を探し当てたり、参事官が巧妙に入手した倉庫の事迄調べ上げたり……とても一人の人物では無理だわ。


それがどの様な組織なのかは分からないけれど……でも、誰が関わっていて、指示されていたのかは、何となく推理出来るわ♪


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