♪♪♪やっと、このセリフが言えましたわ♪♪♪
「デウス・エクス・マキナとは?……それはどう言う事ですかな?」
「フフフ♪事件を解決する為の最終手段に成るかも、と言う事ですわ」
「つまり、切り札を得たと」
「成るほど、お嬢様。それは手っ取り早う御座いますな」
「爺は私の考えに、気付いた様ですわね」
「はい、道馬様なら躊躇なく、この場でお使いに成っておられたやも知れませんな」
「一体それは何の事で?」
「上村さん、とにかくこの事件が迷宮入りする事は無い、と言う事ですわ。少々力業に成るかもですけれど……。でも、その前に、折角ですもの、謎を解き明かしてしまいましょう♪」
「そうですな、兎に角これで、一通りの事件が繋がりましたからな……ローレンスさんの殺害事件、山口さんの殺害事件、密儀に係わる行方不明事件やその他の事件等々、それと、この洋館で行われていた事も……。それらは全て、彼の集落で起こった惨劇に、端を発した事件だったと云うことですな」
「ええ、そして、密儀を取り仕切っていたフードの男が、その全ての元凶……ですわね」
「ではやはり、小町ちゃんはローレンスさんの殺害は公使閣下では無いと?」
「ええ、そう思いますわ。ですけれど、その前にもう一つ確認したいことが有りますわ」
「イシャイニシュスさん、もう一つ宜しいかしら。ウェンディゴのトーテムの一族の者はウェンディゴに成っても、理性や知性を保てる、と仰っていましたけれど、逆を言えば、そうで無い者の場合、理性や知性を失うと云う事ですわね。一族以外の者がウェンディゴのトーテムを使ったとして、一時的にでも理性を保つ方法とか、心当たり御座いませんかしら?」
地下で行われていた密儀で、ウェンディゴに成った者は理性を保っていたハズよ。
でないと、その時点で大惨事に成っているもの。
その方法次第では、まだ、公使の可能性は残っているわ。
極端な話、公使が理性を保ったまま、ウェンディゴに成って、犯行を犯し、山口さん殺害の後、オッチョコチョイしてカフスボタンを落としちゃったとか、まあ、絶対ないとは断言できないし……。
「さあ……。我が家に伝わる秘術で、こう言うものがある。一族の者以外に、コヨーテのトーテムの力を貸し与える方法だ。一族の者の血を少し飲ませれば、その者もトーテムを使って、一度だけコヨーテに成ることが出来る」
成るほど、ですわ。
密儀では、フードの男の血を少し与えて、ウェンディゴに変異させていたのね。
それで、一時的に理性を保てていたと云う事ですわね。
もっとも、ウェンディゴの呪いまでは、防げなかったみたいですけれど……。
「因みにその血は、時間が経った物でも良いのかしら?」
「変な事を聞くな。ダメだ、時間が経ってば一族の力が抜けてしまう。それは、飲んだ後でもだ。すぐにトーテムを使う必要がある」
これで、決まりですわ。
ローレンスさんを殺害したのは公使では有りませんわ。
公使は、トーテムを奪った男から、さらにトーテムを奪って管理していたわ。
と云う事は、公使の立場は、その男より上と云う事。
もし、事件当時、その男が公使に血を分け与える程、近くに居たとすれば、わざわざ公使自身が犯行を犯す必要は無いわ。
その男に命令して、やらせれば良いのだもの。
では、公使を嵌めて、公使に罪を被せる事が出来る人物が犯人……それは誰か?
公使がわざわざ木像を書庫に隠したのは何故?
そもそも、あの金庫に隠していれば、公使はウェンディゴに成って暴れる事は無かったわ。
手元に置いておくことが不安になったからだわ。
その理由は……やはりローレンスさんの殺害事件。
公使自身も、自分の犯行だと思った……いえ、思わされたのではないかしら。
密儀で変異した人たちの様に、自分もと……。
そして、その誰かさんは、言葉巧みに変異した原因を、木像が手元に有るからと吹き込んだのではないかしら。
そこ迄の小細工が出来る人物と成ると……やはり外部の人間と言うのは考え難いわ。
大使館の誰か……だわ。
そういう事でしたら、上村さんにもう一つ質問するだけで、ほぼ事足りますわ。
「上村さん、一つお伺いしたい事が御座いますわ、宜しいかしら?」
「ええ勿論、何なりと」
「現在、英国大使館でお働きに成っている方で、ここ一年半の間で、アメリカから赴任されて来た方が何方かおりましたら、教えて頂けませんこと?」
「成るほど、彼の集落で惨劇が起きた時に、アメリカに居た方と言う事ですな!それならば……お二人おられます。その方は……」
上村さんから聞いたお二方のお名前に、私の想定していたお名前が有りましたわ。
やはり……あの方ね。
でも一応、もう一人の方のお名前も上がっていますから、その方付いては、明日大使館で雑談交じりに、簡単に確認すれば良い事だわ。
「小町ちゃん、犯人はお分かりに成りましたか?」
「ええ、上村さん。謎は全て、解けましたわ♪♪」
♪♪♪やっと、このセリフが言えましたわ♪♪♪




