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集落での惨劇

でも、弱りましたわ……生前お爺様からは、魔術に必要だからと、世界各国で使われている言語、それに、(かつ)て使われていた古い言葉や文字まで教わりましたから、語学には結構自信が有るのだけれど……。

上村さんは、ネイティブアメリカンかもと仰っているわ。

さすがに、お爺様からも、ネイティブアメリカンの言葉までは教わっていませんわ。

どうしましょう……うーーん、まさか日本まで走って来たわけでも無い……ハズよ……多分。

だとすると、船に乗って来たと言う事だわ。

なら、船に乗る為に、ある程度のコミュニケーションが必要になったハズ……。

アメリカから来たと仮定して、取り合えず、英語で話し掛けてみましょう。


(わたくし)は蘆屋小町と申しますの。アナタのお名前を教えて頂けるかしら?……私の言葉はお分かりに成って?」

「ああ、分る。俺はイシャイニシュス。お前、覚えてる。ウェンディゴ、倒した娘」

良かったですわ。

片言だけれど、どうやらコミュニケーションを取れそうだわ。

え!?今何と?

「今、(わたくし)が何を倒したと仰ったのかしら?」

「ウェンディゴ、俺の集落を護る、邪悪な精霊」


うーん……どう云う事?

ウェンディゴと言うのが邪悪な精霊で、恐らく公使の降ろした禍津神(まがつがみ)を指している、と言うのは何となくわかるわ。

でも、彼、イシャイニシュスさんと言ったかしら、の集落を護るて……まさか……彼も、何か怪しげな宗教を?

でも、そんな風に見えないわ。

だって、公使と戦って居ましたもの……。

「小町ちゃん。取り合えず順を追って説明して貰っては?」

と、私が考え込んでいるのを見て、上村さんが助け船の助言を。

「そうですわね」



とにかく、彼はあの禍津神(まがつがみ)の名前や正体を知っていると云う事、彼の話を聴くことで、全ての謎や疑問がこれで解けるかも……ですわ。

タイミングよく作業を終え合流してきた爺に、英語の分からない諏訪さんと曹長さんへの通訳をお願いし、準備が整ったところで本題よ。


イシャイニシュスさんに改めて、事の発端から話してくれる様に頼むと、やや(つたな)い英語で、言葉を紡ぐ様にゆっくりと話し出す。

「俺の集落はナンナと言う小さな集落。八つの家族、全部で55人の集落。今から一年と半年ほど前、一人の白人の男が集落に来た。その男は集落の祭りが見てみたいと。十日後に行う、精霊に感謝する祭りのことだ。その男が、何処で知ったかは分からないが、特別な祭り、見せる分けにはいかない。当然追い返した」


「特別なお祭りですの?もし、宜しければ、詳しく教えて頂けませんかしら?」

見せる事の出来ないお祭り、そこに、この地下で行われていた密儀の真相が有るかも、ですわ。

でも……教えて頂けるのかしら?


一瞬考える様に目を瞑って、再び口を開く。

「構わない、もう……、隠す必要も無い。集落の八つの家族は、代々伝わるトーテムを持つ。トーテムを手にし、呪力を流すと、トーテムの(かたど)る精霊に姿を変えれる。祭りは、その内七つの家族の代表が、トーテムで姿を変えて踊り、精霊に感謝する」

トーテムて、何かしら?

トーテムポールとかは、聞いた事が有るけれど……。

手にして、呪力を流すと姿を変える事が出来る、という話から連想できるのは、公使の姿を変えたあの木像……あれが彼の言うトーテムかしら。


「そのトーテムと仰る物は、高さ1フィート程の木の像では無くて?もしかしてアナタも同じ様なものを使って、あのワンちゃんに?」

「まさか、ウェンディゴのトーテムを見た事があるのか!?今どこに!!」

私の質問に血相を変え、突然私の腕を強く掴む。

咄嗟に振り払おうとする爺を止めて、彼の質問に答える。

「見た事は御座いますわ。けれど、残念ながら今何処に在るかは分かりませんの」


私達が情報を得るのは重要な事だけれど、彼もまた同様に、情報を得る権利が有るのではないかしら……何と無くだけれど、そう思えて成らないわ。


「そうか……すまない。お前の言う通り、俺もトーテムを持っている。だが、犬では無い。コヨーテのトーテムだ」

やはり上村さんの仰る通り、コヨーテだったのね。


「話を続ける。祭りの二日前、ウェンディゴのトーテムの娘が消えた。その娘と、先日の白人の男が仲良くしているところを、誰かが見たと言う。二人で駆け落ちしたのでは無いかと。娘の家族は心配したが、祭りの準備が大事。祭りが終わってから探すと約束した。そして、俺は精霊に捧げる供物を狩る為、精霊の洞窟に納められている、コヨーテのトーテムを持ち出して、狩りに出た。コヨーテが狩った供物を捧げるのが、祭りの(おきて)だからだ。次の日の夕暮れ、狩りを終えて集落に帰ると……全員死んでいた。自分の家族も……他の皆も……生き残っている者はだれ一人と……自分以外は……。そして、俺は気付いた。全員喰われた跡が有る事に……」


補足情報:

〇トーテム

本来は、形の有るものじゃ無く、もっと概念的な物らしいです。

何やら難しい話みたいですが、興味のある方はググってみて下さい。


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