表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
48/173

いとこ叔父

お母様にお願いして、玉山さんにアポを取って貰う事にして、お部屋に戻る。

ついでに、海狸香(かいりこう)の香水も頂いたわ。

公使の使っていた物と同じか、一応確認しておくに越した事は無いもの。


さて、未だやらなくちゃいけない事が山ほど有るわ。

「先ずは()れよ」

優弥くんに貰ったどんぐりの、残り二つを取り出す。

先ほど食事の時に、千代さんが下げた一輪挿しと、巻き付いた木を見せて貰ったけれど、未だ硬質化していたわ。

もし、このどんぐりに安全に魔力を注ぎ込むことが出来れば、凄く有用に使えると思うの。


で、その仕掛けですけれど……。

机の引き出しから五センチ角の、矢絣(やがすり)模様の千代紙を二枚取り出し、魔法陣を描き描き。

「描き上がった魔法陣の中央に、どんぐりを一つ置いて、そのままキャンディーの様に包んで出来上がり♪」

この魔法陣は、外から流れ込んで来た魔力を、一時的に魔法陣に蓄えて、そして、何か衝撃を受けた瞬間、魔法陣の中央にいっきに魔力を流すと言うものよ。

要するに、この包み紙の上から魔力を注ぎ込んで、対象物に投げてぶつけて差し上げれば、魔力がどんぐりに流れ込んで、朝試した様に成ると言う事。

しかも、これなら、十分に魔力を魔法陣に溜め込めるから、より大きな魔力をどんぐりに注ぎ込むことが出来るわ。


それでは、次の魔法陣に取り掛かりましょう。

猫召喚の魔法陣を描くのと同じ白紙の御札を取り出し、魔法陣を描き描き、丁寧に、正確に、魔力を込めて……。

(えが)く魔法陣は、いつもの猫召喚の魔法陣と似た魔法陣、だけど、魔法陣の中央に(えが)く図形が異なるわ。

いつもは円の中央に、猫の姿を模した図形を描くのだけれど、この魔法陣の中央には猫の手、つまりはぷにぷにの肉球を(えが)くの♪


今までは、咄嗟の戦闘で使用できる魔法陣が、手袋の物だけでしたけれど、それでは少々心許無く感じていたわ。

そう言った事も有って、この魔法陣は、咄嗟の時に使えて、かつ攻防応用の利く物よ。

「そうね……この魔法陣は、八枚ほど有れば当面足りるかしら」


あとは、残りの猫召喚のお札だけれど……未だ40枚以上描かないといけないわ……。

「はぁ~、もう十一時前だわ。これは、徹夜に成りそうね……」

とにかくやるべき事はやっておかないと、お母様のお陰で、降霊会の情報の糸口は見つかったかも、ですもの、いつ事態が進展するか分から無いわ。


魔法陣を描き描き、丁寧に、正確に、魔力を込めて……描き描き……描き描き……カキカキ……カキ……カ……キ…………Zzz……。



「ハッ!!眠ってしまいましたわ……」

窓から朝日が、明るく差し込んでいるわ。

「今は何時かしら……もう八時過ぎているのね……」

結局、昨日描けた猫召喚の御札は60枚、全部で280枚だわ。

300枚まで、あと20枚足りない。


「仕方ないわ、今日必要に成らない事を祈りましょう」

まあ、いざと成ればノワールとブランがいますもの、そうそう遅れを取るとは思わないわ。


「さてと、今日はどうしましょ。お呼びが掛からない様なら、このまま御札の製作を続けようかしら。でも、玉藻堂の玉山さんにもお会いして、お話しをお伺いしたいですし、海狸香(かいりこう)の香水も、公使がお使いに成ってた物と同じか知りたいですし……」


「はぁ~、駄目だわ。お腹が空いて考えが(まと)まら無いわ。まずは朝食が先ね」


「うーーーん」と背伸びして体をほぐす。

椅子に座って眠ったせいか、体の節々が痛い。

ハラリと、肩にかけられたガウンが落ちる。

千代さんが掛けてくれたのね。



少し、身だしなみを整えてから、一階へ降りようと、ホールへ降りる階段へ向かう。

「あら、皆さま、ようこそお越し下さいましたわ」

ホールからお母様の声が聞こえるわ。

何方(どなた)かお客様かしら?


「でも、あの子は良い子ですから、皆様には不平を口にする様な事は無いでしょうけれど、少しはあの子の事を気遣ってやって下さいましね。小町は昨日も遅くまで、何かお仕事していた様ですの。だいぶ疲れている様子でしたわ。今も机に突っ伏して眠っているのよ。(わたくし)としては、このままそっと休ませて上げたいと考えていますのよ……お分かり?」

どうやら何方(どなた)か迎えに来たみたいね。

お母様の気持ちは有りがたいし、そのお言葉に甘えたいところですけれど、休んでいる間に、何か不測の事態でも起こって、取り返しの付かない事に成れば、後悔する事に成るわ。

とにかく、下に降りましょう。


「あら?あなた泰治(やすはる)ちゃんじゃ無いの?」

「ええ、御無沙汰しています」

ん?泰治(やすはる)ちゃん……て誰でしたっけ……?


「あらあら、久しぶりだわね。元気にしていましたの……まあ!!どうしたのその右手は!大怪我をしたのね……あらあら、どうしましょう……千鶴叔母様が悲しまれるわ……。それに杖まで突いて……足も怪我をしましたのね?」

「御心配なく三年も前の事です。母にもその時随分叱られました」


階段を下りると、諏訪さん、曹長さん、それと、二本の鍵爪の様な義手の男性は、魔技取締分隊隊長の土御門(つちみかど)中佐だわ。

そう言えば土御門中佐のお名前は、泰治(やすはる)さんだったわね……え?お母様とお知り合い?


「お早う御座います。お母様。それと皆様もお早う御座います」

「あら、お早う小町ちゃん。もう起きましたの。もう少し休んでても良いのよ♪此方(こちら)の方々でしたら、お母様がお引き取り願うから♪」

「いえ、そうもいきませんわ。それよりも、お母様と土御門(つちみかど)中佐はお知り合いでしたの?」


「ええ、知り合いと言うか、従兄なのよ。泰治(やすはる)ちゃんのお母様の千鶴叔母様は、(わたくし)の叔母に当たる方よ♪」

「すまない小町ちゃん。先日憲兵司令部で会った時は、色々ごたついていたからね、話しそびれてしまったが、君のいとこ叔父にあたる泰治(やすはる)だ、改めて宜しくお願いするよ」

なんだ、そういう事でしたの♪

「では、公務じゃなくプライベートの時は、泰治(やすはる)叔父様とお呼びしても良いかしら?」

「はは、勿論そう呼んで貰えると嬉しいよ」


さて、本題ね。

「ところで、この様な朝早く皆さんが参られたと云う事は、何か御座いましたの?」

「ええ、そうなの小町ちゃん」

諏訪さんが話し出す。

「先日、倉庫街で殺害された山口さんの御遺体、覚えているかしら。心臓と肝臓が無くなっていた」

「ええ、勿論ですわ」

「同様の死体が出たの、それも一体じゃ無いわ、何体もよ」


補足情報:

〇いとこ叔父

サザエさんでいう所の、イクラちゃんから見たカツオです。


修正履歴

2020/5/30 誤字脱字修正。本文の内容は追加変更無し。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
cont_access.php?citi_cont_id=563347762&s
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ