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魔猿の真相

お姉ちゃんは、タンブラーのお屠蘇をグビグビ飲んで、話を続ける。

「プッハー♪で、じゃよ。猿が撃たれたのは元日の夕方じゃったが、丁度五年後の元日の夕方、つまりは逢魔が時の事じゃ、初詣帰りの若い娘が何者かに目玉をくり抜かれ喉を食いちぎられて殺されたそうな。それから五年ごとに同じ様な被害者が出る様になって、有る元日の夕方、その何者かに襲われた娘が傷だらけになりながら、町の派出所(はしゅつしょ)に駆け込んできたのじゃ。その娘さんの話では、大きな猿の化け物に襲われたんじゃと。街の者は総出でその猿を探したが見つからず、次の日その逃げてきた娘さんの無残な死体だけが見つかったそうな」

お姉ちゃんは一息着いて、お屠蘇をグビグビ。

「その後、役場に皆が集まってどうしようか話し合ってたその時、そこに現れた若い神主が、その猿は人に深い恨みを持って死んだ猿の祟りだから、自分の神社の敷地に祠を建て祭って、その化け猿の祟りを収めようと言ったのじゃ。それ以来、化け猿は現れなくなったとさ♪めでたし、めでたし♪お・し・ま・い♪」


間違い無い、一度のがした獲物を襲う執念深さ、あの猿だわ!

「きゃははは♪なに深刻な顔してんのよ♪都市伝説だって言ってんじゃん♪五十年ぐらい昔の事よ♪それに、中三の夏休みに肝試しで祠開けてみたけど、何も無かったし、呪われたりも無かったよ♪」

「はぁ?祠開けたって、近所にそんな祠有んの?」

「何言ってんの、小町♪さっき神主が、自分の神社の敷地に祠立てたって言ったじゃない。篁神社(たかむらじんじゃ)の事よ。裏山の西側に小さい祠が有んのよ。で、その神主は一昨年(おととし)亡くなったお爺ちゃんよ♪」


ん!?

ちょっと待て、お姉ちゃんの中三の夏休みって……お姉ちゃんは今大学一年で19歳、てことは……大体四年と五ヶ月ほど前、今年がその化け猿が出る五年に一度の周期とすれば……。

「お姉ちゃんさっき祠を開けたって言ってたけど、なんか封印みたいなのされてなかった?」

「小町、相変わらずそう云うの詳しいね。御札が扉に張っ付けて有ったよ。でも、心配しなくて良いよ、後でちゃんと糊で張り直したから♪」


ぜ、ぜ、全部お姉ちゃんのセイだ!!

正月早々アルバイトさせられたのも、お姉ちゃんが解き放った化け猿に襲われたのも!

さっきあの化け猿が私を待ち伏せしてたのは、一昨日(おととい)私が破魔矢で殴りつけたからだと思ってたけど、そうじゃ無かったんだ。

私が襲われたのは、封印を破ったお姉ちゃんの妹だからに違いないわ!


間違いない!私の不幸は、全てお姉ちゃんを中心に回ってるんだわ……。


「小町お待たせ、ゴメンね。巴に御節(おせち)全部食べられちゃうって、思って無かったから、カレーに成っちゃった」

「良いよ、お母さん。カレーも美味しいし」

「それと、巴の眉唾な話はともかく、なんか不安だったら、お義兄(にい)さんにお祓いとかしてもらう?」

もう不安の対象は取り除いたんだけどなー……命懸けで……。

「じゃあ、暇なときにでもお願いするよ♪」

化け猿は居なくなっても、お姉ちゃんと言う疫病神は祓っておく必要が有るわ!!


「それと小町も、縁起もんだから、お屠蘇飲んでおきなさい。なめるだけで良いから。小町は間違ってもあの二人みたいな呑兵衛になっちゃダメよ♪」

「心配しないでお母さん、死んでもああは成らないから」

チョット味見・・・・結構甘くて美味しいじゃん♪

「お母さん、私もお屠蘇お替り♪♪タンブラーなみなみね♪♪」

絶対ああは成らないから!!



結局あの後、お姉ちゃんの馬鹿な土産話に付き合わされて、お部屋に戻ったのが十一時過ぎ。

「それに、妹への信州土産が野沢菜って……スイーツ的なチョイスは無いのかよ!」

まあ、野沢菜も嫌いじゃないけど。


ん?

部屋の窓から外を見下ろすと、斜向(はすむ)かいの家の塀の上に、白く(もや)の様な淡い光が人型を象っている……優弥(ゆうや)くんだ。

塀の上にちょこんと座って、佐竹さん()を眺めてる。


私の視線に気付いたみたい、手を振ってくれてる。

勿論、手を振り返す。

幽霊かもだけど、めっちゃ可愛い、そして良い子だー♪


優弥(ゆうや)くんは、お母さんと産まれてくる赤ちゃんを、見守る事にしたのね。

まあ、満足するまで見守ると良いよ。

あの子の綺麗な魂なら、変な事には成らないだろうし、もし、満足しても幽世(かくりよ)へ行けないようなら、私が何とかしてあげれば良いだけだからね。

今の小野小町(わたし)なら、いつでもあの子の望む時に、幽世(かくりよ)へ導く事が出来そうだし。


あれから数時間経つけど、小野小町(わたし)の魔力は健在だ。

右手に魔力を集めると、蘆屋小町(わたし)の魔力と同じ色の魔力のオーラが見える。

蘆屋小町(わたし)の一割程度なのは変わりないけれど、多分一時的なものじゃ無さそう。


あれ?

机の上に飾ってある、優弥(ゆうや)くんから貰ったどんぐりの山が、淡く紫色に光ってる。

なんで?

一つ摘んで観てみると、やっぱり魔力を宿してる。

試しに魔力を注ぎ込んでみるけれど、蘆屋小町(わたし)の一割程度の魔力じゃ何も反応しない……じゃあ蘆屋小町(わたし)だったら?


あれあれ!?

視界が微かに歪む。

眩暈(めまい)だ!

パラレルリープの予兆。

パラレルリープの間隔は不定期だ、短い時は一日程度でリープしたり、長い時は一月ぐらい無い場合もある。

「やっと明日から休みだったのに……食っちゃ寝ゴロゴロはお預けかー」


あっ、そう言えばウルタールはどうしよう?

最初は、大正(むこう)に連れ帰れるか試す予定だったけど、今回の化け猿の件もあるし、いざと言う時に小野小町(わたし)(そば)に居てくれた方が心強いわ。

うーーむ、決めた!

ウルタールは現代(こっち)に置いて行こう。

その代わり、この気になる優弥(ゆうや)くんのどんぐりを、何粒か持っていけるか試してみよう。


右手にどんぐりを三粒握りしめてベッドへもぐり込む。

「はぁーー、結局骨休めに成らなかったよー。それもこれも……お姉ちゃんめーー……Zzz……」


<現代:魔猿とキジトラ猫>の章は完と成ります。

次回から再び舞台は大正に戻って、<大正:英国大使館の悪魔事件後編>と成ります。

引き続きよろしくお願いします。


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