デパート三階 【寄生、生命維持】
ともかく、倒れられている御三方の持つ魔力を見る限り、未だ余裕がお有りの様。
雪だるまは、一種のゴーレムの様なモノですけれど、至極単純な仕事しかでき無い。
索敵と自爆、それとこの巣の建材として自爆すると言う仕事。
だから、必要とする魔力はそれほどでも無いのだわ。
この方達の魔力が枯渇するまでには、未だ暫くの猶予が有ると見てよさそう。
手遅れとか、緊急を要する状態で無くて幸いですわ。
ですけれど、このまま放置すれば、いずれ……
それに、厄介な事も有るわ。
あの白い玉、単に魔力を吸って育っているだけでも無い。
魔力が対流しているわ。
人体から玉へ吸い上げられた魔力の一部が、人体に戻されている。
何故、そんな仕組みに成っているのか……それは、彼らの状態を見ればそれと無く想像出来る。
マイナス四十度のこの極寒で眠り続けるなんて、普通ならば死を意味すること。
でも、彼らの血色は見た所悪くは無いわ。
勿論魔力を吸われて、弱ってはいる様ですけれど。
つまり、あの白い球は、吸った魔力を自らに取り込んで成長するとともに、寄生している人体が命を落とさない様に、例えば体温を維持する様な魔力に変換して、送り返しているのではないかしら。
そしてそれは、生命を維持するだけではなく、恐らく彼らが眠り続ける様な作用も。
だとすれば、マズいですわね……。
もし、今から彼らを救出に向かって、彼らを起こそうと、下手にあの球を払い落とすなんて事をしようものなら、凍死させてしまう事に成りかね無いわ。
かと言って彼らの救出に、諏訪さんや警部補さんに救出部隊を要請すれば、結構な人員が必要に成る。
要救助者は確か、最大十六人ですもの。
そうなれば、雪だるま達に見つからずになんて無理。
雪だるまの自爆攻撃で、最悪何人もの犠牲者を出す事に成るかも……。
この方達を助けるには、やはり元凶をどうにかしませんと。
つまり、津案さんと、その彼が誤って召喚したジャックフロストをですわ。
私が斃すか、そもそも、斃せる相手かはともかくとして、せめてその居場所だけでも突き止めませんと。
まあ、この状況ですもの、十中八九あの氷の壁で覆われた、一階中央の広場でしょうけれど。
囚われてらっしゃる皆さんには申し訳ありませんけれど、もう暫くお待ち頂くしか無いわね。
式神を小部屋の外へ向かわす。
あの白い球が、雪だるまの卵成り、幼虫だとすれば、それを生んだモノが居る筈。
そしてそれは恐らく、元凶たるジャックフロスト。
さっきのマネキンが白い球を運んでいたと言う事は、後を付けて行けば、いずれそのジャックフロストの元に向かう筈よ。
辺りを見渡す。
さっきのマネキンが見当たらないわ。
何処か、他の小部屋の中に居るのかしら?
雪だるまが近くを巡回して居ないのを確認して、さっきマネキンが入って行った小部屋の前に式神をチョコチョコと移動。
そっと、中を覗く。
マネキンはもう居無い。
でも、やはりこの小部屋の中にも、倒れてらっしゃる方が四人。
カシャッ、カシャッ……。
別の部屋からマネキンの足音。
少し離れた小部屋からマネキンが出てきたわ。
後を付けて行きましょ。
一応、マネキンが出てきた部屋の中をチラリと確認。
この部屋には、ひい、ふう……五人。
これで、十二人。
あと四人。
マネキンが次に向かった部屋を覗くと、此方にはお二方。
そして、更に次のお部屋にもお二方。
これで、十六人。
突入された方全員ですわね。
ともかくこれで、突入された皆さんの居場所と生存は確認できたわ。
後は、この皆さんをお救いする為にも、ジャックフロストの居場所を突き止めませんと。
更に、マネキンの後を付けると……あれは、上に向かう階段。
マネキンはその階段をのぼって四階に。
一応確認すると、やはり当然の様に、二階へと向かう階段は氷で封鎖されている。
それにしても、困ったわ……この式神の小さな体では階段は登って行けませんもの。
これ以上マネキンを追うのは無理そう……。
サクッ!
ん?
式神の背後に嫌な気配!
そして、振り向いた刹那、プツンと式神との繋がりが断ち切られる。




