マナちゃんの住みか
この感覚は……私が名付けたと言う事ですの!?
では、やはりこの子は、あの魔法陣から召喚されたと言う事かしら……。
まあ、でも構いませんわ。
こんな、可愛いらしいマナちゃんですもの、変な事には成らないと思うわ。
それにしても……不思議な事がテンコ盛りですわね。
ティル・ナ・ノーグのリンゴの木が、数時間でこれほどまでに成長するのも、マナちゃんの存在も。
マナちゃんがトゥーアサ・ジェー・ザナンの魔法陣から召喚されたのだとすると……ティル・ナ・ノーグのリンゴの木が育ったのは?
それも、あの魔法陣の効力?
確かに、あの魔法陣は複雑な物でしたけれど、木を育てて、且つ精霊の召喚も行うなんて、二つの機能を併せ持つ様なモノとは思えないわ。
考えられることは、あの魔法陣はタワ・マナを召喚する魔法陣。
そして、ティル・ナ・ノーグのリンゴの木が成長したのは、その召喚された太陽の精霊であるマナちゃんの能力と言う事かしら。
そう考えれば一応の辻褄が合うわね。
でも、そうだとすると、如何しましょ。
マナちゃんを召喚した魔法陣は土の中。
ウルタールやケットシー達みたいに、魔法陣やカメオに戻す様な事は出来そうに無いわ。
うーん、そうね、そういう事でしたら、もっと単純な解決策を取る事にしましょ。
「爺、この子にお部屋を用意して差し上げて。座敷童と言う分けでは御座いませんけれど、きっと蘆屋家の良い守り神に成って下さいますわ♪」
何しろ太陽の乙女、言い換えれば太陽の女神ですもの。
日本においては最高神ですわ♪
「お嬢様、恥ずかしながら、この爺の目には何も……。お嬢様の前に何かが居る気配は感じるのですが」
「爺にはこの子が見えませんの?」
「さように御座います」
マナちゃんは精霊ですものね、見る為にはそれ相応の能力が必要なのかしら。
でも、爺ほどの者が見えないなんて、そうそう無い事だわ。
爺にも見えないマナちゃんを、イシャイニシュスさんが見れるのは、恐らく親和性の話ですわね。
彼自身、トーテムを使ってコヨーテの精霊に姿を変える事が出来ますから、それで、マナちゃんを見る事が出来るのでしょうね。
「マナちゃん、爺の目にも見える様に、姿を現すなんて出来るかしら?」
試しに聞いてみる。
マナちゃんが、飾り羽をワサッと揺らして、軽く頷く。
「おお!お嬢様。確かにお嬢様の目の前に不思議な格好をした小さきモノが」
爺にも見える様に成ったみたい。
便利ですわ♪
「それでは爺、マナちゃんのお部屋の用意を……」
マナちゃんが矢絣の着物の袖を引っ張り、そして首を振る。
如何したのかしら?
「もしかして、お部屋は必要ないと言う事かしら?」
マナちゃんが頷く。
爺には日本語で、話したのだけれど、名前を付けたからかしら、私の考えが分ったのね。
「でも、お部屋が無いと不便ですわよ」
そう尋ねると、マナちゃんがリンゴの木を見つめる。
「このリンゴの木の傍が良いのですわね」
飾り羽を大きく揺らして頷く。
両目に魔力を集中して、マナちゃんとティル・ナ・ノーグのリンゴの木を見比べる。
やっぱり……どっちもオレンジ色の魔力が見えるわ。
マナちゃんとティル・ナ・ノーグのリンゴの木は何かしら、繋がり深いと言う事ですわね。
「ならば、俺がリンゴの木の横に、ティピーを建てよう」
「ティピー?」
「ああ、俺たちネイティブアメリカンの住む家だ。タワ・マナならそう言う家の方が落ち着くだろう」
ネイティブアメリカンの皆さんがお住みに成る家……そう言えば、現代で映画とかドキュメンタリー番組とかで見た事が有るわ。
円錐型の布で出来たテントの様なお家。
確かに、マナちゃんにはその方が良いかも、ですわ。
「マナちゃん。それで良いかしら?」
マナちゃんが頷き、そして、よっぽど嬉しかったのかしら。
ティル・ナ・ノーグのリンゴの木の周りを楽しそうに踊りだした。
メチャクチャ可愛いですわ♪




